十一発目 最強銃士、潜伏する(後編)



男「おい、クラント、お前の知り合い連れてきてやったぞ」

翠「えへへー、捕まっちゃったぁ」

男に連れられて私はクラントのいる地下牢についた。

クラント「なっ?!お前、なんで?!」

クラントが驚いて立ち上がろうとする、が、ガチャガチャと音を立てて後ろに倒れる。鎖かなにかで繋がれてるみたいだ。

翠「クエスト受けたんだけど、家にいないわ荒らされてるわで探しに来たのよ」

クラント「そうか…すまない」

男「まぁ、辺境伯の屋敷行きの馬車が用意できるまでお話してな、最後になるかもだしな」

男が行ったのを確認して、私はクラントに話を振る。

翠「で?どういうことなの?」

クラント「あ、あぁ実はな…」

クラントは私に今回の荷馬車の中身とそれを入手した経緯、それの力について教えてくれた。

翠「ふーん、つまり、そのオーブって言うのがあればなんでもひとつ願いをかなえられるのね」

クラント「あ、あぁそういう事だ、色々叶える際の誓約もあるみたいだがな」

なんでも願いを…ね。私なら冬弥との未来を願っちゃうかな、ってそうじゃなくて、どうやってここから抜け出すか考えないと…?

翠「あれ?スキル封じ?…ってことはあれは使えるのかな」

私はひとつ頭の中でイヤーカフスの換装を念じてみる…あたり!スキル封じって言ってもそれはアープが与えてくれた換装は封じれないみたいね。まずスキルですらない判定なのかも。

つまり…

翠「換装 スキル封じの手枷」

そう言葉に出すとカシャンという音とともに、牢の地面に私の手首についているものと全く同じものが出てきた。これ、全く構造を知らないものだと、声に出さないと出来ないのね。

翠「クラントは手の方きつくは縛られてないよね、ちょっとその手枷から鍵とって、私の手枷外してくれない?」

クラント「あ…あぁ、わかった」

初めて見る光景にクラントが戸惑いながらも私の手枷を外してくれる。よし、逃げる準備OK!

翠「クラント、縛られてる部分の鍵穴見せて」

クラント「ん?あぁだけど簡単に外れなそうだぞ」

翠「いや、もとより外す気は無いし」

クラント「ん?どういう事だ?」

私は腿につけていたM9バヨネットにサプレッサーを付けて鍵穴を撃ち抜いた。この世界のものならこれで一通り壊せんじゃないかな…。

翠「よし!帰ろっか」

クラント「お、おう、でも見回りとかに来たらすぐバレるぞ?」

翠「ノンノン♪ これはバレてもいいの」

私が人差し指をご機嫌に降ってクラントに話す。

翠「だってこれは冬弥が気づくように裏路地を騒いでもらうための脱走だもの」

クラント「トウヤもきてんのか?!お前らは…揃いも揃って何してんだよ…」

翠「依頼?」

クラント「まぁ、そりゃあそうだな」

翠「うん、さ!行くよ!」

こうして、こっそりとボロ小屋から抜け出した私達は月と反対方向へと歩いて向かった。

翠「今日は冷えるなぁ」

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