第2話

「さあ、僕たちが来たからにはもう大丈夫。安心して」

「……」

一体何が大丈夫なんだろうか。辺りを見渡すと爆発でところどころ塀が壊れ、腰を抜かしたおじいちゃんは今まさに救急車で運ばれようとしている。


「ラブレンジャーさん、頑張ってください」

救急隊の人がラブレンジャーに声をかけていく。

「ありがとうございます。頑張ります!」

ラブレッドがガッツポーズをしながら応えた。

「ラブレンジャー、サインしてー」

「はいはい、順番に並んでね」

突如、道端でサイン会が始まる。いやいや近所迷惑考えて。

「君にもサインするかい?それとも握手?」

だ・か・ら・近・所・迷・惑・考・え・て。


俺以外にはなかなか人気があるらしい。

ラブレンジャーのサイン会が終わるまで、敵キャラたちはおとなしく待っている。

俺の中での好感度は、ラブレンジャーよりも遥かに上だ。


「ええい、茶番はおしまいよ!アタシのめろめろの媚薬でメロンメロンにしてやるんだからぁ」

ちょっと何言ってるのかわかんない。

しかし、女幹部はそんな俺を置いてけぼりにして、めろめろの媚薬らしい、昔駄菓子屋で売っていたメロンのアイスクリームが入ったメロン型の容器の蓋を開けた。

たちまち辺りにピンクの煙に包まれる。


ゴホン、ゴホン。

特に何か体調が変わった様子はない。

後から、体調崩したりしないだろうか?

それが一番心配だ。


暫くして漸く煙が晴れ出した頃、大変な事になっていた!


なんと、ピンクが敵幹部にめろめろのメロンメロンになっていたのだ。

えぇー、かかるなら絶対イエローだと思っていたのに、まさかまさかの百合展開。


「オーホッホッホッ、流石のラブレンジャーもピンクを獲られちゃおしまいねぇ。この娘は、人質として貰っていくわ。後でたっぷりと可愛がってあげる」

ピンクの顎先に指を置くと軽く上を向かせてキスをしてから、女幹部とピンクとザコ敵は消えてしまった。


あ、椅子忘れてますよ。

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