コラム.3 食べ物の想い出
食べ物に関してはさまざまな想い出があります。
まあ、全部人間時代の話ですけれど。
日本は食に関しては貪欲なまでに情熱を注いでいるので、昔はちょっと出歩けばすぐに色んな国の料理の店に出くわしたものです。
今はどうなっているか知らないですけれども、ネットで一押しのグルメランキングなんかが話題になっているのを時々見かけるので、この辺りの事情はそんなに変わってないんだろうなぁと、ちょっと微笑ましく思います。
私は特に好き嫌いもなく育ち、アレルギーとも無縁だったのですが、それだけに食事制限が掛かるようになったのは痛かったですね。
怪獣になって一番最初にぶち当たった壁というか、これを書いている今でも辛いものがある話です。
私は怪獣の中でも比較的痩せ型体系な上に、動いてない限りはそこまで栄養を使わないという便利な体質(つまり食べ過ぎると太りやすいのですが)なので筋トレや訓練以外の待機中は極力じっとするようにしています。
とはいえ一回の食事にかかる費用は正確な値段は知りませんが、結構な額になるそうなので極力贅沢は避けるように心がけています。
ただ流石に味が足りないのとミネラルが必要なので塩胡椒は支給して頂けました。
生肉と生野菜(後、果物も少々)の生活も慣れましたが、やはり人間時代に覚えた味が時々蘇ってくるのは耐え難いものがありますね~(笑)。
でも今の私の大きさに合わせた料理を作ろうとしたらとんでもないサイズになりますし、器具から何から調達しなければならないので、まあ無理な話です。
ハンバーグとかステーキなら、もしかすると何とかなるのかもしれませんが寿司とかは多分今の私が見たら小っちゃくなったなぁ、と悲しくなることでしょう。
かと言ってジャンボ寿司にすればいいのかと言うとそれもまあ、何だか違う気がしますし…後、ラーメンとか蕎麦とかうどんとかの麺類は週一で必ずどれかは食べていたので、怪獣になりたての頃は、あのつるつるとした喉越しがもう味わえなくなったと自覚した結果、マジでうつ病になりました。
つまり『麺タル崩壊』したわけです…失礼しました(笑)。
ちなみにこの件に関しては深刻なレベルで心身の調子を崩したので月に何回か『麺の日』が制定されました。
初回の日は泣きながら中華そば食べたのをよく覚えています。
ラーメン屋の大将が救世主に見えました。
ちなみに大将は『世界初!怪獣にラーメンを出した男』という触れ込みを出して有名になったそうです。
普通口止めするところですが大将が速攻で喋っちゃったので、もういっそ宣伝しちゃおうという流れにシフトしたそうです、ちゃっかりしてますね。
お菓子も簡単に食べられなくなったのは辛いですね。
ただでさえ嗜好品関連を購入すると、あれこれ言われちゃう立場なので自重しているのですが『手を伸ばせばそこにポテトチップスやチョコがあって、気軽に口に出来た』のが今では記憶の中だけの光景というのは、これも受け入れるのには時間を要しました。
まあ中にはそんなことお構いなしで美容に情熱を注いでいる奴を一人(一羽?)知ってますけどね。
彼女を見てるともうちょい好きなものを食べたいと言ってもいいのかなとも思いますが、中々頼む勇気が出ないんですよね。
もうこれは性格でしょう。
そんな私ですが実はたまーにいつもと違う料理を食べることが出来たりする時があるんですよ。
それはイベント出演時です。
基本的に私が出る目的はパフォーマンスや展示としての場合が多いんですが、炊き出しコーナーが併設されている場合、盛り上げの一環として巨大鍋を私の熱光線で温めて、料理の一杯目を私がいただくというくだりを結構やるんですよ。
で、この時に出てくる料理って大抵、無茶苦茶美味しく作ってあるんですね。
この時ばかりはイベントだからという名目を掲げて本気で食います(笑)。
本場の海軍カレーを食べられる機会なんて滅多に無いので見逃して下さい。
ただ私が温めただけのカレーを『コゲラカレー』という名前にして出すのはちょっと詐欺な気がします。
あ、ちなみに少し気になっている人もいるかも知れませんがいわゆる『お袋の味』に関しては実はちょっとしたサプライズで母さんが厨房に入ってスープを作ってくれたことがありました。
普段と違うのが出たなー、と思いながら一口食べた瞬間びっくりしましたね。
ガラスの向こうで博士と母さんが『ドッキリ大成功』の横断幕を掲げていたのを見た時は不覚にも涙が出てしまいました。
あれは本当に精神的にも救われました。
まあ、そんなこんなで私は今日もいつかまた色んな料理が食べたいなぁ、なんて思いながら夢の中でグルメツアーを繰り返しているのです。
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