三発目 最強、ギルドに登録す。



冬弥「おぉ、着いたか」

この世界に来て俺達は初めてこの世界の文明に触れた。

翠「すごいねぇー発展度は…近代くらいかな?」

冬弥「あぁ、この世界の情勢も何となくの推測が効く。まだ王政だな」

街を眺めるにこの世界は科学技術が発展せずに、魔法技術が発展した地球のようなものだろう。なんかものとか浮いてるし。

クラント「ん?どーした二人とも?何やらブツブツ言って」

俺達がこの世界について考察を重ねていると、クラントが首を傾げ、こちらをのぞき込む。

冬弥「クラント、それは美少女がやんないと意味がな…いや、なんでもない」

クラント「ははは、まぁ、そんなことよりも、ギルドに登録するんだろ?案内するぞ?」

クラントが俺の突っ込みも気にせずに笑いとばしている。しかし、この人はどこまでお人好しなんだ。都に着いたら即サヨナラだと思ってたんだが…いい人に出会えたな。

冬弥「じゃあ、お言葉に甘えよう、案内をお願いしていいか?」

クラント「任せとけ!ここは俺の住んでる場所だ、間違っても迷ったりなんかしねぇよ!」

クラント、それはフラグじゃあ…。

そんなクラントが立てたフラグは見事にへし折られ(個人的には回収して欲しかったが)、何事もなく「冒険者ギルド」と呼ばれる建物に着いた。木造建築の長屋?で、中では鎧やローブをまとった冒険者らしき人達が行き交ってる。

クラント「ファミー!元気にしてたかぁ、愛する夫が帰ってきたぞ!」

クラントが元気よく中へと入っていき、一人の受付嬢の元へと走っていく。

ファミス「ちょっ!あなた!仕事中はそのあだ名で呼ばないでって言ったでしょ!職場の人たちに知られたくないのに!」

周りの人達は和やかな、あたたかい視線を受付嬢とクラントへと送っている。

クラント「だって、家のとおり読んだ方が呼びやすいだろ?あ!そうそう、冒険者の登録をお願いしたいんだ」

ファミス「ん?あなたが冒険者の紹介?どんな冒険者?」

ファミスが俺らを探し首を傾げている。

クラント「おい!ミドリ!トーヤ!さっさと登録してしまおう!」

翠「はーい!行こう行こう!」

翠がやっと元気に話し出した。先程までブツブツと考え込んでいたから、なにか掴むことが出来たみたいだ。

クラント「こっちが、グリュプスの平野から俺の用心棒をしてくれたトーヤとミドリだ、腕は確かだ、俺が保証する」

ファミス「ただの行商人なのに、何でそんなに自信満々何だか」

ファミスがやれやれと言った表情で俺たちのことを観察し出す。

翠「えっと?クラントさんこの人は?」

翠がこの女性について尋ねると、クラントは待ってましたと言わんばかりに目を輝かせ、

クラント「こいつはな!俺の奥さんであり、ここの受付嬢のファミスだ!」

冬弥「クラント…あんたこれを言いたかっただけだろ」

クラント「ははは、バレちまったか!まぁ、言っておきたくてな!ま、あとはファミーに任せて俺は仕事へ戻るよ、住宅地の四番街、赤い屋根がうちだ、何かあったら遠慮なく言ってくれな!」

そう言って、クラントは満面の笑みで、手を振ってギルドをあとにする。

ファミス「はぁ、全くあの人ったら…あ!そんなことより、ギルドの登録ね?」

ファミスが思い出したかのように、記入用紙を渡してくれる。

冬弥「まぁまぁ、いい旦那さんじゃないですか、あの人といると楽しいしな」

ファミス「まぁ、毎日楽しいんだけど」

ファミスの顔が笑顔になる。

翠「えーっと?ここに記入すれば?」

翠が渡された紙(羊皮紙というのだろうか?)に記入する項目を確認する。

ファミス「ええ、職業と、メイン武器、魔術などは使えれば記入して」

冬弥「魔術ってのは、風、とか炎、とか属性でいいのか?」

俺は、魔術についての情報を引き出そうとする。ここは少し嘘を書いてみるか、どこまで発展してるかも気になる。

ファミス「はい、そうです…と、これで大丈夫?」

俺と翠は記入欄を見直し、首肯する。

すると、ファミスの雰囲気が代わり、いきなり敬語で話し出す。まぁ、説明だし、砕けていたらさすがにだめか。

ファミス「それでは、ランク について説明致します、冒険者には、ランクが存在し、それによって受けられるクエストが変化します。ランクはノーマル ブロンズ シルバー ゴールド プラチナランクの5つになります」

冬弥「ほーほー、光沢の段階に習ってランクも上がっていくのか」

俺が考察を並べていると、ファミスが

ファミス「はい、そして、ある一定数の偉業を重ねると、ランクは上がっていきます、プラチナまで上がった後、ギルド長から認定が貰えれば、サファイヤ ルビーなどの宝石名になぞった個人専用特殊ランクが貰えます」

冬弥「今いる特殊ランク持ちって何人?」

ここの世界って金属とか宝玉の概念や名前ってあっちと一緒なんだなふと気になった疑問をファミスにぶつける。

ファミス「はい、今は、ルビー、サファイヤ、エメラルドの3名ですね、他に質問は?内容でしたら、明日、試験を実施致しますので、武器をご持参し、ギルド裏の闘技場までお越し下さい」

ファミスが手馴れた動きで、案内を完了する。

翠「あのぉー、それって今日実施って出来ますか?」

翠がおずおずと手を挙げ、ファミスに尋ねる。うん、可愛い。

ファミス「今日ですか?、まぁ、一応出来ますけど、準備の方は…?」

俺達は、その言葉に対して否定する。

冬弥「いや、安眠なんかしたら調子が落ちそうだし、出来るのならば調子のいい今日したい」

翠「私もおんなじ意見でーす」

翠が少しやる気なさそうに手を挙げている。あれか?俺に台詞取られてやる気失くしたか?後でなんか買っておこう。

ファミス「そうでしたか、では、闘技場へご案内致します。こちらへ」

ファミスに案内してもらうとその先には、大きな闘技場、いや、模擬戦闘場?があった。

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