最強対最強、力は交錯する。
九発目 最強、異世界を満喫する。
カーテンのない窓から光が差し込んでくる。その眩しさで俺は目を覚ました。
冬弥「ふぁあ、夢では…ないのか」
間の抜けたあくびと共にこの状況が夢ではないことを再確認する。
冬弥「おい、翠、朝だぞ、起きろ」
隣で寝ている翠の方を揺すって翠を起こす。
翠「ん、、もう朝?」
翠が起きかけの頭で俺に返事をする。それにしてもかわいいな。
冬弥「おう、めちゃめちゃ天気のいい朝だぞ」
翠「ほんとに!?やった!」
「天気のいい」と言う言葉に反応し、翠はベッドから飛び起き、眩しい光の指す窓際へとかけて行く。
今日は2人で街を散策しに行くという約束だったのだ。先に行っておくがこれはデートでは無い。もしそうだったらいいのだが、これは食料や備品の補充や、この世界のことをもっとよく知るための事務的なものだ。残念だ。
翠「よし!着替えて早く行こう!」
翠が指輪に念じると、服がかわいらしいいつもの私服に変換される。
冬弥「あ、ちょっと待った、その格好だと目立つし、こっちらしい格好にしようぜ」
翠「あー、そうだね!そうしよっと」
翠と俺は着替えをすまし、朝食を食べ、顔を洗って宿を出た。
冬弥「やっぱり日本じゃないんだなって改めて思うな」
翠「そうだねぇーでも、食事が美味しいところでよかったね!」
冬弥「それはそうだな、ま、午前中散策したら、ギルドに行こうぜ」
翠「うん!」
翠「はぁ、楽しかったー」
冬弥「そうだなー街歩きってなかなか楽しいもんだよな」
この街を散策してみて思ったことが幾つかある、1つ目は本当に食事が美味しいことだどこの店を見ても、とても美味しいと言える。
2つ目はこの世界のアイテムのことなんだが、それはおいおい説明していくとしよう。
翠「さて、今日もひと仕事しよっか!」
冬弥「だな、今日はどんな依頼があんだろな」
俺と翠がギルドに入ると、まず違和感を感じた。ギルドが異様に静かだ。いつもは往来の激しいこのギルドでほとんど物音がしない。人がいるのにも関わらずだ。
冬弥「ん?どうかしたのか?」
剣士「アイツらだぜ、一日で白金級まで上がったの」
魔道士「ホントか?結構若いように見えるけど」
そんな声があちこちでヒソヒソと聞こえる。
白金級?何の話だ?とりあえずファミスに聞いてみよう。翠もそう思ったのか静まり返ったギルドの中、歩を進める。
ファミス「あら、期待のルーキーさん、いらっしゃい」
ファミスが冗談交じりで受け付けてくれる。
冬弥「なぁ、プラチナまで上がったってのはどういうことだ?俺たちってまだゴールドだよな?」
ファミス「あぁ、それは、昨日あなた達が帰ったあとに、ギルドで評議があったの、そこで功績が認められて晴れてプラチナランクって事」
翠「あれ?でも、プラチナ以降は信用と実績が必要なんじゃなかったっけ?」
ファミス「あぁそれは私が保証したわ、1番関わったのは私だしね」
ふむ、、『鑑定』…?!なるほど、そういう事か、だからファミスは俺らを信用したのか。
冬弥「それってスキルの影響か?」
ファミス「よく分かったわね、『善悪の審判』っていう私のスキルで判断したの、ギルド職員で長い人はみんな持ってるわ」
鑑定によると、『善悪の審判』とは、相手が悪意を持って行動しているかどうかが、また、今後悪意を持った犯罪行為に手を染めるかが分かるものらしい。割とぶっ壊れてんな。
冬弥「へぇー、じゃあファミスに保証された俺達は安全な人物ってことで信用されたのか?」
ファミス「詳しくいえば、私の「保証」をギルド職員がスキルを使って判断したって感じよ」
翠「へー、なるほど、相手の行動自体にも使えるからそんな使い方もあるんだ」
ファミス「まぁ、そう言うことでプラチナランクになったことでひとつ上のランクのクエストが開放されたわよ」
翠「あ、そう言えば、ファミスさん、クエストランクについて説明してなかったよ、私は昨日盗賊から聞いたけど」
ファミス「ほんと?!私ったらご、ごめんなさい!」
ファミスが慌てた様子で深々と頭を下げる、
冬弥「ま、まぁ昨日は俺らのせいで忙しかったってのもあるしイーブンってことで」
うん、大元を辿れば原因俺達に着く、だからファミスの不手際だった訳では無い。前代未聞にあれだけ臨機応変に対応出来たのは凄い。
ファミス「そう言ってくれると嬉しいわ」
一通り説明が終わると、今度は受けられるクエストの話になった。
クエストはそのランクで倒せるランクからひとつ上のランクまで受けられるらしい。
3回以上の失敗か、一定数以上の日数受注しないことで、ランクがひとつ下がるらしいけど、プラチナ以上は無期限らしいからこれはもう関係がない。
今の俺達はSランクまでだな
そんなこんなで説明が全て終わったため、俺達は今日の依頼を探し始めた。
冬弥「さーってと、今日はどうするかな?」
翠「なんか楽しそうなのがいいよねぇ」
冬弥「それなー、ってあれ?これって」
俺はとあるひとつの依頼状に目がいった、それは、行商人を護衛する任務だったのだが、依頼者が、
翠「グランド…ってことはクラントさん?」
ファミス「ええ、そうよ、うちの旦那よ」
ファミスが俺たちの話を聞いていたのか受付けから出てきて話してくれる。
冬弥「あー、やっぱり?」
ファミス「そ、今回はもっと東の水の都へと行くらしいのよ」
冬弥「じゃあこれにするか?翠」
翠「冬弥がいいならそれでOKー」
ファミス「あなた達はほんとにお似合いね」
ファミスがニコニコして、俺たちに行ってくる。そして、俺の耳元に来た
ファミス「でも、ほんとに結婚したら言ってね、良い指輪のお店紹介したげるわよ」
と、一言いわれてた。この人、気付いた上で言ってたのか…
冬弥「そうなったら、な」
ファミス「うふふ、楽しみにしておくわ」
そんな話をしてたらおいてけぼりにされた翠が割り込んできた。
翠「何話してんの!」
冬弥「なんも話してねえよ?」
ファミス「あらあら、旦那さん取っちゃってごめんなさいね」
翠「うぅ、もう!」
翠がふくれてしまった。まぁ、フリだとしてもこんな俺が旦那なんて嫌だよなぁ。
翠「そーじゃなくて!…私のなんだから…」
ん?!?!…これは…他意がないんだろうけどめちゃくちゃ嬉しい…。
ファミス「2人とも顔真っ赤にしちゃってウブねぇ」
冬弥「ま、まぁ、さっさと準備して、クラントに報告に行くよ」
ファミス「そうね、いってらっしゃい、旦那をよろしくね」
翠「はーい」
そして、俺と翠はギルドを出て宿に戻った。
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