第二話 妹の意味深すぎる言葉。
「ただいま〜」
上機嫌なオレは家に帰宅するとリビングを避けて自分の部屋のある二階に向かった。
リビングはオレととんでもないくらい仲の悪い妹──
林檎はオレのいっこ下で、一様オレと同じ高校に通っており、一様フルーツ美少女セブンの一人にもなってはいる。
外見はとても可愛いのだ。
だが外見とは裏腹に信じられないくらいの暴言を吐いてくる。それもオレだけにというのがたちが悪い。
なんでこうなったんだろうな、小学生の頃はあれ程仲がよかったのに。
よって今のオレとリンゴの関係は最悪。高校まで一緒に登校なんて夢のまた夢なのだ。
いかんいかん、あいつの事を考えていては。モモ会長とのデートのことを考えなければな。
そんな事を考えていると直ぐにオレの部屋の前まで着く。オレはそのまま何も考えずに扉を開けようとした。
だがオレの部屋からはガサガサと物音が聞こえてきたので一度扉を開けるのを踏みとどまった。
勝手にオレの部屋に入るなとあれ程言っておいたのに……。
オレは一度ため息を着いたあと、ガシャンと強く扉を開ける。
「母さん、オレの部屋に入る時は…………?」
オレの部屋に侵入していたのはオレの母さんなどではなく、妹のリンゴだった。
オレが突然部屋に入ってくるなどとは予想もしていなかったのか、リンゴは声も出せずに固まっている。
オレもリンゴがいるなんて思ってもいなかったのでリンゴをしばらく見つめた。
あと今日のリンゴの髪型はおさげらしい。
「な、何見てんのよ! これは探し物をしていただけなんだから」
「そ、そうかオレは別に何も気にしてないから、安心して探し物を探してていいぞ」
言いながらオレは部屋に入って、手提げ鞄を床に置きスマホを手に取りベッドで横になった。
「なんであんたそんなに嬉しそうなの? なんだかちょっとキモいんだけど」
普段なら怒り出すところだがその気持ちグッと堪えてスルーした。
何せ今週末は会長とのデートがあるのだから、オレはこんなちっぽけなことでは怒らない。平和的に行こう。
「別にお前には関係ないだろう?」
「それはそうだけど……あっ、わかった! モモ会長といいことでもあったんでしょ?」
突然言い当てられオレはどぎまぎしてしまうが、直ぐに冷静になって返す言葉を考える。
するとその様子を見ていたリンゴがクスリと笑いオレの部屋を出ていこうとする。
「見てたらわかるよ。あんたモモ会長といる時だけ自分をよく見せようしてるでしょ?」
バレてたのか、そうだよオレはモモ会長の前だけでもと自分をよく見せようとしていたさ。
人とは話しやすそうに振る舞っていたし、友達もそこそこいるように……。
「でもね、モモ会長だけはやめといた方がいいかもよ……」
そう言い残してリンゴはオレの部屋の扉を閉めながら出ていった。
いきなりどうしたんだ? 彼女ができそうなオレに嫉妬でもしてんのか?
──その日の晩飯、母さんにもオレの機嫌が妙にいいこと気づかれ、サクラ会長とデートする事は言わずに何となく言い訳をしておいた。
オレってそんなに顔に現れやすいのかな?
その後リンゴに先程言われたことを問い詰めようとしたが、舌をべーっとしてオレを無視した。
まぁそんなことどうでもいいかと、オレはリンゴの言葉を記憶から抹消した。
その日はモモ会長とのデートのことだけ考えてオレは眠りについた。
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