reload.2 閑話休題
冬弥「あと4時間くらい暇があるけど自由行動でいいか?」
宿屋のカウンター横で朝食のパンを頬張る二人がこちらを見る。
翠「うんいいよー、私服見に行きたいなぁ」
アルバ「私も行きたいのです!」
あれ、服って別に見なくてもいいんじゃ…まぁ女子は色々あるか
冬弥「じゃ、食べ終わったら上に戻ってそこから解散でいいか?」
翠「うん!」
アルバ「そうと決まれば早く食べるのです!」
アルバが急いでスープとパンを口に入れようとする。
冬弥「急がなくてもいいよ、食べ物と作ってくれた人に感謝しながらゆっくり食べな」
なんか親みてぇなこといったなとか考えてると、横から親父さんが高笑いする。
マスター「ははは!坊主!急に父親味がましたな!」
冬弥「俺もそう思った、俺の親父とお袋もこんな気分だったんだなって」
翠「わかる!アルバを見てると母性本能がくすぐられるというか、お世話してあげたくなるの!」
アルバ「アルバは二人と同じくらいの年なのです!子供扱いしないで欲しいのです!」
アルバがふくれっ面になる。そういうとこやぞ、ほんまに。
冬弥「そういうとこやぞ、アルバ」
アルバ「うぅー!もう!早く行くのです!」
翠「はーい!行こいこー」
冬弥「親父さん、今日も美味しかった、ありがとな!あと一週間くらいよろしくな!」
マスター「おう!お前ら美味そうに作ってくれて料理冥利に尽きるってんだ」
親父さんがシンクで皿を洗いながら手を振ってくれる。こんなにいい宿なのに客足はそこまで多くないんだよな、なんでだろ。
翠「冬弥ー?行こー?」
冬弥「はいはーい」
その後、適当にカバンや銃を持った後、宿の前で3時までの時間休憩にした。
冬弥「さて、あれは出来たかなー」
鼻歌交じりで店の並ぶ通りの裏路地に回ると、ひとつの宝石店に着いた。
冬弥「親方、この前注文したやつどうだ、出来そうか?」
俺が話しかけると、裏から髭の生えた老人がニヤリと笑ったあと、奥から小さな箱を3つ持ってきた。
親方「おう、お前さんのくれた素材が上質だったから最高の出来だぜ」
老人は箱を開けて、俺に出来を見せてくれた。どちらもいい出来であることは素人目にもわかった。
俺はそこからひとつ取り出して、自身の指につけた。それを付けると、少し体が軽くなった気がした。なるほど、いいものだ
冬弥「いいな、これ、えーっと、いくらだっけ?」
親方「全部合わせて480だな、払えるか?」
冬弥「最近入り用で臨時収入があってな、払えるよ」
俺はカバンから皮袋を取り出して、老人にそのまま支払った。
冬弥「500入ってるよ、いい出来のもん作ってくれたからその分のチップで貰っておいてくれ」
親方「おう、なんか用があったらまたよろしくな」
冬弥「ありがとな」
都ってだけあってある店ある店がいい店だな。っと
冬弥「さて、二人とも?服屋に行ったんじゃ?」
さすがに怪しむよなぁ、結構一人行動が多くなってたし
翠「げっ…いや、これは、その、歩いてたら見かけて」
アルバ「最近冬弥が1人で怪しいから、尾行してたのです!」
翠「なんで言っちゃうの!?しーっていったじゃん!」
アルバ「あっ!そんなことないのです!ただ見かけたから見てただけなのです!」
もう遅いぞ、あと、緑がその反応したら答え言ってるようなもんだ。
冬弥「まぁ、これは俺が悪いわな…後で渡すつもりだったんだがなぁ」
さっき親方から貰った箱を2人に渡す。2人は箱を開くと、首を傾げた。
翠「ん?なにこれ?指輪?」
アルバ「ネックレスなのです!」
冬弥「ん、翠には一応結婚指輪、アルバのは家族の印みたいな感じかな、鍛冶屋に頼んで魔道具を作ってもらった」
結婚指輪って単語を俺の口から出す日が来るとはな。あ、翠顔赤くしてる。かわいい。
翠「あ、ありがと、ま、まぁ!わかりやすい指標があれば結婚してるってひと目でわかるもんね!」
冬弥「おう、効果の感じはどうだ?確か、翠のは集中力増加と敏捷性、攻撃力激化だったっけな?」
翠「うん、いい感じ!」
翠が手をグッパッして感触を確かめている。アルバの方は…?何してんだろ。アルバの方へ目をやるとアルバは箱の中に大事そうに閉まっていた。
冬弥「アルバ?つけていいんだよ?」
アルバ「ダメなのです!つけて壊したり無くしたりしたら嫌なのです!だから冬弥が預かってて欲しいのです!」
アルバが大事にしまった箱を俺に渡してくる。
冬弥「アルバ、これはつけて欲しくてお前に買ったものだから、壊してしまってもいいんだよ、無くしたらまた買いに行けばいいよ」
アルバから貰った箱からネックレスを取りだし、アルバの首につけてあげる。
それを見て、翠が大きな声を上げた。
翠「あー!ずるい!私も!」
アルバ「ふふん、付けてもらったのです!」
何がずるいのか…てか、アルバこれが狙いだったらすげぇな、いやでも偶然か。
そんなことを考えていると、翠が少し照れながら俺に箱を渡してきた。
翠「ん!」
冬弥「どしたの?」
翠「だから!ん!」
早く受け取れと言わんばかりにずいと俺の胸元まで箱を押し付けてくる。
冬弥「ん?」
翠「私にもつけてよ!ばか!」
冬弥「あぁ、ハイハイ」
俺が翠の手を取って左手の薬指に指輪をつけてあげると、ぴょんぴょんとはねて喜んでいた。女心は分からんな。
冬弥「で?2人はこれからどうする?俺はもう終わったから予定地で訓練の概要の説明受けに行くんだけど」
アルバ「私も行くのです!」
翠「私も行く〜、あれだっけおおまかな内容に沿って私らが決めていいんだっけ」
冬弥「あの騎士が言うにはそうらしいけどな、まぁ国の大きな訓練ってくらいなんだ、隊長やらだれやらはいるだろう、そこと詰めていこ」
翠「そうだねぇ、あ、ウチらは魔法使えないからアルバは魔法のことを教えてあげてね?教えることは私らが指定するから」
アルバ「任せるのです!」
アルバが勢いよく手を挙げる。なんかこういうのっていいよな、この一週間わりとハプニングというかいろんなことが起こったから日常が恋しいな。
翠「冬弥?どうしたの?」
冬弥「ん?なんでもない」
俺たちは三人でゆっくりと歩いて都南の門へと歩いていった。
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