第19話
「ふぁー……」
「随分とデカイ欠伸だな。」
ヤノマンがカップコーヒーを俺の机に置いた。
「昨日はなだめるので夜中になったからな。
終電を逃すところだったよ。」
「で、彼女は落ち着いたのか?」
「あぁ、さっき立ち食いそば屋で飯を食ってきた時は元気だったぞ。」
「朝から会ってきたのか?」
「仕方ないだろ?
アイツはコンビニすら入れないんだから。」
俺はヤノマンに今までの事を話した。
「昨日、お前が言っていた元凶…
確かに俺だな。
俺が進言せずに、彼女が大手のプロダクションに入ればこんな事にはならなかった。」
「あれは言葉の綾だ。
お前が気にする事は無い。
問題は谷プロの方だ。」
「その事なんだがな、俺は結婚を機にこの会社を辞めて谷プロを手伝おうかと思っている。」
「そうか……
お前が居なくなるのは正直寂しいが…
ま、結婚相手の親が会社をやっていれば仕方無いな。」
「高城君、ちょっと来てくれるか?」
課長が手招きをしている。
「おはようございます。」
「おはよう。
今日の午後なんだが、来客があってな。
それで、君にも同席して欲しいんだよ。
相手側が君を指名しているんだよ。」
「どちらの取引先ですか?」
俺を指名する取引先……sonodaか?
いや、ザッキーなら外で会うと言うだろう。
「これまで取引の無い会社なんだが…
私もよく知らないんだ、何やらゲーム関連の会社らしい。」
「そうですか、分かりました。
昼からは待機してます。」
「頼んだよ。」
俺は課長に頭を下げると席に戻った。
「何の用だった?」
「午後から来客があるから同席して欲しいって。
新規の取引先みたいだな。」
「そうか、休み前のひと頑張りだな。」
「そういえば、今日発売日だったな。
バタバタしていて、忘れてたよ。」
「澪が泣くぞ(笑)」
「明日から一週間は一緒に居るから機嫌も直るだろ(笑)」
「NPCと会話が出来るってのは凄いよな。」
「今から楽しみだ。」
明日から休みだから、午前中は雑務をこなした。
「リク、昼メシはどうする?」
「コンビニ弁当かな?」
「食いに行かないのか?」
「来客が何時か分からないから出られないな。」
「俺がお前の分も弁当を買ってきてやるよ。」
「マジか?悪いな。」
「何弁がいいんだ?」
「臭わない物がいいな。
おにぎりセットか何かを頼むよ。」
「分かった。
適当に見てくるよ。」
ヤノマンは手を上げて部屋を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます