7話 人生楽ありゃ苦もあるさ!

あ、 ありのまま今起こったことを話すぜ!

俺は、 千鶴にスタンガンによって気絶させられ気が付いたらベットの上で四肢が拘束された状態だったんだ!

な…… 何を言っているかわからねぇかもしれないが俺も何をされたのかまるで分らなかった。

頭がどうにかなりそう……


「てかポル〇ナレフの真似をしてる場合か!」


本当に俺は今どういう状況なんだ!


「ふんふんふ~ん」


風呂場の方から千鶴の鼻歌と思わしきものが聞こえてきた。

不味い。

このままだと確実に俺の初めては、 奴に奪われてしまう。

は、 早くここから逃げないと!

幸い今の俺の力は、 相当あるはずだ!

こんな手錠くらい引きちぎれるはずだ!


「ふん!」


俺は、 右腕に力を入れた。

そうすると俺の予想通り引きちぎることはできた。

ただし引きちぎる時の音が凄まじく、 今の音で千鶴にもばれただろう。


「は、 早く他のも引きちぎってここから脱出しないと」


だが現実は非常である。

俺が残り左腕の手錠を引きちぎったら脱出できるというときに、 千鶴がこちらに来てしまった。

また、 千鶴はバスタオル一枚の姿であった。


「俊? 何やってるの? もしかしてここから逃げようとか考えてるわけじゃないわよね?」

「あ、 ああ当然だろ? じ、 実は、 トイレに行きたくなって……」

「なんだ。 それならこれ使って」


そう言って千鶴は、 ペットボトルをこちらに手渡してきた。


「千鶴さん。 これは?」

「そんなものペットボトルに決まってるでしょう?」

「いや、 そう言う意味じゃなくて……」

「俊は、 トイレがしたいんでしょう? それならその中にすればいいじゃない。 そうすれば俊も尿意から解放されるし、 私も俊コレクションが増えて一石二鳥じゃない!」


ダメだこいつ。 早く何とかしないと。


「どうしたの俊? もしかしてトイレに行きたいって言ったのは、 嘘だったの? それなら私に嘘をついた罰を受けてもらわなくちゃね」


そう言って千鶴は、 こちらに近づいてきた。

こ、 このままだとヤバい!

この状況で俺が助かる方法は、 何かないのか!

そうか! 千鶴は、 今バスタタオル一枚姿だ!

そのタオルをとればきっと恥ずかしがって、 俺から離れるはずだ!

俺は、 その作戦をした結果どうなるか脳内シュミレートをした。


「千鶴! これでもくらいやがれ!」


俺は、 そう叫びながら手錠がはまっていない方の手で千鶴のバスタオルを剝いだ。


「しゅ、 俊! そんなに私としたいの? し、 仕方ないわね! それじゃあ俊も早く脱いで!」

「あれ? おかしいな?」

「もしかして自分で脱げないの? し、仕方ないわね。 私が脱がせてあげるわ」

「や、 やめろ! 俺の初めては、 ラピスさんに捧げると決めたんだ! だから手を離せぇぇぇ! いやぁぁぁぁぁぁ! 犯されるぅぅぅぅぅぅ!」


脳内シュミレート終了。

結論から言おう。

多分千鶴は、 俺に裸を見られて恥ずかしがるどころか、 むしろ喜ぶ。

てか普通の女子は、 裸見られたらはずかしがるだろ!

なんでこいつは、 違うんだよぉぉぉ!

あ、 そっか!

殺人鬼だからか!

ハッハハ!

ってそんな馬鹿をやってる場合時じゃねぇ!

ええと、 他の作戦は……


「ねぇ俊」

「なんだ?」

「もしよかったら今俊の着てる服を私に少し貸してくれないかしら?」

「なんでだ?」

「そ、そんなの恥ずかしくて言えないわよ!」


こいつ俺の制服を使って何する気だ?

てか確か俺がこいつのヤバさを知らない頃、 制服を渡したことがあったな。

なぜか、 その時濡れて帰ってきたけど。

ん? そうだ‼︎ これだ!


「わかったぜ! ほら受け取れ!」


俺は、 今着ていた制服の上着を脱ぎその辺へと放り投げた。

千鶴は、 それに対しまるで俺の制服に釣られるかのように俺の投げた方向へと飛んでいった。

本当なら千鶴に自分の身に着けているものを一枚もあげたくないのだが、 背に腹は代えられん。

そして、 千鶴が俺の制服に気を取られている間に俺は、 最後の手錠を引きちぎり、 部屋の窓から飛び降りた。

だが俺は、 この時失念した。

自分が今何階にいるのかを。

どうやら俺たちの部屋は、 三階のようだった。

そして俺は、 〇ャッキー・チェンの時計塔から落下するシーンを異世界で再現することなってしまった。

地面に落ちた時、 命があったのは今のステータスがチートであったことにあると感じ、 神に感謝した。


「俊! 何処に行くの!」

「そんなの決まってるだろ! お前から逃げるんだよぉぉぉぉ!」


俺は、 そう捨て台詞を残し夜の町へと姿を消した。

千鶴から逃げることに成功すると今度は、 これからどうしようかと途方に暮れることになった。

てか、 俺お金も千鶴にとられたままだし、 本当にこれからどうしよう?

レオンの家にお願いしに行ったら止めてくんないかな?


「もしかしてシュン様ですか?」


こ、この声は!


「あのやっぱりシュン様ですよね?」

「ラ、 ラピスさん!」

「一体こんなところでどうしたんですか? それに体が傷だらけじゃないですか!」

「あ、 ああこれは……」

「良いから早く私の家に来てさい! そこでケガの治療とかするので!」

「ほ、 本当ですか!」


ま、 まさかここまで不幸続きの俺にこんな幸運が紛れ込むなんて!

俺は、 浮かれた気分のままラピスさんの家へとついていくのであった。


「これで大丈夫です」

「本当にありがとうございます」


ラピスさんの家は、 一軒家で家族もいないようだ。


「それで俊さんは、 どうしてあんなところに?」

「いえ、 通りすがりの変態に俺の初めてが奪わされそうになったので逃げてきただけです」

「初めて?」

「いえ、 その部分は気にしないでください!」

「わ、 わかりました。 それともしシュン様がよかったならなんですけど今夜私の家に泊まっていきませんか?」


な、 なんだって!


「どうしたんですか? 急に固まってしまって? あ、 もしかして迷惑でしたか? それなら……」

「いえ! ラピスさんの申し出ありがたく受け入れさせていただきます!」

「ふふふ。 それは、 よかったです。 部屋は、 たくさんあるので好きな部屋を使ってください」

「わかりました! それならラピスさんと同じ部屋でお願いします!」

「わ、 私とですか!」

「はい!」


ラピスさんは、 どうやら相当てんぱっているようだ。

それは、 当然だろうな。

だがここで俺も引くわけにはいかない!

そして、 このままの勢いで俺は童貞を卒業するんだ!


「シュ、 シュン様は、 どうしても私と同じ部屋がいいんですか?」

「はい!」

「わ、 わかりました。 でも私の部屋ベット一つしかないんですけど……」

「それなら一緒のベットで寝ましょう!」

「へ、 へぇ!?」

「さあさあ、 早く行きましょう!」


俺は、 そう強引にラピスさんを引っ張った。

ふふふ、 ここまでは計画通り。

後は、 このペースでラピスさんを口説くだけだ。

童貞の俺には、 少々ハードルが高いだろうが、 なぜかラピスさんの好感度はもともと高かったし、何とかなるだろう。

ラピスさんの部屋は、 整理整頓されとてもきれいな部屋だった。


「ここがラピスさんの部屋ですか」

「あ、 あまりじろじろ見ないでくださいね」

「わかってますよ。 さて、 それではもう夜も遅いでしょうし寝ましょうか」

「は、 はい」


ラピスさんは、 どうやら相当緊張しているようだ。

だが、 ここで俺にも一つ問題が発生した。

俺も緊張しすぎて何を言えばいいのかわからない!

俺は、 生まれてこの方女子とのかかわりは、 千鶴としかなかった生粋の童貞。

そんな俺は、 何を話せば相手の好感度が上がるのかわからない。

ああ、 これがゲームの世界であったなら、 三択の選択肢がでるのに!


「あ、 あの!」

「すう。 すう」

「あ、 あれ? ラピスさん?」

「すう。 すう。 むにゃむにゃ」


おっとどうやらラピスさんは、 もう寝てしまったようだ。

はあ〜。

俺のアホ!

なんで話しかけなかったんだ!


「う、 う〜ん」


ラピスさんは、 どうやら寝相があまりよくないらしい。

そのため今ラピスさんは、 俺のことを抱き枕のように抱きしめてきた。

ラピスさんの胸は、 千鶴に比べると大きくないが、 それでもかなりある。

そんな胸が今俺の背中に押し付けられている!

やばい!

興奮して鼻血でそう!

その結果俺は、 ラピスさんの胸の感触を背中で楽しみながら夜を悶々と過ごすのであった。

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