第七章 何でや

第22話 予想外の訪問客

さて.....。

うちに羽鳥先輩がやって来てから。

ゴールデンウィークとかも随分と賑やかになった。

そんな俺は.....スマホを弄りながら.....智子と会話している。

智子は驚いた感じで文面を送ってくる。


(え?それって凄いね)


(まぁ見過ごせなかったからな。羽鳥先輩も本気で困っている様だったし。だから救った感じだ)


(そうだね.....相変わらずだ。和彦。君は何でもかんでも救ってしまう。ヒーローの様だね)


「.....あはは。まぁ俺はヒーローじゃねぇよ」


苦笑しながら智子のメッセージを読む。

それから.....天井を見上げて溜息を吐いた。

全く.....智子の野郎と思いつつ俺は昔をふと、思い出した。

まるで.....水面に草が浮き上がって来る様な感じで。


「.....そうだよ。俺はヒーローじゃ無い。母さんすら救えなかった.....それなりの落ちこぼれだから.....」


母さんも何も救えなかった俺は.....落ちこぼれ以上のクズだ。

だから俺は.....懺悔の日々を生きていくいかないのだ。

誰かのヒーローになる暇も無い。

ただ.....困っていたから手を差し伸ばしただけだ。

それで.....理由としては十分だろうと思う。

そんな感じで.....目を閉じて考えていると.....。


ドンドンドン!!!!!


「ん!?.....ちょ、何だ!?」


いきなり大きな音がした。

俺は驚愕して音がした外が見える窓を見つめる。

バルコニー辺りに.....人影が見えた。

まさかの事態に俺は!?を浮かべる。


「.....な、何だ!?コラ!誰だ!」


「.....私よ。ゴミ屑。この窓を開けなさい」


「.....!?」


白髪のゴスロリが何故か立ってそこに居た。

ミリア・ラシュードだったって.....オイコラ!

一体全体、どういう事だ!!!!?

ここ二階なんだが!!!!?

それ以外にもここは人の家だろ!


「テメェ!ちょっと待て.....いや、お前何やってんだ!アホか!!!!!どうやって二階に侵入した!」


「私、腕力だけはそこそこに自信が有るから。それで来たの」


「.....じゃあよじ登って.....ってそんな馬鹿な!?マジなアホか!落ちたらどうする!」


「落ちる訳無いじゃない。私だから」


俺の言葉のろれつが回ってないけど!

でも何だってそんな馬鹿な事をコイツはした!

驚きながら.....俺は窓を見る。

するとミリアは眉を顰めながらドンドンと窓を叩いた。

それから.....俺を脅す。


「とにかく開けなさいここを。本気で殺すわよ」


「お前.....あのな.....」


「.....良いから開けて。知られたく無いの。あの子に」


「.....???」


あの子とは。

つまりを言えば菜美だろう。

どういうこった?

俺は思いながら窓を開ける。

そしてミリアが入って来ながら.....俺の部屋を訝しげに見た。

何だよ.....今度は。


「.....きったなくて狭い部屋ね。ウサギ小屋みたいじゃない」


「.....アメリカ人って絶対にそう言うよな。あのな。これが日本のジャパニーズハウスだ!」


「ジャパニーズも呆れたものね。.....まぁ良いわ。とにかく用件を言うわ。私と付き合いなさい」


「.....そうかそうか。付き合いなさい.....アァ!?お前、今何つった!?」


俺がビックリしながら言うと。

ミリアは一瞬考えた。

そして真っ赤になって俺に平手打ちする。

この駄犬!と言いながら。


「アホ!スケベ!何をしようと言うの!」


「何も.....ってか、理不尽だ!」


そんな感じでミリアの平手打ちによろめいて居ると。

ドンドンと戸が鳴った。

俺達は見開いて顔を見合わせる。

そしてミリアは俺のベッドの下に隠れた。


「さっきからうるさいんだけど。何やってるの?お兄ちゃん」


「.....いや、何でも無い。すまん」


「.....もしかしてテレビの音?もう。小さくしてよね」


そ、そうだ。

テレビの音だ、すまない。

俺は謝りながら言葉を発する。

ミリアは俺の足下で様子を伺っていた。


「また後でね。お兄ちゃん」


「.....そうだな。ま、また後で」


そして声が遠ざかって行く。

それからミリアがモジモジっと出て来た。

俺はミリアを睨む様に見る。


「あのな。ミリア。付き合って欲しいとはどういう事だ」


「.....私、プレゼント選びが得意じゃ無いの。だから.....その.....菜美にあげるプレゼント選びを手伝って。お願い」


「.....何かの記念日か?」


「.....そうね.....日頃の恩返しよ」


何だよ.....それだけかよ。

思いながら俺は額に手を添えた。

それから.....ミリアを見る。

だがミリアは本気でプレゼントが欲しいという感じだった。

俺は.....それを見ながらまた溜息を吐く。


「見返りは有るのか」


「.....有るわ。私とデート出来る権限」


「.....要らねぇ.....」


「ハァ!?アンタこの美少女が付き合ってあげるって言ってんのに!?」


要らねぇだろそれ。

こんな美少女のデート権限って.....。

思いながら俺はまたまた盛大に溜息を吐いた。

俺の部屋を見渡しているミリアに言う。


「.....分かった。もう良い。お前に付き合う。付き合ってやるよ。だけど.....その代わりに教えてくれ」


「何かしら」


「.....菜美の仕事の様子を教えてくれ。それが条件だ」


「.....!」


ミリアは目を丸くして俺を見る。

そう、俺は菜美の仕事の様子を聞こうにも聞けない。

だから.....取り敢えず聞きたいのだ。

どれだけ頑張っているのかを。


「.....お前なら知っているんじゃ無いか?ミリア」


「.....条件はそんな事で良いのかしら?」


「.....ああ。構わない。俺は.....菜美の義兄だからな。それが聞ければ十分だ」


「.....あっそ」


全く.....興醒めね。

と言いながらも、分かったわと答えてくれたミリア。

それで、いつ付き合ってくれる?とミリアが小声で聞いてきた。

俺は顎に手を添える。


「.....明日はどうなんだ」


「.....良いわ。明日ね。.....あ、この事は菜美に話さないで頂戴ね」


「.....ああ。分かった。.....ところでお前、どうやって帰るんだ?」


「.....簡単。さっきの場所から降りて帰るわよ。.....あ、一応、念の為に私のアドレス教えておくから。覚えなさい」


こうして俺は突然、攻め込んで来たミリアに付き合う約束をして。

それから.....アドレスを交換した。

で、ミリアは俺のエロ本の事をぶつぶつ言いながら.....帰って行く。

それは良いけど、あの野郎.....マジかと思ってしまった。

こんな入り方で.....入って来るなんて。


「.....にしても.....付き合ってねぇ.....」


何つうか.....うん。

こんな形で女の子と付き合うとは思わなかったな。

ハァと思いながら.....頭をボリボリ掻きつつ。


背後を見ると.....菜美が眉を顰めて立っていた。

うぁお!?!!?何やってんだコイツ!


「お前!またかコラ!何やってんだ!!!!?」


「.....クンカクンカ.....何この部屋.....女の匂いがするんだけど.....お兄ちゃん?」


「.....ハァ.....」


ハイライトが消えた菜美。

弁解がめんどいな.....あの野郎.....。

思いながら.....俺は菜美に必死に説明した。


そして.....翌日になってから俺は。

波と羽鳥先輩に祭と遊びに行くと嘘を吐いて断ってから.....ミリアに会いに行った。

こんな形で女の子に付き合うとはね.....。

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