第八章 漫画研究部、創設まで
第26話 智子、部活を創る
「にしてもお兄ちゃん。良い加減にしてよね。他の女に惚れるってどういう事か分かってる?死ぬよ」
「惚れて無い.....ってか!お前.....羽鳥先輩も皆んな居ない事を良い事に縛りやがって!!!!!」
「.....質問に答えてね。お兄ちゃん。何でミリアと仲良くなっているのかな」
「.....いや、それは.....」
それは、何?
和かに脅しにかかって来る菜美。
まるでブリキの人形の様だ。
質問を繰り返しながら.....カタカタ動く様に俺を脅す。
因みに今、俺はどうなっているかって?
半分裸で縛られて目の前に梅干しが.....大量に置かれている。
そんな監禁状態だ。
勘弁してくれ。
「羽鳥先輩の日用品を買いに行くのを止めさせられてしかもこれは無いだろお前」
「関係無いけどね。私とお兄ちゃんの愛だから」
「.....いや、関係有.....」
途中まで話していると。
勢い良く口の中に梅干しが突っ込まれた。
この野郎!!!ぐわ!?
辛い甘い!
うおおおお!!!!!何回目だこれ!ぐああああ不味い!
その場に吐き出してしまった。
「とにかく。私は.....私はお兄ちゃんが心配」
「.....こんな馬鹿な事をするお前が心配する理由無いんだが.....」
「何か言ったかな?私はお兄ちゃんが恋しいの」
「.....」
兎に角、誰か助けてくれ。
俺はこのまま殺されてしまう。
思いながら.....救済を求めていると。
ドアが開いた。
姿を見せた女性に俺と菜美は驚愕する。
「.....何しているの.....二人共」
「.....と、智子!!!!?」
「何で智子さんが.....」
俺達は慌てる。
特に俺が慌てている。
縛られているから、だ。
智子は目を丸くしながら.....俺と菜美を交互に見つつ。
唖然とした。
「ドアが開いていて返事が無かったから慌てて入って来たのに.....何これ?」
「智子。取り敢えず訳を話す。逃げるなよ?」
ギィとドアが閉まる。
俺は慌てて智子を呼んだ。
このままではマジで俺の尊厳が無くなる!!!!!
智子ぉ!!!!!
「お兄ちゃん。智子さんと.....」
「お前の事も大切だが智子も大切だ!アホンダラ!」
「え、アホンダラ!?」
椅子を動かしながら智子を呼ぶ。
すると智子は半ドアで俺を見て来た。
軽蔑の眼差しをしている。
いや、蔑視と言うべきか?
同じか。
「.....変態に付き合う気は無いんだけど.....」
「お前は何か誤解している。良いか。智子。俺が望んだんじゃ無い。菜美に捕まったんだ。そして今に至っている」
「.....そうなの?じゃあ今直ぐに助けないと.....」
「助けてくれ。マジ。有難う」
あ、でも、と智子は手を止めた。
それから.....俺を見つめてくる。
助けてあげるけど代わりに用件を聞いてね、と菜美を説得しながら縄を外す。
それは.....怪しい笑みだった。
ちょ、何だ用件って。
「目撃者が居るんだけど.....和彦が女の子とデートしていたって」
「.....」
「.....和彦?何で黙るのかな?」
「.....お兄ちゃん.....?」
二人はかなりキツイ眼差しで俺を射抜く。
地獄×地獄ですね?分かります。
ってか誰か助けてくれぇ!!!!!
このままでは美少女達に殺される!!!!!
童貞が終わる!!!!!
「お兄ちゃん。初耳なんだけど。デートって何?」
「そうだね。菜美ちゃん」
「.....訳は話す。良いかお前ら。落ち着け」
「「.....」」
智子は何か筆箱の様な物から何か出す。
それから俺のおでこにマジックで何か書いた。
俺は智子!?と唖然とする。
菜美はクスクスと笑っていた。
「.....ふーんだ。和彦の馬鹿」
「.....お前.....覚えてろよマジで」
「お兄ちゃん.....ウヘヘェ......ぶ.....ククク」
「お前もマジで覚えていろ!菜美!」
何やってんだコイツら!
しかも何て書いたんだ!?
アホォ!!!!!
俺はジタバタ暴れながら.....縄を解いてもらった。
☆
「良いかお前ら!俺だって一の人間だ。だからおもちゃの様に扱って良い訳が無い!」
「でもお兄ちゃんは私のものだし」
「良い加減にしろお前.....」
俺は額に手を添えながら。
盛大にリビングで息を吐いた。
目の前には女の子が二人座り俺を見ている。
智子と菜美だ。
マジックの汚れを見ながらまた吹き出す、菜美。
コイツの額にもいつか落書きしてやる。
マジックの油性でな!
「で、智子。何の用だ」
「あ、えっとね。その.....研究会を立ち上げようかと思って」
「.....は?」
「いや、あのね。部活をやりたいの。それで.....部員を募集しているの」
吹奏楽部はどうしたんだ。
と俺は聞く。
しかし智子は少しだけ居心地悪い様な顔をした。
それから.....俺を見てくる。
「駄目かもと思って辞めちゃった。私に合ってないみたいだから.....」
「.....そうなんですね」
「そうなのか?辞めたのか.....」
智子ならやっていけると思ったんだがな。
思いながら俺は智子を見る。
智子は、ううん、と言う。
それから.....音が駄目だった、と話した。
「大きい音はアウトみたい。だから部活を立ち上げようと思って」
「機転が凄すぎるなお前」
「.....うん。でね、この部活の名前は漫画研究会にしようと思って」
「「は?」」
素っ頓狂な声が出た。
何だそれ!?
俺は見開きながら考える。
確かにそういう部活は無いよな。あの学校。
だけどそれで作るのか!?
「創設は良いけど、部員が六人。でね、顧問の先生が一人要るって。だから.....」
「だから俺にお願いを、と?」
「そう。お願い。和彦。入ってくれない?」
「いや、それは構わないが......俺としては。でも.....」
祭を入れました、でもあと二人足りないんだが。
どうする気なのだ。
そんな部活に入ってくれる人なんか周りに.....。
そうしているとガチャッとリビングのドアが開いた。
「私が来た」
「何やってんだテメェ!!!!!」
ミリアだった。
勝手に俺の家に入り込んでそしてドアを開けたのだ。
この野郎!俺の家のセキュリティを小馬鹿にした様な.....!?
ミリアはびくりしている俺と仰天している智子。
菜美を見ながら頷く。
そしてクワッと見開いた。
「私がその部活に入るわ。一人埋まるじゃ無い」
「.....アホなのか。そもそもお前は俺の学校の生徒じゃ無いだろ!!!!!」
「.....え?転学すれば良いじゃ無い」
「.....は?馬鹿なのか?」
あら失礼ね。
出来るわよ私の学校、高校だもの。
と.....言う.....ハァ!!!!?
コイツ、どう見ても13〜14ぐらいにしか見えないんだが!
俺は見開きながら.....見る。
「私はそれなりに飛んできているから。だから安心しなさい。転学するわ」
「.....ミリア.....」
「マジかコイツ......」
うーん?
じゃあ一応、コイツを含めてあと一人。
だけど、菜美は無理だ。
生徒会が有るのだ。
そうなると?
「あ、じゃあ紹介したい人が居るんだけど.....構わない?お兄ちゃん。見張り役で」
「お?ああ.....良いけどって見張り役?」
「うん。私の知り合いの女の子。佐藤神子って言うんだけど.....」
見張り役っておま。
俺は額に手を添える。
しかし佐藤神子か。
それなら.....全員揃ったかな?
俺は智子を見る。
「.....うん。良いんじゃ無いかな。有難うみんな」
「お、おう」
「良かった」
「そうね。菜美」
なんか......また息苦しくなりそうな。
そんな感覚だが.....大丈夫だろうか.....?
俺は少しだけ不安を覚えながら盛大に息を吐いた。
しかし部活か.....。
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