第14話 ラノベ作家、ミリア・ラシュード
智子と会話する中で。
俺は.....横の菜美とゴスロリを時折、横を見て観察していた。
本当に.....この偶然って、と思いながら、だ。
何故.....菜美はこの店を選んだのか.....。
横から目を逸らして目の前のケーキを見ながらコーヒーの湯気を見て眉を顰める。
何を.....どうするべきか。
すると智子が頬を膨らませて文句を言ってきた。
「.....あのね聞いてるの?和彦」
「.....え?ああ。聞いてるよ。俺が居なかった時の事の思い出話だろ。全部聞いている。お前の言葉だしな」
「.....うーん。聞いているって言えば聞いているみたいだけど.....でもそれはそうとさっきから何を見ているの?」
「.....あ、ああ。えっとな。ちょっと.....外の景色が綺麗だなって」
その様に言い訳しながら。
再度、眉を顰めたまま横を見た。
だがさっきと様子が違う。
何故か.....ゴスロリが立っていて。
目の前の菜美は目を丸くしながらゴスロリを見ていた。
俺の方向に向いて睨んできていたのだ。
え?ちょっと待て.....何だ!?
カツカツとヒール?っぽい音をたてて俺の方向にそのゴスロリが迫って来た。
その事に智子が驚愕する。
「.....え?さっきの.....」
智子がそう言った瞬間。
俺はそのゴスロリに胸ぐらを思いっきり掴まれた。
そのまま持ち上げ.....こ、コイツ!なんちゅう体力だ!?
って言うか.....何をしているんだ!
「.....ちょっと!ミリア!何やって.....え?.....か、和彦!?」
「菜美!驚くのは良い!コイツ誰なんだ!」
「.....え.....えっと.....この子はミリア・ラシュード.....アメリカ人で.....何十作品と出版している有名なラノベ作家だよ.....!」
「.....へ!?」
ちょ、菜美の野郎!今何つった。
冗談じゃ無い、コイツが菜美が合う筈のラノベ作家!?
こ、この暴力女が、か!?
思いながら俺は暴れた。
だが抱えられたまま、空中で足がブラブラするだけで抵抗にならない。
というか初めっから抵抗になってない。
え、襟が締められて苦しい!
「.....貴方、気に入らない」
「.....!?」
「.....私、貴方が嫌い。だから消えて」
「.....何を言っているんだ.....お前.....俺の事を知っているのか!?」
知っているに決まっている。
だって貴方は菜美の義兄。
貴方は.....菜美の敵、そして私の敵。
だから気に入らない。
俺は!?を浮かべながらゴスロリの手を掴む。
その言葉を受けながら周りを見ると周りも騒然としていた。
「.....おい、良いのかお前!警察呼ばれるぞこのままだと!」
「そ、そうだよミリア!」
するとその言葉に眉を顰めたミリアという少女。
そして.....俺を突然、床に落とした。
こ、この野郎.....!
思いながら.....ゲホゲホ言いつつミリアを見つめる。
ミリアは舌打ちした。
「.....ポリスメン.....それは困るわね」
その様に呟いた、ミリアは俺を見下す様に見てくる。
俺は.....その顔を睨んだ。
コイツは.....俺の拒絶フェロモンが出ている。
考えながら.....ミリアを見る。
ミリアは俺を指差した。
キッという感じの目をしている。
「.....貴方は嫌いだから。.....そして絶対に許さない」
「.....初対面の野郎にそう言われたのは初めてですよ。ハッハッハ。.....つーか、俺も嫌いだわお前の事」
相当にムカつくけど.....まあ怒るのは俺じゃ無い。
だから額に#を浮かべながらも.....深呼吸して落ち着く。
ミリアはカツカツとヒール?らしき物を鳴らしながら歩いて行った。
俺に手を差し出してくる、菜美。
「大丈夫?」
「.....大丈夫だ。お前の.....仕事関係者って個性的だな。マジに」
ったく.....ミリア・ラシュードめ。
覚えたぞクソ野郎。
アメリカ人か。
何と言うか俺もお前の事は嫌いだぜ。
思いながら.....向こうの席に座ったミリアを見ながら。
立ち上がって.....萎縮している智子を見る。
智子は泣きそうな顔をしていた。
「.....智子。すまんな。全部がぶち壊しになってしまって」
「.....いや.....別に構わないけど.....」
俺に近付いて来る智子。
そして.....静かに縋って涙を流した。
和彦が.....死んじゃうかと思った.....と言いながら、だ。
俺は.....その言葉を受けながら静かに菜美を見る。
菜美も溜息混じりで.....ミリアを見た。
何故.....あそこまで俺を嫌っているのだろうか。
俺達は顔を合わせながら.....眉を顰めた。
「.....ごめんね。まさかこんな事になるなんて思って無かったから。ミリアがそんなに.....和彦を嫌っているなんて思って無かった.....から」
「.....ああ。俺もまさかあんなに嫌われているんなんて.....思って無かったよ。初対面だったのにな」
って言うか思ったけど。
あの弾丸で射抜かれた様な視線ってあの視線ってミリアの視線だったんだな。
その様に溜息混じりで思いつつミリアを見る。
そんなミリアは俺達を見ながら.....イライラしている様だった。
俺は菜美を見る。
「.....戻ってやれ」
「.....え、和彦は大丈夫なの?」
「.....俺は大丈夫だ。.....ってか.....戻らないとお前の仕事のお仲間は苛立っているしな。ヤバイと思うし」
「.....うん.....」
頷いて複雑な顔で俺の言う通り戻って行く菜美。
俺はそれを見送ってから少しだけ溜息混じりの笑みを溢して。
涙を拭っている智子に向く。
そして.....拳を握りながら笑みをまた浮かべた。
「.....行くか。この場所に居づらい」
「.....うん。そうだね。.....目障りって言うか.....邪魔になるかも知れないし.....」
俺は聞きながら.....俯く。
智子が.....取り敢えずは怒らなくて良かった。
取り敢えず.....上手く解決したから。
いや、その表現はおかしいか、上手く纏まったから.....良いとしようって感じだ。
その様に.....頭の中で完結させた。
それから.....俺達はそのカフェを後にする。
この後の事は.....菜美に取り敢えず任せようと考えながら。
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