14話 吸血鬼退治に行こうよ!

「シュン様! シュン様はおられませんか!」


そう言いながらどこか慌ただしそうな様子でレオンは冒険者ギルドの中に入ってきた。


「どうしたんだ?」

「実はこの近くの廃城に吸血鬼が住み着いてしまったのです!」

「吸血鬼ってあの血を吸うやつの事か?」

「はいそれで間違いありません! それでシュン様にはその吸血鬼を退治していただきたいのです。 もちろん討伐された暁には、 報酬も払わせていただきます!」


報酬ね。

俺は今千鶴に金取られてて一文なしだしちょうどいいな。


「わかった。 その依頼を受けよう。 それで廃城まではどうやって行けばいいんだ?」

「道案内については私がしてもよろしいでしょうか?」


そう立候補したのはラピスさんだ。


「ええとラピスさんって戦闘できるんですか?」

「いえ私は、 できませんよ。 ですからシュン様が私のことを守ってくれると信じてますよ」

「お任せください! この俊! 命に代えてもお守りします!」

「ふふふ。 頼もしいですね」


よっしゃぁ!

モンスターの討伐とは言えラピスさんと二人きりだぜ!


「俊さん。 俊さん。 私もついて行ってもいいですか?」


そう言ったのは自称女神のルビーだ。


「別にいいがそれにはまずお前のステータスを教えてくれ」


なぜ俺がルビーにステータスを聞いたかというと単純だ。

こいつのステータスが高かった場合俺の代わりに魔物と戦ってもらうためだ。

そして俺はこいつが戦っている間にラピスさんを口説くという魂胆だ。

ん? 女の子に戦わせるなんて最低だって?

うるさい! そんなこと知ったことか! それにこいつは変態なんだぞ!

そんな奴を女扱いできるか!


「私のステータスは、 53万です」

「冗談はいいからさっさと本当の数字を言え」

「な、 なんで冗談だとわかったんですか!」

「いいからさっさと言え!」


俺はそう言ってルビーの頭をはたいた。


「気持ちいいですぅぅぅ!」


うわ! やっぱりキモイなこいつ!


「ハッ! 失礼しました。 それで私のステータスですね。 私のステータスは、 運だけが最高値でそれ以外は、 全部最低値です」

「よし! ラピスさん! 二人きりで行きましょう!」

「ま、 待ってください! 置いていかないでください! 正直二日間も俊さんに放置されて寂しんです!」

「待て。 お前は俺がこの世界に来た時からいたのか?」

「はい。 そうですよ? 俊さんは美少女が好きだからとずっと冒険者ギルドでスタンバってたんですけど結局私から話かけるまで俊さん気づかなかったですもんね」

「お前みたいな顔だけ美少女冒険者ギルド内にいた記憶ないぞ?」

「まあそれはこの小説が漫画にでもならないと分からないので今は、 ほっときましょうよ」

「おい! お前今小説とか言わなかったか!」

「い、 言ってませんよ! そんなことより早く行きましょうよ!」

「行くにしてもお前だけは絶対に連れて行かんぞ!」

「なんでですか!」

「だって運だけ最高値でそれ以外が最低値とかただのお荷物じゃないか!」

「だ、 だってこの世界に降りる時大半の力を制限で取られちゃったんですから仕方ないじゃないですか! あ、 でも私回復魔法は今でも使えますよ!」

「おい。 今お前魔法とか言わなかったか?」

「はい。 この世界には魔法がありますよ? あれ? 俊さん知らなかったんですか?」

「ああ、 それで俺は何の魔法が使えるんだ? お前が女神なら当然知ってるよな?」

「俊さんは、 この世界にあるすべての魔法が使えますよ」


おお! まじか! ということはメ〇とかフ〇イアとか言ったら火が出るのかな!


「ただし俊さんが30歳までチェリーボーイだった場合ですけどね」

「バカやろぉぉぉぉ! ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!」


なんで三十歳まで童貞貫抜かなくちゃいけないんだよ!

あ! そっか! 俺たちの世界でも30歳まで童貞だと魔法使いって呼ばれるもんな!

ということは50歳まで童貞だったら妖精さんになれるのかな?

ハッハハ!


「なあ。 ルビー。 お前のことを女神と信じてやるよ……」

「ほ、 本当ですか!」

「だから歯食いしばれ!」

「な、 なんでですか!」

「お前たちが俺の職業をきめたんだろ! 俺は前々から神に会ったらぶっ殺してやろうと思ってたんだよ!」

「ま、 待ってください! 俊さんの職業をきめたのは私達ではありません!」

「じゃあ誰なんだよ!」

「男神の連中です!」

「どういうことだ?」

「実は人間のステータスを作る際女神たちは、 ステータスを作るのが担当なんです。 それで男神たちは、 職業とスキルをきめることが仕事なんです」

「ふむふむ。 それで?」

「それでですね。 俊さんは、 女神全員から愛されているのでステータスはチートじゃないですか。 でも俊さん男神たちからすごく不評なんですよ。 むしろ嫌悪されてると言ってもいいくらいに。 ですからそんな変な職業なんです!」

「男神の連中が俺の事を嫌ってるのは女神たち全員に俺が愛されているからそれに嫉妬してなのか?」


女神達全員に好かれていて正直嬉しい。

だが女神達全員がルビーみたいな正確ならお断りだぞ?


「いえ。 男神連中は、 全員ホモなので嫉妬ということは100%ありえません」

「待てぇぇぇぇぇぇ! この世界の男神って全員ホモなのか?」

「はい。 それでイケメンで高身長で優しい人が好きらしいです」


うわ~だからこの世界の出来こんなにひどいんだ。

あ、 別にホモを差別してるわけじゃないからそこだけは誤解しないでね。


「なるほどな。 俺はその条件に一つも掠りもしてないから嫌われているわけなんだな。 それで俺は男神に嫌われているにも関わらずよくこの世界に転生させてもらえたな」

「それは、 この世界は女神を中心として作られた世界だからです。 だから私に感謝してくれてもいいんですよ?」

「なあルビ―。 女神ってお前以外にもこの世界にいるのか?」

「ええ。 俊さんを転生したときじゃんけんに勝った女神三人がここにいますね」


じゃんけんで決めたのかよ。


「なんで三人なんだ?」

「それはそれ以上こっちの世界に来ると色々システムが回らなくなるんですよ」

「なるほど。 大体理由はわかった」

「それじゃあ私を俊さんのパーティーに入れてくれますよね?」

「それは嫌だ」

「な、 なんでですかぁぁぁ!」


ルビーは泣きながら俺の足に抱き着いてきた。


「おい! 離れろ! 邪魔だ!」

「俊さんが私をパーティーに入れてくれない理由を話すまで絶対に離れません!」

「理由? そんなのお前が足手まといだからだよ」

「なるほど! 俊さんは私に死んで欲しくないんですね! もう照れ屋なんですから!」

「お前の頭は、 どうなってるんだよ!」

「でも大丈夫ですよ! 私は不死の存在なのでたとえドラゴンに頭からかじられようが瞬時に再生します! ですので是非私を俊さんの肉壁として使用してください!」

「そうなのか。 そう言われるとお前にも利用価値が生まれてくるな」

「そうでしょう! それに俊さんは運がとてつもなく悪いじゃないですか! その運の悪さはたとえ女神の力をもってしてでも改変できないほどに!」

「た、確かに!」

「ですからここは運が最高値のマックスの私を連れていればもしかしたら運がよくなるかもしれませんよ?」


そう言った後ルビーは耳元で次の言葉を言ってきた。


「それに。 俊さんはあの受付嬢の事が好きなんですよね? でしたら私も協力してあげます。 ただし俊さんの正妻は私ですけどね」


どうやらこいつは、 俺のハーレムを容認してくれるようだ。

なら入れてもいいな。

もちろんパーティーにだぞ?

こいつは、最後まで使えるだけ使ってボロ雑巾のように捨ててやる。


「よし! ルビー! ラピスさん! 吸血鬼退治に行きましょうか!」

「ちょっと待ちなさい!」


俺がそう言った瞬間冒険者ギルドの扉が思い切り開かれ千鶴が仁王立ちをしていた。


「待たせたわね!」


別に待ってねぇよ。

結果俺たちは、 四人で吸血鬼退治に行くことになった。


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