第28話 因縁の相手、エンジェルズ
祭の不良時代の過去については詳しくは知らない。
何故かって言われたら分かると思う。
幾ら友人でも.....過去を聞くのは失礼だと思わないか?
つまりはそういう事だ。
だけど.....そんな祭の過去を少しだけ知りたくなった気がする。
不良時代の祭の身に一体、何が起こったのだろうか。
祭が俺に対してこう言ったのだ。
ただ.....歯を食いしばる様に、だ。
自分の付き合っていた彼女を切り捨てた、と。
その彼女とは俺達が.....智子が新しく創る予定の部活に新しく新入部員として招こうとした女の子、佐藤神子で。
俺は.....衝撃を受けてしまった。
その後に神子さんは俺の事を祭の友人だと知り。
見限って去って行ってしまい。
祭を部活に新入部員として招こうとしたが祭も入部はしないとなってしまい。
全てが傾き始めた。
「.....」
「お兄ちゃん.....」
「.....ああ、大丈夫だ」
祭が電話に出ず一時間が経過している。
14時ぐらいから全く電話に出ないのだ。
リビングで祭の安否とか不安に思いながら.....眉を顰めスマホを持って待つ。
今の時刻は15時辺りだ。
祭と別れて.....かなり経つが.....。
何だろうな、早めに電話すれば良かったなクソッタレ。
繋がらなくなるとは思わなかったのだ。
甘かった.....。
思いながら居ると羽鳥先輩が困惑した様に顔を上げる。
「何だろう.....こっちも繋がらない.....祭.....何処に行ったのかな」
「.....羽鳥先輩も駄目っすか.....」
「.....本当に困ったね.....」
何故.....繋がらないのだ.....?
一体、何が起こっているんだ。
今、何を考えているんだ祭.....?
俺は.....返事を求める様に祭に対して電話を鳴らし続けながらスマホを握り締める。
だけどやはり返事は無い。
菜美が落ち込んだ様に話した。
「.....お兄ちゃん。ごめんね。まさか.....神子にそんな過去が有るなんて思わなかったから.....」
「人生はそれぞれだからな。それに偶然も有るだろ。だから.....まあ大丈夫だ」
「.....うん。だけどね.....」
こんな事になるなんてね.....と菜美は落ち込む。
俺は.....それを見ながら顎に手を添える。
うーん.....困ったな.....。
と思っていると.....羽鳥先輩も顎に手を添えて、もしかして.....、と呟いた。
「.....もしかしたら解放しに行っているのかも.....」
「.....え?どういう事ですか?」
「.....それは.....因縁の相手だと思う。.....祭が不良を辞めたきっかけになったエンジェルズに戦いを挑んでいるのかも。エンジェルズに敗北したから祭は不良を辞めたんだよね。その.....言ってしまえば.....神子ちゃんを売った相手でも有るから.....」
「.....じゃあ神子さんが.....もしかしたら今でもエンジェルズの操り人形じゃ無いかと思って.....祭は.....自由にしてやろうと.....単独で?」
そうかもね。
祭は.....変わった。
だから周りに対する配慮も変わったんだよね。
今の彼は.....止められないと思う。
と羽鳥先輩は悲しげに言った。
「.....冗談じゃない.....あんな.....祭が.....」
頭を抱えてしまう。
一体、何処に行ったんだ。
帰ってくるのか?祭、アイツは。
思いながら.....俺は青ざめた。
マジでどうしたら良いのだ。
「.....エンジェルズは.....この場所から100メートル離れた廃工場に拠点が有るけどね.....。でもこのままだと.....」
「.....警察.....に電話して.....先回り.....」
「.....それは駄目だと思う。和彦くん。何故かって言ったら.....国家権力は事件が起こってからじゃ無いと動けない.....組織だからね」
「.....」
いや、ちょっと待て。
冗談じゃ無い。
祭が死んでしまうかもしれない。
このまま.....何も出来ずにこのままで居るのか?
いや.....。
「俺達が動けば良いんだ.....!菜美!」
「.....何?お兄ちゃ.....」
「神子さんに真意を確かめろ!何が起こっているか.....教えてやれ!」
「.....えっと.....でも.....神子さんに電話が.....」
留守電にでも告げてくれ。
俺は.....祭を止める。
そう言い放ち、俺は上着を着た。
それから.....行く。
その肩を羽鳥先輩が止めた。
「止めといた方が良いと思う。君が行って.....何になるのかな。それにもう手遅れかも知れないから」
「.....羽鳥先輩.....じゃあどうすれば.....!?」
「.....この手は使いたく無かったけどね」
羽鳥先輩は言いながら。
何処かへ連絡する。
その連絡先で.....、もしもし、と話し始めた羽鳥先輩。
「.....えっとね、祭の事で.....うん。その.....マズイんだ。かなり。だから力を貸してくれない?」
「.....誰に電話しているのだろう.....」
「分からない.....」
俺達は顔を見合わせてその様に見守る。
そんな感じで呟いていると電話を羽鳥先輩は切った。
それから俺達を見つめてくる。
あ、この電話先だけどね、と言いながら、だ。
「.....祭の不良友達、達。力を貸してって言った」
「.....羽鳥先輩.....どう.....なっているんですか?」
「私は.....祭とも知り合いだけど、祭の不良友達に結構、助けられた事もあってね。だから連絡先も知っているし知り合いなんだ。だけど結局は不良だから.....あまりこの手は使いたく無かったけど。見返りを求めてくるかも知れないから」
「.....でも力.....そいつら、貸してくれるんですか?」
その様に不安そうに言う菜美に、うん、菜美ちゃん。
大丈夫だよ、と窓の外を見る羽鳥先輩。
それから.....彼女はジャンパーの上着を着た。
そして俺を見てくる。
「.....もう一人で.....祭を.....見えない先に行かせるのが嫌だから。私は行くね」
「.....じゃあ俺も行きます」
「.....私も行くよ。お兄ちゃん」
俺達の言葉に羽鳥先輩は目を丸くした。
それから.....真剣な顔で俺と菜美を見てくる。
本当に良いのかな、下手したら高校の停学も有り得るかもよ。
と羽鳥先輩は忠告をした。
だけど.....。
そうだ。
「.....俺は祭の友人です。だから.....祭を止めたいんです」
「.....そうかい。それだったら止めないけどね。.....それなら.....行こうか」
「「はい」」
そして俺達はその日の午後。
危険を覚悟で不良集団エンジェルズの本拠地に入る事にした。
俺は.....祭を止める覚悟で動く。
絶対に.....連れ帰ると、その一心で。
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