第十四章:Through the Fire/06
――――時系列は元に戻り、採石場。
携えたレッドアイ大型機関砲を撃ちまくりながら、Vシステムを身に纏った戒斗が場に割って入ってくる。
そんな彼を目の当たりにして、アンジェは「カイト!」と嬉しそうに叫び。そしてセラも「馬鹿、遅いわよ!」と薄い笑みを浮かべながら彼に言う。
「真打ち登場ってな。ヒーローは遅れてやって来るモンだ」
戒斗はレッドアイを撃ちまくりながら、そんなセラの横に立ち。すると彼女を横目に見ながら、透かした声でそんな軽口を叩いてみせる。
「三人とも、このまま一気に畳み掛けるぞ」
「はい!」
「分かったよ、カイトっ!」
「……セラ、君の火力で一気に叩き潰したい。出来るか?」
遥とアンジェがそれぞれ頷いてくれる中、戒斗は隣のセラに小声で問いかける。
すると、セラは「当然よ」と自信満々な笑みで頷き返し、
「――――アンジェ、それにセイレーン! アイツらを上手くアタシの射線上に集めて頂戴!!」
と、戒斗の意図を汲み取る形で、他の神姫二人に向かってそう叫んでいた。
「分かった!」
「承知しました……!」
そうすれば、遥とアンジェは散開し。それぞれ別々のバンディットの注意を上手く引き付けながら、そのまま良い具合に一箇所へ……セラの射線上へと集める。
「今です、フェニックス!」
そうして一箇所に集めれば、遥はアンジェとともにセラの傍まで大きく飛び退きつつ、彼女に叫ぶ。
「制圧射撃は俺に任せろ。トドメは……君が決めてくれ」
「はいはい、お膳立てどうも……!!」
集まったバンディットに対し、戒斗が烈火の如き猛烈な機銃掃射を浴びせてその動きを封じる中。セラは再び尻尾状のアンカーを背後の地面に深々と突き刺すと、全ての武装で三体のバンディットを睨み付ける。
両手のガトリング機関砲の銃身がスピンアップを開始し、両太腿のミサイルポッドの蓋が開き、両肩の重粒子加速砲はジジジジ……と不気味な音を立てながらエネルギーチャージを始める。
「手加減抜きでブッ放す……!!」
そうして必殺技の構えを、一斉掃射の構えを取ったセラは……照準を定め。戒斗が機銃掃射で釘付けにする三体に対し、自身が持てる最大火力での全力射撃を撃ち放った。
「フルチャージ! 最大火力……全部乗せ、持ってけぇぇぇ――――っ!!」
両手のマシンキャノンとガトリング機関砲が吠え、両腰の榴弾砲が雄叫びを上げ。太腿のミサイルポッドは物凄い量のマイクロミサイルを放ち、そして両肩の重粒子加速砲からは太い重粒子ビームがブッ放される。
――――『アポカリプス・ナゥ』。
これこそが、神姫ガーネット・フェニックスは重砲撃形態ストライクフォームの必殺技。煉獄を体現するその一斉射撃は、比喩抜きに街ひとつを消し飛ばすほどの威力。万物を焼き尽くす地獄の焔のような猛攻撃は、まさに
――――爆炎。
ガトリング機関砲とマシンキャノンから撃ち放たれる砲弾に引き裂かれ、着弾した榴弾が炸裂し。何十ものマイクロミサイルが弾け、そして超強力な重粒子ビームに灼かれた三体のバンディットは、途端に物凄い爆発の中に包まれてその姿を消していた。
それこそ、地響きがするぐらいの爆発だ。そんな強烈すぎるほどの爆炎の中に、三体のバンディットは消えていった。
「アタシのキスの味、どうだったかしら?」
地獄の業火を体現する全力射撃を受け、三体のバンディットは猛烈な爆炎の中に消えていった。
セラと戒斗、そしてアンジェと遥はクルリと後ろに振り返り、背後で巻き起こる盛大な爆発を背にして、四人が颯爽と並び立つ。
「――――此処が、アンタたちの
そんな凄まじい爆炎を背に――――重武装のセラは不敵な笑みを湛え、呟いていた。
(第十四章『Through the Fire』了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます