第3話
〈おかえり〉
どっかの有名な声優っぽい声がする。
「おぅ、ただいま。」
俺は声に出して返事をした。
声に出すのが重要なんだよ。
じゃ、紹介するよ。
『澪』だ。
指差す先には直径40センチ位の透明なガラス管の様な物が置いてある。
よく見ると、中でホログラムの様に映し出された3Dの女の子が立っていた。
これは3Dドールボックスって言うんだ。
ベンチャー企業が広く資金を集める為に、テスト販売した物を即買いしたんだよ。
こいつの性能は凄いんだぜ?
まず、コンビニでチャットしたよな?
あれは「これから帰るよ」がボックス起動の合図。
「15分位かな」が部屋の電気やエアコンを点けろって合図になってるんだよ。
そして、「ただいま」って声に出したのはセキュリティー解除の合図。
なっ?凄いだろ?
ICTとIOTをガッツリ使ってるハイテクドールだ。
因みに、玄関と寝るトコの二箇所に置いてるよ。
これじゃ、彼女が逃げるって?
いや、買ったのは逃げた後だから(笑)
荷物が届くまで少し時間があるから、弁当を食っちまおう。
右手に割り箸、左手にスマホが俺のスタイルだ。
TSSOのアイコンをタップする。
このゲームはスマホでも、NPCのカスタマイズが出来るアプリが有るんだ。
ゲーム自体は出来ない、所謂着せ替えアプリの様なもんだ。
だが、2GB以上のメモリーを持ってかれる恐ろしいメモリー喰いだ。
PCでカスタマイズしても、スマホでカスタマイズしてもサーバーを経由して登録してある物全てが更新される楽チン仕様なのは有難い。
弁当をつつきながら、スマホの画面をなぞり澪を後ろ向きにする。
装備をすべて外して、背中を露出させるとサブウィンドウを開く。
筋肉量や脂肪率などのデータがズラーッと表示され、俺は二の腕をタッチして数値を変更した。
TSSOのカスタマイズはパーツ毎の変更だけでは無く、骨の太さから肩甲骨の位置から鎖骨の浮き出かたまで調整が出来る。
だから、TSSOの住人の半分以上はオンライン状態でもルームから出て来ない。
そして、俺もルームから出ない(笑)
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