コラム.2 怪獣映画の想い出

 とにかく幼少期は怪獣映画か特撮ヒーローモノばかりを見ていました。

 これを読んでいる子供達には(ひょっとしたら若い大人達も)信じられないかもしれませんが日本では毎年の年末に怪獣映画が公開されていました。

 

 本当ですよ?

 寒風吹きすさぶ中、親に連れられてワクワクしながら見に行ったものです。

 いやー、楽しかったですねー。

 

 公開までに児童誌に載っている前情報や予想記事を何度も読み返して、今年のヤツはあーだこーだと真剣に語り合い、当日はでっかいスクリーンで巨大怪獣が暴れ回る姿を目に焼き付けて、帰ってから来場者特典で貰ったミニフィギュアで再現ごっこなんかしたものです。

 数年後に同じ映画館に足を踏み入れた時にスクリーンが記憶より小さく見えて自身の成長と共に寂しさを覚えたこともありましたね。


 まあ、そんな怪獣好きが今、怪獣なんですけどね。(ここは笑っていい所です)

 よく聞かれるんですけれども不便ではありますが悪い気はしません。

 怪獣映画を見て育ったお蔭か自分に対する嫌悪感みたいなのは無かったですから。


 ただ皆が皆あっさり受け入れられるものではありませんから(怪獣側からしても人間側からしても、ですね)個々人が怪獣に対して持っている感情が違うということをしっかりと理解しなければなりませんね。

 この辺りちゃんと出来ているのかは分からないんですけど。

 

 ただですねー、それはそれとしてちょっと気になっている事があるんですよね。

 はっきり言うと自分達の存在が大好きだった怪獣特撮の最後の灯を消してしまったんじゃないかと思って、かなり申し訳なさを感じてるんです。


 存在しないからこそ絵空事で済まされていたんですが、現実に出てきてしまうとそれは誰かにとって憎しみの対象だったり恐怖の権化になったりしてしまう訳ですから、簡単に描けなくなってしまうのは無理はないです。


 商業的に見ても、テレビ付ければどこかしらで怪獣がどうたらこうたらとニュースでやってる時代にわざわざ大金をかけて怪獣モノをやったところでウケるわけないのは至極当然のことなんですよね。


 映画における怪獣の立ち位置は大きく変わったなぁ、と最近の作品を見て強く感じたのがアクションモノですね。

 昔は戦車とか戦闘機とかが出てきたであろう場面に怪獣がいるんですね。

 え、普通じゃん?って思われるかもしれませんが昔は一般的な映画に怪獣って出てこないものだったんです。

 そういう意味では怪獣が出てこれるジャンルが増えたのは良い事なのかなぁ、とも思います。


 流石に、恋愛映画に出てきた時は吹きましたが。

 うん、あれはゴールデンラズベリーは当然でしょう、コメディにしか見えません。

 監督の頭がパーになったとしか思えません。

 気になる人は検索してみましょう、視聴はお勧めしませんが(笑。


 それでもやっぱり、たまーに怪獣映画を見返してはやっぱこれだよなと頷いてしまうこともあるのです。

 怪獣映画には夢がありました。恐怖も、教訓も、救いもありました。

 映画の中の怪獣は単なる暴れん坊ではなく、常にその時代の問題を象徴化させたものでした。

 それを見た人々はそこから何かを見出し、映画館やテレビの外の現実にフィードバックさせていきました。

 きっと今でもそうなんじゃないかなと思います。


 怪獣映画好き=破壊思想者みたいな目で見られるという悩みをよく頂きます。

 私が人間だった時代でも軍事マニアは戦争好きなんだというレッテルが横行していたように感じます(もしかしたら今でもそうかもしれませんが)


 けれど彼らはこの世の様々な人達となんら変わりなんて無いはずです。

 元気を貰える対象が違うというだけなんだと思います。

 貴方の隣に怪獣映画が好きな人がいても、それは受け入れがたいものかもしれませんが、出来れば『それも個性の一つ』としてそっと置いておいてくれれば、と。

 もしかしたらそれが息苦しい人生の癒しとなっているかもしれないので。


 それが一匹の怪獣映画好きとしての切なるお願いです。

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