第15話 衝撃の事実

ミリア・ラシュード。

聞いた話によると彼女は.....かなり有名なラノベ作家だという。

それも有名な、だ。

だけど.....そんなミリアに俺はゴミの様に扱われた。


そして.....嫌いと明確に言われた。

俺は.....かなり複雑に思いながらも。

今は忘れようと思いながら智子と一緒に買い物をする。


「有難うね。和彦。付き合ってくれて」


「.....ああ。それにしてもこんな場所にデパートが有るとは思わなかった。凄いなお前。流石だ」


「.....うん。って言うか私もこの前、知ったばかりなんだけどね」


此処は雑貨売り場だ。

その場所で、えへへ、と、はにかむ、智子。

俺に対して.....いや。

この笑顔はきっと俺が.....笑顔になる為に必死に笑顔を見せている。

智子はまだ不安なんだろう、きっと。


「.....智子」


「.....何?和彦」


「俺さ、お前に出会えて最高だと思った。ミリアと会った時に泣いてくれて」


「.....当たり前でしょ。貴方は私が.....」


そこまで言い掛けて。

智子はボッと火が点く様に赤くなった。

それから顔を背ける。

ん?何だ?


「.....でも本当に心配したんだから」


「.....だよな。俺も.....ちょっと怖かったよ。流石にな」


「.....何であんなに和彦の事を嫌っているんだろうね.....」


「.....分からない。もしかしたら知らぬ間に.....怒らせたんだろうかって思う」


俺自身が.....母さんが亡くなって暫くはボッチが好きで。

そんな感じで居たらイジメを受けた事もあって。

それで.....人に対して冷たく接した時も有ったのだ。

信じられなくて、だ。

だからその際に.....と思ったりするのだが。


「そんな事無い。和彦。それは私が良く知っているから」


「.....そうかな」


「そうだよ。和彦が悪い事をした事なんて無いんだから。私が良く知っているよ。それは。幼馴染だから」


「.....ああ。有難うな。智子」


うん、と智子は笑顔を見せる。

だがやはり.....と考えていると。

目の前から誰かやって来た。

そして勢い良く俺に抱き付く。


「お兄ちゃん!」


「.....君.....きょ、京子ちゃん.....!?」


「やっぱりあの時のお兄ちゃんだ!久しぶり!」


ニコニコしながら京子ちゃんは俺を見上げて見てくる。

智子が目を丸くする。

この右の髪を今日はさくらんぼの髪留めで結んでいる玉木京子ちゃん。

俺達の先輩の.....妹の姉妹さんだ。

と言う事は、だ。


「.....おや?智子に.....和彦じゃ無いか」


「.....玉木先輩!」


やはり居た。

俺はびっくりしながら玉木先輩を見る。

私服だが.....その、やはり小学生の様に見える。

左手で恭子ちゃんの手を握っている。


「京子が突然駆け出して行ったと思ったら。何をやっているのかね?」


「.....あ、えっとですね.....」


「.....デートかね?ハッハッハ」


えー!?デート!?

と京子ちゃんと恭子ちゃんが驚愕する。

違いますってと苦笑して否定しながら。

少し考えて、はた、と思って玉木先輩を見た。


「玉木先輩。人生経験、豊富っすか?」


「.....は?何?いや.....それはまぁ10代も後少しの様な人間だしな。私は」


「.....相談に乗ってくれますか?」


少し真剣な顔で玉木先輩を見る。

玉木先輩は.....顎に手を添えた。

それから.....うむ、と言う。


「.....何やら困った様な。.....分かった。良いだろう。その代わりと言っちゃ何だが京子と恭子を待たせる事になる。飲み物を奢ってくれ」


「.....分かりました」


俺は京子ちゃんと恭子ちゃんの手を握る。

ニコニコしている笑顔に.....こっちも癒されそうだ。

思っていると背後から智子が聞いてきた。


「.....和彦.....相談って?」


「.....いや、ミリアと仲良くなりたいけど.....その中でも玉木先輩ってクラスを纏めているし、友達多そうだからな」


「.....あー。成る程ね。私も相談したいな」


君達は私の事を偉大と思っている様だが違うからな。

神様でも無い。

と溜息混じりに俺と智子を見る玉木先輩。

俺は、分かってます、と答えながら.....俺達は場所を移動した。



「ところで相談って何かね」


「.....簡単に言っちまうと.....初対面から俺と仲が悪い女の子が居て.....それで仲良くしたいんです」


移動した場所。

保育園児とかが遊んでいるスペースの近くだ。

自販機で買ったコーヒーを飲みながら俺は玉木先輩を見つめる。

玉木先輩の飲み物は甘酒だ。


「.....あのな。私は言ったかも知れないが.....神様では無いぞ。私に頼って良いのか?」


「玉木先輩しか居ない気がします。俺.....ボッチですからね」


少しだけ気を落としながら先輩に向く。

玉木先輩は少しだけ困惑しながらも考えてくれていた。

俺は.....答えを待つ。

すると玉木先輩が口を開いた。


「.....ふむ.....そうなると.....仲が悪いきっかけを探るのが良いんじゃ無いか?やはり。それから.....それを謝ってから.....仲良くする。それが一番じゃ無いかって思うな」


「.....やっぱりそうっすよね」


「うむ。当たり前の事が人は出来ないからな。だからそれをして.....仲良くするのが一番だと思う。私は和彦が言う様に確かに色々な人のまとめ役をしている。だがその中でも最も大切にしているのが.....関係だ。それが無いと.....人間、何も出来無いからな。人は.....不便な生き物だから。だから先ずは関係修復といった方が良いだろうな」


「.....流石は先輩です」


何を言っている。

そんな当たり前の事が出来ない人間はこの世で生きられないぞ。

と玉木先輩は怒った。


俺は.....その先輩の言葉を受けながら智子を見る。

京子ちゃんと恭子ちゃんと仲が良くなっている様に見える。

思いながら前を見ると.....京子ちゃん達を見ながら先輩も笑みを浮かべていた。


「.....とにかく関係修復を試みる事だ。人間、喧嘩ばかりの関係じゃ.....いつかは身を滅ぼすからな」


「.....ですよね。俺も考えていましたけど、纏まりました。有難う御座います」


「うむ。.....所で.....名前はなんて言ったか?その関係の悪い女の子とやらは」


「ミリアっていうアメリカ人の外国人です」


ミリア.....と言えばあの何時もニコニコしている愛想の良い少女か?

仕事の都合で会った事は有るが.....そんなに顔が豹変するとは思わないが.....と先輩は考え込む。

俺もその隙に少しだけ考えた。

何故、俺だけにそんなに敵視するのか。


「.....分かった。私からも何か言っておこう」


「.....有難う御座います。先輩」


「.....気にするな。喧嘩は好きじゃ無いからな。私は」


そしてコーヒーの入っていた紙コップを潰して立ち上がる、先輩。

それから.....智子の相談に乗った。

俺はその間、京子ちゃんと恭子ちゃんと遊んだ。

良い子達で.....俺を柔和に遊びに入れてくれた。

流石は玉木先輩の子だと.....思う。



「ミリア.....俺が去った後に何か言っていたか」


「.....うーん。和彦の事は死んでも許さないって」


「.....うーん.....?」


夜になった。

帰って来てから。

俺は部屋で菜美と一緒に話していた。

菜美は困惑しながら謝ってくる。


「ごめん。まさかそんなにミリアが和彦を嫌っているとは思わなかったから」


「.....だな」


そこまで言ってから俺は苦笑する。

すると.....いきなり。

菜美の目から光が消えた。

そして俺を見てくる.....え.....?


「.....所で和彦。アンタから女の匂いがする」


「.....」


「.....まさか幼女、子供に手を出したの?最低。このクズ」


「お前.....」


何でそこまで嗅ぎ分けれる。

思いながら.....説明をした。

玉木先輩にミリアに関して相談に乗ってもらっていた事とか。

すると.....少しだけ菜美は怯んだ。

それから.....腕を組んでそっぽを向く。


「ふ、ふーん。私抜きで......ふーん」


「.....何だお前。どっちだよ。良いのか悪いのか」


「.....ふんだ。和彦のアホ、ボケ、カス、チンドン屋」


「そこまで言うかお前.....」


全く.....と思いながら外を見ると窓の外に誰か居た。

この時刻に誰だ?

ソイツはインターフォンを押そうとして.....ってアイツ!?

ミリアじゃねーか!


「.....ちょ、何やってるのあの子?」


「.....知らねーよ.....」


何でこの時間.....?と駆け出して行く、菜美。

そしてインターフォンが鳴った直後に外に出る。

その場所には笑顔のミリアが立っていた。


「.....どうしたの?ミリア」


「.....菜美に会いたくなったから.....来ちゃった」


「.....え?でも今日、会ったばかりじゃ無い」


「別に良いでしょ?」


ミリア、か。

思いながら俺は壁から出る。

すると.....ミリアは俺を見て目を丸くして。

そして果物ナイフ.....え!?


「死ね!」


「何すんだテメェ!コラァ!」


「お前だけは許さない!」


「何でそこまで俺を恨んでんだお前は!」


その様に躱しながら言うと。

だって.....だって.....!、と.....信じられなかった。

涙目にミリアはなったのだ。


持っていたゴスロリに合う鞄を握りしめながら。

俺達は驚愕して見つめる。

そんなミリアはまるでダイヤみたいな涙を流しながら宣言する。


「私.....菜美が大大大好きなの!異性として!そんな菜美を取るお前は敵だ!」


「「.....は?」」


ごめん、今、なんて?

素っ頓狂な声が出てしまった。

つうか俺達は目が点になる。

まさかと思うがそれで俺を攻撃している!?


「菜美が好き.....大好きだか.....ら.....。私の菜美だから.....ハァ.....菜美が居ないと死んじゃうから.....!」


菜美の.....って言うか。

目の前で女の子が赤面で股の近くを触り悶絶している。

ごめん、何だ、コイツ.....マジに。

思いながら俺は頭を掻いた。


「.....お前.....もしかしてメンヘラとか?」


「死ね!」


「うお!何する!テメェコラ殺す気か!」


「メンヘラじゃ無い!失礼な事をぬかすな!フ○ック!」


何ちゅう事を言うんだ!

と言いつつメンヘラ女の攻撃を躱しながら。

また変な奴が現れた.....と。

俺は盛大に溜息を吐くしか無く。

菜美は目をパチクリしていた。

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