恋愛戦隊ラブレンジャー(仮)
遠谷カナ
第1話
あー、かったるい
1限から授業なんて取るんじゃなかった。でも今年単位取れないと後々困るんだよなー
大学へ向かう途中、今年の春先の何も考えずに授業を入れた自分を呪う。昨日、次の日1限からなのに、居酒屋のバイトを入れてしまった自分を呪う。
大きな欠伸が零れた。俺の横をランドセルを背負った小学生の集団が通る。
すると突然甲高い声が聞こえた。
「オーッホッホッ!朝っぱらから自分を呪ってる奴は何処の誰?あんたかい?それともあんたぁ?」
朝から肌の露出の高い、胸が強調された黒のエナメル質の服を来て、黒い角を生やしたスタイルと顔だけはこの世界の住民とは思えない(多分どっか違う星からやってきた)少し頭のネジが弱そうな女が、手に持ったムチを振り回し先程の小学生に絡みだした。
あ、この寒いのに朝からご苦労さまです
敵の女幹部の格好に軽く震えてブルゾンを着込んだ首を竦ませる。
「あたしが怖くて震えてるのねぇ、可愛いー」
こちらを見て何かを勘違いしたした女幹部は、ザコ敵が持ってきた背凭れの高い椅子に足を組んで声高らかに笑っている。その椅子はいつも持ち歩いているのだろうか、どうでも良い疑問が浮かぶ。そして、その露出した肌は遠目から見ても鳥肌がたっている。いつの間にか大量のザコ敵が女幹部の鳥肌を隠すように周りを囲んでいた。
後ろの方で爆発音がする。
いつの間にか近くの家の塀の上に立つ、蛍光色のピッタリスーツを着た5人組が現れた。
「人の迷惑かえり見ず、悪の道へと引きずり込むそんな奴らは許さない」
あんたたちも十分迷惑なんですけど。いきなり爆発とか、近所迷惑考えて。
ほら、おじいちゃん腰抜かして驚いてますよ?隣の犬も吠えてますから。
そんなことはお構いなしに、お馴染みの名乗りのシールが始まる。
「ラブレッド」
おおー、さすがレッド。張り切り過ぎなぐらい身体のキレが良い。
「ラブブルー」
たいていイケメンポジション。オーディションでブルーに選ばれたら、自分はイケメンだと思っても良いぐらいだ。…マスクで顔分かんないけど。
「ラブイエロー」
これもたいていお笑いポジション。か、カレーポジション。
「ラブピンク」
戦隊ヒーローって絶対ピンクいるよね。安定の由美かおるポジション。結局、レッドとくっつく。お約束。
「ラブブラック」
こいつだけ一番やる気ねー。猫背で立ってるだけじゃねーか。こういう奴が、最終回で交通事故で死んだりするんだ。
「恋愛戦隊ラブレンジャー」
ダセェ!
名乗りの間は、絶対敵は手を出さない。この間に戦闘始まったら、敵さん側が勝っちゃうと思うんだけど。
好感が持てるくらい敵キャラは律儀である。
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