13話 変態襲来!
朝俺が起きると俺の背中に何か柔らかいものが押し当てられていることに気づいた。
今この家にはラピスさんと俺の二人しかいないはずだ。
その状況から考えるに俺の後ろにいるのは、 ラピスさんに違いない!
全くラピスさんったらそんなに俺の事が恋しかったのかな?
俺は後ろにいるのがラピスさんと判断し後ろを振り返ったのだがすぐに後悔することとなった。
なぜなら俺の後ろにいたのはラピスさんではなく、 千鶴だったからだ。
しかも千鶴の奴は全裸だった。
さらに奴は完全に目が覚めている様子だった。
「キャァァァァァァァァァァァァァ!」
俺はあまりの恐怖に女の子みたいな悲鳴をあげてしまった。
「俊どうしたの? まるで殺人鬼と遭遇した女の子みたいな声出して!」
お前の言ってること間違ってねぇよ!
「お前なんでここにいるんだ!」
「それは俊がここにいるとわかったからよ。 まさかあの受付嬢の女の家にいるとは想定外だったわよ」
「いやいや! お前どうやってこの場所特定したんだよ! ありえないだろ!」
「そんなの俊が昨日買った服に発信機を仕込んだだけよ」
「なんだと!?」
だからこいつは昨日俺の服を選びたがったのか!
まんまとはめられた!
「それで俊は、 私を振り返る時何か期待したような顔してたけどどうせ自分の後ろで寝ているのは、 あの受付嬢だと思ったんでしょ? でも残念。 私でした!」
こ、 こいつ!
何処まで俺の考えがわかるんだ!
「そんなことよりお前どうやってこの家に入ったんだよ!」
「そんなの簡単よ」
そう言って千鶴はこちらにピッキングに使ったと思われる道具を見せてきた。
「お前殺人鬼だけじゃ飽き足らず泥棒の称号まで手に入れたのかよ……」
「ねぇ俊。 そんなことよりしましょう?」
「何をだよ……」
「子作りよ!」
千鶴の奴は決め顔でそう言った。
「朝っぱらから何言ってんだよ!」
「だって昨日は役人に捕まってできなかったんだもん!」
「可愛く言ってもダメに決まってるだろ!」
「じゃあいいわよ」
「そうか諦めて……」
「私が俊のことを襲って無理やりするから」
「お前強姦魔にでもなるつもりなのか!」
「さあ俊! 服を脱ぎ脱ぎしましょうね!」
「俺のそばに近寄るなぁぁぁぁぁぁぁ!」
千鶴は、 俺のそばに近寄ると俺の服を脱がそうとしてきた。
俺も必死に抵抗したのだが奴の力があまりに強く一枚一枚確実に脱がされていった。
てかあいつのステータス平均程度なんだろ!
なのになんでチートステータスを持つ俺が負けるんだよ!
こんな結果認めないんだからね!
そして俺は残りパンツ一枚のところまでおい詰められてしまった。
「さあ俊! 観念しなさい!」
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!」
「大丈夫ですかシュン様! 先程からすごい悲鳴が……」
どうやらラピスさんは俺の悲鳴に気が付いたようで部屋の中に入ってきたのだが、 今の俺と千鶴の状況を見て固まってしまった。
何せ全裸の女子とパンツ一枚の男が一人。
この状況を誤解しないわけがない。
「ど、 どうぞごゆっくり……」
ラピスさんはそう言った後ゆっくり扉を閉めた。
「待ってぇぇぇぇぇ! 誤解なんですぅぅぅぅぅぅ!」
千鶴の奴は、 ラピスさんが入ってきたことにおどろいていたので俺はその一瞬の隙をついて自分の服を奪還してからラピスさんへと事情を説明しに行った。
幸いラピスさんは、 俺の話を信じてくれたため助かった。
また千鶴の奴だがさっきから不機嫌そうな顔をずっとしている。
「ええとチヅル様?」
「話しかけんじゃないわよ。 メス豚」
「メ、 メス豚……」
「おい! それはいくら何でも……」
「俊は黙ってなさい!」
「はい!」
俺は千鶴から出ているオーラに怖気付き何も言えなかった。
我ながら情けない。
「えっと。 もしよかったらなんですけどチヅル様も私の家で一緒に住みますか?」
ん? ラピスさん。 今なんて言った?
俺の聞き間違いじゃなければ今とんでもないこと言ったような?
「その言葉は本当なんでしょうね?」
「ええ。 部屋は沢山余っているのでそれに人はたくさん居たほうが楽しいので」
「そう。 ならその言葉に甘えさせてもらうわ。 ふふふ」
さ、 最悪だ! なんでよりにもよってこいつと同じ場所で過ごさなければならないんだ!
これじゃあラピスさんを口説くという目的を達成できない!
だがここで俺がラピスさんに反対することなどできない!
はあ~まじで昨日の俺を殴りたい。
「ええとチヅル様がここに住むということも決まったことですし、 とりあえず朝食を取りませんか?」
「俊! 久しぶりに私の手料理をご馳走してあげるわ!」
「ワーイ。 ウレシイナ」
本音では全く嬉しくねぇよ!
てかすぐに俺とラピスさんの愛の巣から消え失せろ! バーカ!
「俊? 何か言いたいことがあるの? あるならはっきり言ってね?」
「いえ、 何もありません……」
こうして千鶴もラピスさんの家に同居することが決まったのだった。
ちなみに久しぶりの千鶴の料理はおいしかったが少ししょっぱかった。
きっと俺の涙のせいだろうな。
俺ちょすとラピスさんは朝食を取った後冒険者ギルドへと向かった。
千鶴の奴は何か用があるとか言ってしばらく別行動だ。
だがここで俺が冒険者ギルドに入ると少し予想外の出来事が起きた。
その予想外の出来事とは、 俺がギルドに入った瞬間なぜか銀髪の美少女に押し倒されたということだ。
「痛てぇ! いきなり何しやがる!」
「はあ~生俊さんだ! すっごいいい匂いする! クンカクンカ……」
「おい! 離れろ! それと俺の匂いを嗅ぐな! それと涎を俺の服につけるな!」
「クンカクンカ……」
「いい加減にしろ!」
俺は、普段なら絶対に美少女に手をあげるような真似はしない。
だがこいつの場合なぜか不思議と手をあげてしまった。
「痛い!」
「悪い。 俺も少し大人気……」
「でもそれを俊さんが望むなら私の事もっと殴ってもいいですよ!」
「こいつ変態だ! しかも超ド級の!」
「さあ! もっと殴ってください! さあ! さあ!」
「いい加減にしろ! それとお前の名前を言え!」
俺は奴の頭を殴りながらそう尋ねた。
「申し遅れました。 では……」
ふう。 やっとこいつの名前を聞けるのか。
名前を聞いたら俺のブラックリストに登録して二度と関わらないようにしよう。
「我が名は……」
「それは怒られるから止めろ!」
「ダメですか? それじゃあ……」
今度こそは大丈夫なんだろうな?
「いつもニコニコ……」
「普通に自己紹介できないのかよ!」
「これもダメなんですか。 いいですよ。 じゃあ俊さんの望みどおり普通に言いますよ」
「ああ、 そうしてくれ……」
そう言えばラピスさんはどうしたんだろ?
俺が横を向くとラピスせかいさんは固まっていた。
どうかしたのかな?
「私の名前は、 ルビーと言います。 そしてこの世界を作った女神の一人にして俊さんをこのせ世界へと送り込んだものの一人です」
こいつ今なんて言った?
「お前頭大丈夫か?」
「し、 失礼ですね! 私の言ってることは本当ですよ!」
「それでその女神さまが俺に何の用だ?」
「そんなの決まってるじゃないですか! 私は俊さんを口説きに来たんですよ!」
「何言ってるんだお前?」
「よく聞こえませんでしたか? 私は俊さんのことが好きなんです!」
「はあ~。 新手の宗教ならお断りなので帰ってください」
「宗教なんかじゃありませんよ!」
「嘘つけ! だって俺みたいな普通な顔の男をお前みたいな美少女が好きになるわけないだろ!」
まあ美少女と言っても顔だけはだけどな。
性格はどうだって?
そんなの決まってる千鶴クラスの最悪さだ。
こんなのとは今後絶対に関わりあいたくない。
「えへへへ。 美少女って言われた~」
「はいはい。 それじゃあ俺もう行くから」
「は! ちょっと! 私も俊さんのパーティーに入れてくださいよ!」
「絶対に嫌だぁぁぁ!」
俺がこんなコントをしている時周りの男冒険者はある企てを考えていたようだったが俺がそれに気づくことはなかった。
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