五発目 最強、依頼を受注す。



冬弥「さてと、一気にゴールドまで上がってしまった…」

翠「この後どうしよっかー?」

俺と翠は渡されたギルドのステータスプレートをぼーっと2人で眺めている。

それもそのはず、普段はノーマル、良くてブロンズスタートの冒険者が、ゴールドからスタートなんて、異世界からきた俺らでもどれだけ異常かがわかる。

冬弥「とりあえず、クエスト、依頼の受注をしてみるか、プラチナに上がるには信頼度も必要だって言ってたし」

翠「そーだねぇ、何にしよっか?適当に選ぶ?」

冬弥「そーだな、いっせーので指さすか」

翠「いっせーの!」

俺と翠はバラバラに2つの依頼書を指さす。

俺の方は、オーク・オーガの討伐依頼。

翠の方は、盗賊の討伐依頼だ。

冬弥「えぇ、めんどそうじゃね?」

翠「いいからいいから!」

翠が俺の腕を引っ張って、クエスト受注受付所まで連れていく。

ファミス「あら、もうクエストに行くの?1日くらい休んでもバチは当たらないのよ?」

先程までは、ものすごく慌てていたファミス含めギルド職員は皆、ギルド内の混乱を防ぐため平静を取り戻し、普段通りに受付、仕事をしている。さすがプロだな。

冬弥「いや、とりあえず1日ひとつはやっておこうかなって」

ファミス「そう?なら、無理だけはしないように、いってらっしゃい」

ファミスに見送られ、俺と翠はギルドを後にする。都の門を抜けると、来る時に通った平原へと出る。ここから盗賊のアジトと、オーク・オーガの巣窟または移動中の獲物を探さなければいけない。

冬弥「さて、どうするか…」

翠 「あ!じゃあ2人で手分けして探そ!」

冬弥「いや、それはキツくないか?情報の伝達手段がねぇぞ」

翠「ふっふっふー、私を甘く見てもらっちゃー困るよワトソンくん」

翠が腰に手を当て、自慢げに胸を張っている。

冬弥「誰がワトソンじゃ、で?どうするんだ?」

翠「それはね…このイヤーカフスを使うんだ!」

そう言って、翠はポケットから黒色のイヤーカフスを取り出す。あれ?どこで取ったんだ?

冬弥「ん?そんなのどこで見つけたんだ?」

俺が首をかしげながら翠に聞くと、翠はまた自慢げに、

翠「冬弥もまだまだだね!そんなんじゃダメだよ!これはね、この指輪で出したんだ」

冬弥「あー、なるほど、イヤーカフスは身につけるものだから指輪の対象になるのか」

翠「うー!私が説明したかったのにー!」

俺が気づいたことをそのまま述べていくと、どうやら翠が考えていた結論と同じだったらしく、翠が少しふくれている。

冬弥「まぁ、怒んな怒んなって」

翠「うー、わかったよ、じゃあ!どっちが早く見つけられるか勝負ね!負けた方は勝った方の言うことを聞くこと!」

冬弥「わかった、負けねぇぞ!」

俺と翠は反対方向に走り出し、目標である。3つの標的を探しに行く。

平原の先へ行くと、そこには森林があり、少し暗くなっている。

冬弥「しめた、ラノベとかでは、この先に…オークの巣があるんだよ!」

意気揚々と森の中へと進んでいくと、そこには大きさ3メートル弱の豚の頭をした魔物がうじゃうじゃと歩いていた。

冬弥「ラッキー、勝ったなこれは…コール MT157K」

むーたを召喚すると、俺は、即座に標準を合わせオークに向けて引き金を数回引く。

すると、オークの頭に命中し、オーク達の頭は一匹残らず弾け飛んだ。

冬弥「あれ?もしかしなくても銃ってこっちの世界じゃチート級?」

粉々に粉砕された、頭のないオーク達を見て俺はそう思った。

冬弥「あ、連絡しなきゃ」

俺は、耳についているイヤーカフスの電源を入れ、翠に伝える。

ザザッ

翠『どーしたの?もしかしてもう見つけた?』

冬弥「オークの方、倒し終わったぞ」

カフス越しでも翠が驚いている顔が想像出来る。

翠『早くない?!ぐぐぐぅ絶対に盗賊とオーガは私が見つける!』

ブチッ

めちゃくちゃやる気あったな…勝ちを譲るかなぁ、いやいや、あいつすぐに俺の嘘に気づくからやでやめとこう。そんなことしたらもっと怒られそうだし。

そう言って俺と翠はオーガと盗賊探しを続けた。

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