第二章 変調は運動能力で知った
タロの歩き方がおかしくなってきた事に気づいたのは、母でした。
ご存じのように、猫はつま先で歩く動物ですが、その歩き方が、なんだか弱々しくなっていったそうです。
ピンと伸びたつま先立ちが、次第に足首が伸びない感じになって、やがて踵をつけて歩くようになりました。
こうなると、後ろから見なくても歩き方が酔っ払いの人みたいで、いかにも変調だなと感じます。
ただ、既に十年近く生きているので、年を取っただけなのかもと、私は感じてもおりました。
しかしある夜、冬になると浴槽の淵にジャンプしてお湯を飲んでいたタロが、見上げただけで、ジャンプを諦めた瞬間を、母が目撃したそうです。
翌日、母と一緒に病院へと連れてゆき、先生に見て戴きました。
猫は腎臓が弱い生き物なので、そちらの病気を疑いました。
処方された薬を与えても症状が改善されず、先生に紹介して頂いた「高度医療センター」という施設で、診てもらう事になりました。
高度医療センターというのは、動物専門の人間ドッグのような感じでしょうか。
かかりつけの獣医の先生に紹介されて連絡していただく事で、予約をとって、診察していただける施設です。
入院設備はありますが、飛び込みで伺っても診ていただけないようです。
逆に言えば、獣医の先生に紹介していただいてここで診て入院となった場合、それは本当に危険な状態、という事です。
診察結果は、家族と獣医の先生に伝えられて、治療はかかりつけの獣医さんで。という流れになります。
私と母が、予約の朝に医療センターへとタロを連れてゆき、診察していただくこと、約八時間。
結果として、腎臓の心配はなかったのですが、糖尿病と解ったのです。
この時のタロの血糖値は、なんと六百を超えてました。
猫の血糖値の平均が百~百五十くらいとの事なので、六百という数値がどれほど大変な事態なのか、解って頂けると思います。
医療センターの先生も、もう少しで即入院でしたと仰ってました。
こうして、私たち家族に結果を知らされ、タロを連れて帰宅しました。
そして翌日、獣医の先生に診て戴き、糖尿病との闘いが始まるのです。
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