君らに問う

@kubaziro

第1話

僕は特別親に愛されなかったわけでも愛されたわけでもなく普通の生活を暮らしてきた。父の口癖は「嘘をつくな」「男なら泣くな」って正直古いって思うことしか言わなかった。母は昔やんちゃだったみたいで中卒だしすぐ怒るし子供の時はすぐ蹴られたりしてた。でも子供ながらに自分のためを思って言ってくれてるんだろうなって思ってたし何よりどっちも怖かったから全部言うことを聞いてきた。

父は嘘をつくなって教えてきたけど僕はずっと嘘をつきながら生きてきた。それは仕方の無い事なんだ。なぜならなにかあったら真っ先に僕が疑われ否定したらお決まりの嘘をつくなって言うんだもん。嘘ついてもホントのこと言ってもあの人の思い通りにいかなかったら怒られてたし怒られて泣いたらもっと怒られるしで、小学校3年生ぐらいの頃から自分じゃない誰かになって学校や親の前で過ごしてきた。その頃からもう親以外では何をされても泣けなくなったし心の底から笑えなくなった。

そんな時僕はお笑いに出会った。あるネタ番組僕は久しぶりに笑い転げた。どこに行っても常に都合のいい人間になっていた僕が久しぶりに人目をはばからずに笑ったんだ。そうなったらもう虜になって夢中でいろんな芸人さんのネタを見てたな。だいたい中学校1年生ぐらいの頃にはお笑い芸人になりたくなってて中三の頃にはもう目標になってた。目標だったから色んなところでお笑い芸人になるって言ってたんだ。そしたら、集団の心理だかなんだか知らないけどお笑い芸人になるならいじられて当然みたいなノリで毎日罵詈雑言を浴びせられるようになった。3ヶ月ぐらいは笑って流したりツッコんだりしてたんだけどだんだん辛くなってきて自分の存在意義も見いだせなくなってこれはダメだなって不登校気味になってたんだよね。親に相談しろよって言うだろ?普通の人は。でもうちの親に相談したところで戦ってこいだなんて頭沸いたことしか言わないんだもん。意味ないよね。先生にも1度相談したことがあったんだけど僕の学校でのキャラがあったから信じて貰えなかったんだよね。もうこの世に誰も僕を必要としてないんじゃないかとか僕は居ちゃいけない存在なんじゃないかなとか思ったりしたんだよね。あんな頭沸いた親でも親は親だから好きな時もあったしだからそれが余計に辛くて。そんな辛い辛い中学時代のせいで僕はもう人に簡単に心を開かなくなった。心の奥には誰にも触れさせたくなかったしそこに触れた人が裏切ったら僕は立ち直れる気がしなかったから。でも、高校はそんな自分が恥ずかしくなるぐらい皆いい人でこんな僕の事も気にかけてくれた。それでも最初のうちは信じられなくて相手と仲良くなるにはそれ相応の相手の情報を得ないダメだったんだよ。そんなコスずるい自分に、どんどん嘘が上手くなっていく自分に嫌気がさしてきたんだよね。でも根気強く僕に接してくれた子のおかげでこの世界が大して酷い世界じゃないって思い知らされたんだ。今まで悪い面ばかり見せられてきたからちょっと事でも感動できてどんどん心に巻きついた鎖みたいなものが解けていくのを感じる日々だった。終わりの方には心の底から笑えてたし嘘も大してつかなくなってた。でもきっとあの経験は無駄じゃなかったしあの経験があったからこそ人に優しくなれたりもするんだと思う。

ここで僕がみんなに言いたいのは悩むというのは自分一人では出来ないって事。自分一人で考えようとするとどうしても自分の考えしか見えなくなってくるから。幸い今はネットってものもあるし、簡単に他の人と話せるから色んな人の話を聞いて色んな人と悩むといい。そうしたら解決が見えてくるかもしれないし、たとえ解決しなかったとしても自分が見えなかったものが見えるだけで凄く世界が変わるんだよ。だから今は、人に会いたくない。誰とも話したくないって思ってても頑張って話してよ。まぁこういう考え方もあるよって言うことを心の隅の方に置いといてくれると嬉しいな

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