十発目 最強銃士、索敵に本気を出す。
宿に帰って準備を終えた俺達は、クラントとたちに紹介されていた4番街の赤い屋根の家を立ち寄った。しかし、その家の扉は蹴破られており、そこから覗ける部屋の中も荒らされている。
翠「あれ?確かここだよね?」
冬弥「あぁ、そのはずだ、4番街だし、ここの近所を見ても赤い屋根の家はない」
翠「てことは、つまり…」
冬弥・翠「襲撃された?」
俺と翠は同時に結論を声に出す。そう、『襲撃された』という結論を、そこから考えを張りめぐらせる、理由・目的は?相手は?相手の数は誰だ?
翠「…ダメだね、まず情報が足りないよ、とりあえず索敵と探索から入らないと」
冬弥「そうだな、コール『武装迷彩ドローン』」
翠「何それ!それも銃火器判定なの?!」
翠が羨ましそうに飛び跳ねているがまず置いておこう。
冬弥「飛べ」
俺の一言でドローンの羽は高速で回転を始める。
翠「え…声紋認証?そんなドローンってあっちに存在したっけ?」
冬弥「俺の自作機だから、多分ないんじゃね?」
翠「内緒で作ってたの?工具も揃ってないのに?あとで詳しく聞くから」
やべ。口が滑った。翠に1人で危険なことだけはするなと言われていたのを完全に忘れていた。
冬弥「まぁまぁ、とりあえず上から探索はしてみる、めぼしい所だけは絞っておく」
翠「りょーかい、私は手がかり探してから、索敵に移るよ、二手に別れてクラントを助けましょ」
翠の声色が変わった。これはどう考えても頭にきてるな。翠の声のトーンが落ちる時は怒っている時、口調が変わったら戦闘に移る時だ。
試合前とかはよく口調が悪くなっていた。
かく言う俺も、完全にプッツンしている。犯人を見つけたら完全に打ち抜く気満々だ。
冬弥「さてと、本人のいそうな場所は」
大体の目星はつく。こういう時は、酒場にでも行くか。
冬弥「やぁ」
チンピラA「おい坊主、お前みたいなガキが来るところじゃねぇぞ」
チンピラB「がっはっはっ、帰ってママのミルクでもすってな!」
お決まりのセリフを言ってくるチンピラを無視して、マスターの元へ行く。
冬弥「マスター、いちばん強い酒を」
マスター「…責任はとらねぇぞ、後、ぶっ倒れられても困るから料金は先に払え」
冬弥「了解、なぁ、お前ら!誰か俺と飲み比べしねぇか?俺に勝ったら300ゴールドやるよ!ただし!負けたらクラントの情報を吐いてもらう」
と、俺は後ろを向き直って反応を伺う。
チンピラA「乗った!お前みたいなガキ酔い潰して300ゴールド貰えるなんていい仕事じゃねえか!」
チンピラAが何も知らずにこちらへ来たが、他に数人、『クラント』という名前を聞いて反応があったヤツらがいる。そいつらに後で問いただすか。
冬弥「よし、分かった、ここに300ゴールド置いておく。料金は別々で払おう」
チンピラA「よし、じゃあスタートだ!」
チンピラAは思い切りコップいっぱいのテキーラ(?)を飲み干した。
数分後、チンピラAはカウンターテーブルに突っ伏していた。酔い潰れたみたいだ。
冬弥「さて、他には?」
俺がもう一度挑発のように誘ってみるが、他の奴らに反応はない。よし、さっきのヤツらから聞き出すか。
冬弥「なぁ、そこのローブの男、あと、緑のバンダナ、それに口ひげのオヤジもだな、お前ら、クラントってやつ知らねぇか?」
ローブの男「は?知るわけねぇだろ?」
緑のバンダナ「そうだ!俺らがなんで知ってんだよ、そんな野郎のこと」
口ひげ「第一、俺らが何かしたって証拠もないだろ」
ビンゴ、こいつらバカだな。あっさりと自白してくれた。
冬弥「ローブ、発汗量が増えすぎだ、バンダナ、誰が「野郎」って言った?口ひげ、俺はまだお前らが何かしたとは行ってねぇぞ?」
3人「ぐっ…」
ローブの男「チッ クソがっ!ガキが調子乗ってんじゃねぇぞ!おら!やっちまえ!」
ローブの男が2人に指示を出すと、2人は俺に襲いかかってくる。だが、もう終わっている。動こうとした瞬間2人は床に大きな音とともに倒れ込んだ。
冬弥「あーあ、相手がどんなやつかもわからずに突っ込むから…で?次は?あんたか?」
ローブの男を睨むと顔を青ざめて、膝から崩れ落ちた、
ローブの男「わ、分かった、話す」
そう言って、ローブの男はクラントの襲撃・誘拐の理由、及び場所を吐いてくれた。
理由:今回の積荷が超高価なもので襲撃
五番街裏路地にある、ちいさなボロ家。
という事だ、あと数軒回って聞くつもりだったのに案外早くわかったな。
冬弥「そいつらは多分あと、5時間もすれば起きると思うぜ」
そう言って、ローブの男の横を通り過ぎて、俺は酒場をあとにした。
冬弥「さてと」
ザザッ
冬弥「場所がわかった、五番街裏路地のぼろ家だ」
翠『ほんと?じゃあそこ行ってみる、そこで合流ね』
ザザッ
イヤーカフスの通信が切れた後、俺は満月の光る夜空を眺めながらゆっくりと五番街へ向かった。
冬夜「今日は寒いな」
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