15話 幼女! 幼女! つるペタ幼女!

時は移り俺たちは、 ラピスさんに案内され廃城への前へと辿り着いた。

廃城は、 薄暗い森の中にありフクロウと思われる声がよく鳴いていた。

また時刻は昼間のはずなのに太陽が全く見えず真っ暗闇のためそれがかなり不気味に感じた。


「きゃあ! 俊怖い!」

「俊さん怖いです!」


そう言って千鶴とルビーの奴は、 俺の腕に抱き着いてきたが、 演技なのがまるわかりだし、 それにお前らの方がよっぽど怖いと思うぞ?


「あ、 あの……」


どうやらラピスさんは本当に怖がっているようで、 周りをきょろきょろしていた。

ラピスさん。 怖いなら俺に抱き着いてもいいんですよ?

そうなことをしていると森の中から黄色い服を着たピエロが出てきた。


「あ、 あれは殺人ピエロ!」

「知っているんですかラピスさん!」

「はい。 あの魔物は、 手に包丁を持っていて主に子供を狙う凶悪な魔物です!」


なあ俺はここで一つ言いたいことがある。

ラピスさんは、 あの魔物の事を殺人ピエロといたがあれ絶対ド〇ルドだよね!

絶対大手ハンバーガー店のマスコットのド〇ルドだよね!


「ランラン……」

「それ以上言うんじゃない!」


俺は大声を出して奴の声をかき消した。

あ、 危ないところだった。

まさかこんなところにも暗黒世界を召喚しかねない最強の敵がいるとわな。

そして俺は、 奴が声をだした時に奴の顔を確認できた。

大体は俺の予想通りだったが一つ違う点があった。

それは、 奴の額にMという文字がはいっていたことだ。

まさかのドラゴン〇ールコラボ!

てか何なのあいつ!

もしかしてバ〇ビディにでも操られてるの!


「なあ。 ルビー。 この世界の魔物作ってるやつって誰なんだ?」

「それは私にもわからないんですよね」

「お前この世界を作った女神の一人なんだろ?」

「そうですけど当初魔物なんてもの私たちは作る予定なかったんです。 そしてどうやら何者かがこの世界に干渉して魔物というもの作ったみたいですね」

「本当にお前役立たずだな」

「俊さんのまるでゴミを見るかのような目! はあはあ。 興奮してしまいます!」

「やめろ! 気持ち悪い動きをするな! それと俺の手を使って何処触らせようとしてんだ!」

「そんなの決まってるじゃないですか! 私の……」

「いい加減にしなさいよ。 メス豚二号」


どうやら千鶴は、 ルビーの行動に対してお怒りのようだ。

いいぞ! 今回ばかりはお前を応援してやる!


「あのシュン様。 殺人ピエロがどんどんこっちに近づいてきてるんですが?」

ラピスさんの言う通り殺人ピエロは、 俺たちの目の前にまで近づいていた。


「俊。 ここはどうするの?」

「そんなの決まってるじゃないか」

「俊さん。 もしかしてあれをやるんですか?」

「ああ。 逃げるんだよぉぉ!」


俺はラピスさんをお姫様抱っこしてから殺人ピエロから離れるために全力で廃城へと向かった。


「俊! それは浮気判定よ! 後で覚悟しなさい!」

「ま、 待ってください! 置いていかないでくださいよ!」

「わ、 私お姫様抱っこされ……」


千鶴は、 俺に対して怒り、 ルビーは俺に置いて行かれないよう泣きながら走り、 ラピスさんは俺にお姫様抱っこされたのがよほど恥ずかしかったのか気絶してしまった。

そんな俺たちは殺人ピエロから何とか逃げ切り城の中に入ることができた。

因みに千鶴からのお仕置きだが、 今日はスタンガン一発だった。

どうやら千鶴もどんなにラピスさんのことが嫌いでも見殺しにするのは嫌だったようで、 俺の判断を強く咎められないためスタンガン一発ですんだ。

その優しさを俺にも欲しいよ。割と切実に。

ルビーは城につくとすごく息をあげていて、 すぐに地面へとへたり込んでしまった。

ラピスさんについては、 俺が千鶴にお仕置きされている間に目が覚めたらしい。

城の中は、 すごくボロボロで今にも崩れ落ちそうだった。

また城の中にも魔物はいるようで、 いたのはゾンビ系のまともなモンスターだったことがせめてもの救いだった。

俺は、 ドラゴン以外との初のまともな魔物との戦闘にワクワクしていたのが、 パンチ一発で終わってしまったためどこかむなしいと感じた。

この時俺は、 〇ンパンマンの〇イタマの気持ちを身に染みて感じた。

確かに強いのは、 いいんだけどね。 その強さで女子からモテればだけど。

あとやっぱり俺が男と言うのもあるのだが、 手に汗握る強敵とのバトルを一度でもしてみたいよね。

〇空VS〇リーザみたいなさ。

俺が一人で魔物相手に無双をしてから十分ほどしてから王の玉座と思われる場所へと辿り着いた。

そしてこの中にきっと吸血鬼がいると考えられた。

なぜそう思うかって?

そんなのテンプレだからに決まってるじゃないか!

ド〇クエでも基本玉座にボスいたし。

それにしても吸血鬼か。

やっぱり吸血鬼なら金髪で赤色の目をしてるといいよね!

でもここの吸血鬼男かもしれないしな~。

まあ男だったら容赦なく殺すけど。

でももし女性だったらどうしよう!

やっぱりキス〇ョットみたいな美人なのかな!

それなら嬉しいな!

俺はそう期待しながら玉座への扉を開いた。

そして俺の予想通り吸血鬼と思われる人物はいた。

しかも性別は女性だった。

だがその女性は俺の期待していたものとはかなり違った。

まず髪の色だが薄い紫色のような色をしていた。

目については、 赤色だったのでよかった。

そして、 吸血鬼の見た目は、 完全に幼女だった。

でも幼女といっても美幼女だがな。

幼女は、 ジョ〇ョ立ちをして俺たちを待っていた。

てか、 なんでこいつはジョ〇ョ立ちしてんだよ!

しかもD〇Oの奴だしさ!

俺は、 この現場を目撃した瞬間猛烈に町へと帰りたくなった。

そして幼女も俺たちの存在に気づいたようだ。


「貴様! 見ているな!」


そりゃ見てるだろうよ。

何せお前の目の前にいるんだから。


「よくぞ我が居城へとやってきたな! 人間たちよ! 早速で悪いがここはひとつ取引をしないか?」


幼女は、 かっこよく言おうとしているのだろうが俺からすると子供のお遊戯会レベルでひどく萎えた。


「ねぇ。 あの子少し頭おかしんじゃない?」

「チヅル様。 それは言ってはいけません。 あの方だって一生懸命演技しているのですから」

「でもあれはさすがにひどいですよね。 子供のお遊戯にしてももっとマシですよ」


三人ともやめたげてぇぇぇぇぇ!

あの子涙目でこっちみてるじゃん!

あの子だって恥ずかしい自覚あるんだよ!

だから何も言わず聞いてあげようよ!


「そ、 それで取引とは?」


俺がそう言うと幼女は、 涙を拭き嬉しそうな顔をした。


「ふふふ。 もし我の味方になるというなら世界の半分をやろう! どうだ? 我の味方になるか?」


お前は竜〇かよ……

でもあいつだって一生懸命考えたんだよな。

ここは乗ってやるのが……


「何アホなこと言ってんのよ。 まな板」

「そうですよ。 子供は家に変えってママのミルクでも飲んでればいいんです」


お前ら!

あ、 また泣き始めちゃったじゃん!

これじゃあどっちが悪者なのかわからないよ……


「わ、 私まな板じゃないもん! ちゃんと胸あるもん! それにこれでも500歳だもん!」


なんかこの幼女の味方をものすごくしてきたくなったな。


「ええい! 貴様らもう許さんぞ! 貴様らの血を全部吸い取って殺してやる!」


幼女はそう言った後、 自分のことを馬鹿にしていた千鶴やルビーの元ではなく俺のところに突っ込んできた。

そして俺に抱き着いてきた。


「おい! お前なんで俺のところに来るんだよ!」

「だってお前が一番弱そうだもん!」


こいつ失礼なこと言いやがって!


「俊!」

「俊さん!」

「シュン様!」


どうやら三人は、 この幼女のスピードに反応できなかったようだ。

俺か? 俺はできたけどなんかこの幼女のことがかわいそうだったから血の一、 二リットルくらいくれてやろうかと思ってな。

何? そんなに抜かれたら普通の人間は死ぬって?

俺は普通の人間じゃないから大丈夫なの!

それに痛みについての耐性も千鶴のおかげでかなりあるし、 仮に血を吸われて吸血鬼になるとしてもそれはそれでいい気がするしな。


「それじゃあ頂きます!」


幼女はそう言った後、 俺の血を吸い始めた。

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