アラフォー夫婦の一夜から。

うずはし

妻への感謝

 俺が世界で一番好きなのは、もちろん妻の美鈴だ。


 子供二人を大学入学まで立派に育てあげているアラフォーの熟女。

 夫の俺が言うのも何だが、年齢の割にとても若く見える。


 会社の同僚に「お前の奥さん綺麗だよなー」と、未だにうらやましがられるのだ。


 自慢の良く出来た妻なのである。


 勿論、今でもお互い愛し合っている。

 ラブラブなおしどり夫婦と自負していたりする。


 今の俺は寝室のベッドに寝転んで、スマホで動画などを見ているのだ…………が、内容は全くと言っていいほど頭に入ってこなかった。



 ――それは何故か?


 今、お風呂に入っている妻を待っているのだ。

 でも、ただ待っているだけではない。

 

 それは今日、俺が妻にプレゼントしたあるモノ・・が関係していて、

 そのせいで年甲斐にもなく、妻の登場を今か今かと心待ちにしているからに他ない。


 ある意味、ちょっと期待しているし、そしてちょっと興奮気味だ。


 うん、ヤバいかも!


 

 あらぬ妄想が膨らんで、あれやこれやと考えている俺。熱いぜ。

 アソコも。


 そうこうしているうちに、今お風呂から出てきた妻が、そろりと寝室へ入ってきた。


「あなた、お待たせ…………えっと、ですね」


 言葉を詰まらせながら、赤らんだ顔で俺を見つめている妻。

 それは湯上りのせいではなく、俺のプレゼントした着衣が原因だ。何故なら……


「あなたからもらったプレゼント、凄く嬉しいんだけど……その……やっぱり、とっても恥ずかしいわ」


 マンネリな夫婦生活に刺激をと考え、妻にコスプレ衣装をプレゼントした。それもかなりセクシーなやつだ。

 いつもと違う格好をさせられた妻は、もじもじしながらベッドに寝転ぶ俺の側まで近寄ってきた。


「うん、イイ! 凄くイイ!!」


「あなたが気に入ってくれるなら、私も着た甲斐がありますけどね」

 

 いつもはお決まりのパジャマ姿での登場だが、今日だけですよと言って渋々俺のわがままを聞いてくれた。


 でもな美鈴、まんざらでもないといった顔をしているぞ。


「おお、気に入ってくれたか。やっぱネットで推薦していた通りだ、うん、うん」


「あなたが着ろって言ったから着ているんです。こんな衣装、もっとずっと若い娘が着るようなもんでしょ? わたしみたいなオバさんが着たって、勿体ないだけですよ。…………まあ、あなたが気に入って買ったた物ですから、折角なんで着させてもらいましたけど……似合いますかね?」


「何言ってるんだ! こういったものに歳なんて関係ないだろ? 似合ってるに決まってるだろ」


「ありがとう。でもね、ネットで選んでくれたのは良いのですが、サイズがちょっと合っていないような気がしますが……」


 まあ、それは確かに……


 布面積が極端に少なめなうえ、若干サイズが小さめだった。

 未だ重力に逆らい続ける大きな胸と、ツンと張りのある安産型のお尻。

 とてもアラフォーとは思えないナイスバディのせいで、セクシーなコスプレ衣装がきわどいコスプレ衣装に変わっていた。


 ……こうなったらもう、セクシーもきわどいも関係ない、どっちも一緒だ。


 見れば見るほど色んな部分が飛び出してきそうで、ヤバイ、興奮してきた。


「お? そうか? 少しきつめのほうが、凄くセクシーで、俺はいいと思うんだがなぁ。うん!」


「そ、そうですか……あなたがそう言ってくれるのなら、私は別に構いませんけど……でも、やっぱり……その、恥ずかしいです」


「いいじゃん、いいじゃん! お前のその恥じらう姿が、またグッときちゃうんだよ」


「…………もう、タカシさんの、ばかっ!」


 弾む声で俺の事を高志と呼んだ。何十年振りだろう、妻から名前で呼ばれたのは。

 新婚の、あの初々しい頃を思い出してしまった。


 こうなったら後は――


 俺は妻の耳に口を近付けて優しくささやいた。


「いつまでも綺麗だ美鈴。ありがとう」


 そのまま妻の赤く染まった頬に口づけをした。


「一つ訊いてもいいです?」


「ん? なんだ?」


 妻の体を抱き寄せて、ベッドに寝かせる。

 俺の手は小さな布切れに触れていた。


「この衣装って、何がモチーフになってるんですか?」


「ああ、このコスチュームはだな……」


 ――――もう、だめだ!

 我慢の限界だ!!


 妻の柔らかい唇に、俺の唇を重ねる。


「ん、ん……んン!!」


 小さな布切れは、俺の吹っ飛んだ理性によって、無残にも全てビリビリに引きちぎられてしまった。


 そして、横たわる妻の姿は……


「みすずぅーー!!」

「ああぁあぁンー、たかしさぁぁあーんーンッ!!」



 ――世界が平和でありますように。

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アラフォー夫婦の一夜から。 うずはし @uzuhashitukiyo

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