第四章 お腹いっぱいでも問題
食べなくてゲッソリと痩せて歩けなくなっていたタロが、家の中を好きなように歩けるまで回復した事で、私たち家族は「とにかく食べてくれて嬉しい」と、喜びの中にいました。
糖尿病との闘いはもちろん理解していたつもりですが、何よりも元気になってもらわないと、治療の根本すら確立できないわけです。
この頃、家のあちこちでタロの尿を見つける事態が多発しました。
量は全て少量ですが、リビングだろうと廊下だろうと、とにかく気づいたら尿がある。という状態。
食べるようになって自分でトイレにも行けるようになって、おむつも卒業したのですが、またおむつの世話になる事態となりました。
とはいえ、今度はタロ自身が自由に歩き回れるので、おむつそのものに抵抗感を感じている様子。
筋力も回復して、自分でお尻を舐められるようになったこともあり、お尻を掃除しようとしておむつをザラザラと舐める。という姿を何度も目撃しました。
血糖値検査の際に、先生に相談したところ、食べすぎによる障害だとの事。
ただでさえ糖尿病で必要以上に水分を欲しがる体なのに、更にお腹いっぱいのままでいると、膀胱は常にオシッコでいっぱいの状態。
なので、膀胱がいっぱいになると、少しだけ漏れてしまい、排せつが完了してなくても排せつ欲求が緩み、また膀胱に尿が溜まる。
これが常態になってしまっていたのでした。
先生に、チューブで尿を出してもらったら、用意された受け皿がいっぱいになり、更にもう一枚の受け皿を用意。
猫のおしっこは、家庭でも出来ない事はないのですが、力加減に注意しないと、膀胱が破裂してしまうらしいのです。
恐ろしくて、とても私たちではできません。
改善策として、今度はタロの食事の量を制限する事になりました。
一日の食べる量を、キャットフードの箱に書かれている表を基準にして、決定します。
パッケージに書かれている体重と食事量の目安は、とても考えられているのだなと、この時になって家族みんな、初めて知りました。
改善を始めると、お腹いっぱい常態がなくなって、タロのお漏らしは無くなりました。
同時に、常に満腹だった状態から、それなりにお腹がすく時間が出来るようになったので、しばらくは「ごはんをくれ」と、うるさく要求する日が続きました。
その欲求は、食欲が減退し始めるまで、三年くらい続いてました。
食欲も戻って、筋力も回復して、お漏らしも改善。
そしてここからが、いよいよ糖尿病との闘いの本番です。
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