18話 俺の幼馴染が理不尽すぎる!
俺たちはあの後何事もなくラピスさんの家の前にまでたどり着いた。
「さて。 ここが俺の下宿させてもらってる家だよ」
「なんか普通の家だな」
「お前失礼なこと言うなよ!」
「そんなことより早く家の中に入らないか?」
「待て!」
俺はそう言った後ハクの腕をつかんだ。
「急にどうしたんだ?」
「今のお前の状態で入ったら確実に俺の社会的な死は免れない!」
「だったらどうするんだ?」
「とりあえず俺が今からラピスさんに話をつけてくる。 だからお前はここでジッとしてろ」
「わかった」
「いいな! 絶対についてくるなよ! 絶対だからな!」
「わかっている。 さっさと行ってこい」
俺はハクに念押しをしてから家に入った。
「ただいま!」
「お帰り俊。 少し帰りが遅かったようだけど何かあったの?」
「何もねぇよ」
「えぇ〜? ほんとにござるかぁ?」
そう言ったのはルビーだ。
てかその言い方マジウザいな!
「なあなんでお前がここにいるんだ?」
「それは私があの受付嬢にお願いしたからですよ。 あの受付嬢私がお願いをしたらすぐに許可をしてくれて少々拍子抜けでしたけどね」
ラピスさん。
あんた少しお人よしすぎませんか?
俺だったらこんな変態と絶対に一緒の空間で暮らしたくないぞ?
「ですからこれでいつでも俊さんといちゃつけますね!」
「何アホなこと言ってるんだよ……」
「ねぇ俊。 そう言えばその女と俊ってどんな関係なの?」
「そんなの決まっていますよ! 私と俊さんは付き合って……」
ルビーは俺と付き合っていると言おうとしたのだろうが千鶴の目が鋭くなり、 睨みつけられたことによって完全にビビって何も言えなくなってしまったようだ。
「それであなたと俊の関係は?」
「わ、 私と俊さんの関係は……」
「こいつは俺をこの世界に転生させてくれた女神の一人だよ」
「そうなの?」
「そ、 そうです」
「ふ~ん。 でもあなたさっき嘘でも“私”の俊と付き合っているとか言おうとしたわよね? そんなあなたには少しお仕置きが必要なようね」
お前やけに私って部分強調したな。 それと俺はお前のものなんかじゃねぇよ。
「た、 助けてください俊さん!」
ルビーは俺の足に泣きながら抱き着いてきたが正直あの状態の千鶴とは関わりあいたくない。
それにこいつがお仕置きされている間にラピスさんに話しやすくなるしな。
そう言えばラピスさんは今どこにいるんだ?
「それと俊。 その後ろにいる女誰?」
「へ?」
俺が恐る恐る後ろを振り向くとそこにはハクがいた。
「なんでお前ここにいるんだよ!」
俺はダ〇ョウ倶楽部的なのりでお前に言ったわけじゃないんだぞ!
「それはシュンの帰りが遅かったし、 それにとてつもなく邪悪なオーラを感じたからもしかしたらお前の身に何かあったのではないかと心配で来たんだ」
「ふふふ。 俊にもお仕置きが必要ね……」
「お、 落ち着け! これには深い事情があるんだ! だから俺の話を……」
「浮気者には死を!」
千鶴はそう言いながら包丁を左右に持ち俺とルビーに襲い掛かってきた。
「「だ、 誰か助けてぇぇぇぇぇ!」」
俺たちはそう叫んだが誰も助ける者はいなかった。
因みにハクだが千鶴の奴のオーラに蹴落されたのか一歩も動くことができないでいた。
そして俺とルビーは仲良く三途の川を見る羽目になった。
てか不死の存在であるルビーに三途の川を見せるってお前はいつから不死殺しになったんだよ!
そして俺はハクに顔をなめられ目が覚めた。
隣ではルビーの奴がまだ気絶していた。
「ええと。 シュン様。 その方は一体どうなされたのですか?」
どうやらラピスさんは達の治療をしてくれたようで救急箱を手に持っていた。
「ええと、 それは、 あの……」
正直なんて説明すればいいんだぁぁぁぁぁ!
だってハクの正体がフェンリルだって言えないし、 それ以外でこの状況どう説明すればいいんだぁぁ!
「シュン様。 もしかしてその女性に対して何か言えない秘密があるんですか?」
「はい……」
「そうですか。 なら私は深くは聞きません。 それと後ろの、 ええと……」
「ハクだ」
「ハク様。 とりあえず私の服を貸しますのでこちらについてきてください。 それとハク様の部屋も準備しますね」
「ラ、 ラピスさん!」
あなたはやっぱり女神や!
隣で寝てる変態とは大違いや!
「ねぇ俊。 私はあの女もそこアホの滞在も認めないわよ?」
おっとやはり千鶴はハクの滞在を認めてくれないようだな。
ん? ルビーはいいのかって? あんな変態の事しったことか!
「なあなんで千鶴はそこまで反対するんだ?」
「そんなの決まってるじゃない! 俊があの女たちに襲われるかもしれないからよ! 俊を襲っていいのは私だけなんだから!」
本当にこいつの頭は俺の事しか考えていないのな。
てかお前は俺の事襲ってもいいのかよ!
「ならどうしたらあいつらの滞在を認めてくれるんだ?」
「そうね。 じゃあ俊から私にキスして」
こいつ今なんて言った!
キスを俺の方からこいつにしろとか言わなかったか!
「ふふふ。 さあどうするの俊?」
正直千鶴がキス一つでハクの滞在を許してくれるなんてかなり破格の条件だ。
だが! 俺があの殺人鬼に自らキスをするということは、 どうしても耐え難い!
「グッ!」
「さあ! どうするの?」
「お、 俺は……」
「煮え切らないわね。 じゃあ今から十秒数えるからその間にしなかったら私との間に子供を作らないとダメっていう条件に変更するわ!」
「な! それは!」
「はい! イーチ。 ニー。 サーン。 ヨーン……」
ヤバいヤバい! 早く決めないと完全にGAMEOVERだ!
「ゴー。 ローク。 シーチ……」
ええい! こうなったら仕方がない! 俺も男だ! やってやる!
「ハーチ。 キュ……」
そして俺は千鶴に対して自らキスをする羽目になった。
千鶴の奴は、 俺がキスをするのが想定外だったのか珍しく驚愕の表情を現した。
俺だってやる時はやるんだ!
「ん~ここは? って何やってるんですか俊さん!」
ルビーは俺が千鶴に対してキスをしている状況を目撃するとすぐに俺と千鶴の両方を引き離した。
「ふふふ。 俊が初めて自分の意志で私にキスをしてくれた……」
「自分の意志と言っているが半分脅迫じゃないか!」
「俊さんこっち向いてください!」
「なんだよ!」
「俊さん! 私ともキスしてください!」
「なんでだよ!」
「だってずるいじゃないですか!」
「ずるいもくそもあるか!」
「キスぐらいいいじゃないですか!」
「絶対に嫌だ!」
俺がルビーからのキス攻撃を回避しているとどうやらラピスさんとハクが戻ってきた。
「あの、 どうかしたんですか?」
「な、 なんでもありません!」
正直ラピスさんには千鶴に対して俺がキスしたことを秘密にしておきたい。
だって俺が千鶴のことが好きだなんて思われたくないもん!
「なあこの服胸のあたりがきついし、 それにゴワゴワして気持ち悪いから脱いでもいいか?」
「む、 胸が……」
ラピスさんは、 ハクに言われたことがよほどショックだったのか固まってしまった。
安心してください! ラピスさんは胸ありますよ! ただハクの奴が大きすぎるだけです!
「そう言えばエルザの奴はどうしたんですか?」
「エルザちゃんならシュン様の部屋で寝てますよ」
「あの。 なんで俺の部屋なんですか?」
「それがエルザちゃんがシュン様と同じ部屋じゃないと駄々をこねたからです」
「あ、 あのガキ!」
「でも部屋の数的に一部屋足りなかったので、 エルザちゃんと同じ部屋でもいいですか?」
「はい! 任せてください!」
本音を言うならラピスさんと同じ部屋で寝たかったんだけどな。
まあそれは無理として、 他のメンバーを見ると俺があいつと同じ部屋で寝るのベストだしな。
「それとエルザの件は町長に話したのか?」
「実は、 その件について私嘘をついてしまったんです」
「嘘?」
「ええ。 エルザちゃんは吸血鬼に捕まっていた可哀そうな子供って町長に話したんです」
「そうなんですか。 でもそれはエルザを守るための嘘ですから仕方ないと思いますよ」
「シュ、 シュン様!」
俺の言葉がそんなに感動したのかラピスさんは俺の手をブンブン振ってきた。
そしてそんな俺たちのことを三人は何処か冷めた目で見てきた。
「ええと話もついたことですし、 夕食にしませんか?」
「そうですね」
「私もそれには賛成よ」
「私お腹ペコペコです!」
「私は別に……」
「まあまあ遠慮するなよハク」
そして俺たちは五人で夕食をとるのであった。
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