第23話 負けんなよ
例えばの話だが。
自分の家のベランダに普通に美少女が立っていたら君達ならどうするだろうか。
それはさぞかしアッと驚くだろう。
何と言うかそれが普通だと思う。
そして.....ハァ!?ってなるだろう。
それが普通だと思うのだ。
しかも相手は俺を嫌っている女の子で。
そして.....その女の子が何故か君達とデート(偽)の約束をして去って行く。
一体どう対応すれば良いというのだろうか.....ってならないか?
現に俺は困っている。
「.....ミリアとデートねぇ.....」
喜べないのだが。
こんなにデートで喜べないの初めてかも知れない。
智子の時も嬉しかったってのに。
思いながら俺は翌日、起きてから朝食を食べる。
すると視線を感じた。
「お兄ちゃん」
「.....何だ?菜美」
「.....うーん.....とね。お兄ちゃん。デートしてくる気じゃない?」
「ブッファ!」
何だコイツ!!?
一体何故、そんなに察しが良いのだ!
思いながら俺は咽せつつ、否定の言葉を発した。
首を振りつつ。
「.....あのな。こんなむさい男がデートって無いぞ」
「.....ふーん.....そうかなぁ?」
「.....」
まぁ良いけどね。
今日、お兄ちゃんだけでどっかに行くんでしょ?
怪しいと思ってね、と菜美はジト目を向けてくる。
成る程な、それでか.....。
まさかミリアとデートしているとは言えまい。
俺は別の言い訳を考えて、菜美を見た。
「.....ちょっと勉強に必要になったから参考書を買ってくるんだ」
「.....ふーん.....」
「.....勘弁してくれ.....」
怪しい。
という感じで.....ジッと見てくる、菜美。
すると裕子さんがコラコラ、菜美。
と怒った。
「あまりお兄ちゃんを問い詰めても仕方無いでしょ?ご飯食べなさい」
「はーい」
「.....」
ヤレヤレ、助かった。
思いながら俺は.....再び溜息を吐きつつ。
朝食を食べようとした。
すると.....羽鳥先輩がとんでも無い言葉を発する。
「でも確かに昨日はおかしな日だったよね?君の部屋に.....誰か居たような?」
「居ないですって.....」
「ふーん?怪しいなぁ。でも深追いしたらいけないよね。あはは」
折角、色々と沈んでいたのに蒸し返さないで下さい。
俺は懇願しながら.....横を見ると。
ジト目.....っつーか。
ハイライトが消えた菜美が居た。
俺はビックリしながら菜美を見つめる。
「.....大丈夫?お兄ちゃん.....?」
「.....だ、大丈夫です」
「そう。あはは」
「.....」
これはマズイな。
胃に穴が空きそうな感じです。
早く.....この家から脱出しないとマズイ。
俺の体が持たない気がしてきた。
体プロパンガスで内臓が本当にガス爆発でもしそうだ。
そう思いながら俺は.....掻き込む様に朝食を食べた。
☆
「遅い」
「.....お前な.....1分遅れただけ.....」
「関係無いわよ。死ね」
「お前.....」
俺達の待ち合わせ場所は智子と以前、待ち合わせた場所だ。
死ねって.....このガキ。
イラついて思いながら.....盛大に息を吐いた。
それから.....走って来てガクガクの膝を押さえつつ。
立ち上がってミリアを見た。
「で?何処行くんだよ」
「ショップに決まっているでしょ。ショッピングで色々と探すのよ」
「.....だから何処に行くんだよ.....」
「アンタが決めなさい。エスコートしなさい。色々と知らないから」
コイツ.....ゴミ箱にぶち込んでやりたい。
智子とえらい差がある。
白髪で顔立ちが整っているからといえ.....調子に乗るなよ.....。
俺は頭をガシガシしながら。
手を差し出した。
「.....何?」
「エスコートしろって言ったのはお前だろうが。手ぇ握れよ」
「.....!.....あら。駄犬のくせにやるわね」
「.....言ってろ」
えっと.....この辺りに.....ショップか。
そうなると智子と行った方向の反対方向かな。
そこにはショップが立ち並んでいるしな。
考えながら......ミリアを見る。
「.....ミリア。反対側に行くけど良いか」
「.....任せるわ。私はこの辺りに詳しく無いから」
「.....ったく。そうしていりゃ可愛いのにな」
そうそう。
文句ばっかりのツラじゃなくてよ。
そんな感じで困惑して頼ってくる顔の方が可愛い。
俺は頷きながら......見ると。
「.....ふえ?」
「.....え?」
顔が火が付いた様に真っ赤になっていた。
困惑している。
何だコイツと俺は目をパチクリする。
すると.....ミリアは、な、何を言っているの!さっさと行くわよ!駄犬!
とさっさと歩いて行ってしまった。
「.....あー.....成る程な」
赤くなりやすいと。
それは良い事を知った。
今度から積極的に恥ずかしい事を言ってやろう。
思いながら.....俺はミリアに付いて行った。
☆
「こっちなのね?」
「.....ああ、そうだ。そっち行ったら色々有るぞ」
電車に乗って隣街に来た。
少し外れた所にショッピング街が有る。
そこならと思いつつ。
ミリアをエスコートしながら歩く。
そうしていると目の前を歩いて来た.....同年代ぐらいの男子達がミリアを指差した。
金髪とか少々の不良だ。
「あれ.....ミリアじゃ無い?」
「.....あれ?本当だ。白髪のお化けだ」
「うっわ。マジかよ」
マジで白髪ババアなのにな!と。
俺は何だコイツら.....と思いながら不愉快そうな視線を向ける。
そしてゲラゲラ笑う。
俺は.....ミリアを見た。
「駄犬、離れましょう」
とミリアは.....少しだけ悲しげにその場を去ろうとする。
外国人差別か。
そう考えて.....俺はソイツらに向いた。
金髪達はア?と俺を見る。
「あのな。ミリアはそんな子じゃ無い。お前らが思っている程.....可哀想な奴じゃ無いから。一途だからな」
「いやいや、何だお前?」
「.....いやー。不愉快だから。お前らの言葉が」
そう言いながら。
俺はそのクソ馬鹿共を睨みつつ立ち去る。
その前でミリアが目を丸くしながら俺を見ていた。
そして.....駄犬.....?
と言う。
「ミリア。お前は確かにバッドな存在かも知れないけど。一途で.....そして頑張っているのは認めるよ。だからアイツらが不愉快だった」
「.....!」
「.....あんな奴らに負けんなよ?ミリア」
俺はミリアの頭をガシガシ撫でる。
そして笑みを浮かべた。
今だけ.....まるで妹のように感じる。
俺は思いながら.....ミリアを見た。
「あ、当たり前でしょ!さっさと行くわよ。駄犬」
「.....ははっ」
「.....でも、その、.....ありがとう」
「.....あ?聞こえないぞ」
何でも無い!
ミリアは何かを話した後にそう大声で俺を掻っ捌いた。
俺は???を浮かべながらも。
ミリアの良い点を色々と見つけれそうな気がして。
嬉しく思った。
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