十年の間寄り添い愛し合った恋人の加奈子には実は許嫁がいて、今日はその二人の結婚式の日。深く結ばれ合っていたはずの加奈子との関係は終わりを告げ、許嫁の男と結ばれる……両親を失い家族を求める私と、両親が敷いたレールの上を歩かされる加奈子。お互いの心の隙間を埋め合うように結ばれ合った関係が終わるときの二人の内面を映し出した悲愛の物語。一人称視点で書かれてはいますが、許嫁との結婚が決まり、わざと恋人に冷たく当たる加奈子の心境を思うと胸が痛くなります。