第12話 変態、ヤンデレ、恥ずかしがり屋
「.....おい」
「.....何?和彦」
その日の夜。
またもパンツ一丁で裸同然の恥ずかしい姿を菜美に晒しつつ。
俺は紐を解こうと暴れていた。
菜美は静かに俺のイラストを描いている。
この野郎。
帰って来たら菜美にお疲れ様とジュースを渡された、のは良いのだが。
これは睡眠薬入りのジュースを飲まされた様で俺は何時の間にか縛られていた。
菜美に解けと訴える。
まるで.....獣が叫んでいる様にも見えなく無いと思うが俺の童貞が危ない。
そんな表現をしている場合では無い。
「何かじゃない!アホか!帰って来た早々に!離せコラァ!」
「うーん。離さないよ?だって.....うふふ。また智子さんと一緒だったよね?和彦.....?私の為に.....尽くしてね。私の和彦なんだから」
「あのな.....智子と一緒に変な事をしていた訳じゃ無いからな!」
そんな事はどうでも良いよ。
和彦は私のものだから。
と言う、菜美。
離す気も無く.....俺を再度、縛り上げる。
俺は盛大に溜息を吐きながら.....なすがままになっていた。
「お前さ.....俺をモデルにしてイラスト描いていて楽しいか?」
「.....楽しいよ?それがどうしたの?」
「.....」
「.....?」
本当に昔と違う。
俺と菜美が初めて会った頃とは、だ。
活発になったよなコイツ.....思いながら俺は.....溜息を吐いた。
そうしていると.....菜美は俺のパンツを脱がそうとして.....ってオイ!
「何やってんだコラァ!?」
「.....こっちも見せて。それなりに必要だからね」
「アホか!そっちは駄目だ!」
「うーん。何でかな?ね?和彦。だって智子さんと一緒だったよね?」
関係無いだろそれ。
しかしながら目が死んでいる。
俺は恐怖に思いながらも.....首を振った。
それから.....菜美を見る。
こ、この野郎。
「.....菜美。良いか。人間、やっちゃいけない事も有るんだぞ」
「.....関係無いよ。私達の関係にはね」
「何の関係だよ!.....キャー!」
脱がされそうになる。
どったんばったん大騒ぎ!という感じでアニソンの歌詞の様に俺は大暴れする。
マジに冗談じゃねぇ!
誰か助けてくれぇ!!!!!
祭!智子ォ!
と思っているとそのパンツを下ろそうとする手が止まった。
「.....あ、そう言えば和彦」
「.....ハァハァ.....な、何だよ」
「.....私ね、和彦が心配。だからもっと監視する為に色々やったからね。宜しく」
「.....は?」
いや、まぁ良いの、うふふ。
と菜美は邪悪な笑みを見せる。
冗談じゃ無い、コイツ何をやったんだ?
俺は思いながら.....青ざめる。
そして再度、暴れる。
「和彦は私のもの。そして私の為に生きるの。アハハ」
「.....」
御免なさい、訂正します。
やはりコイツは頭がおかしい。
思いながら俺は.....猿轡を噛まされ.....。
って何でこんなもの持ってんだ!
誰かマジで助けてくれぇ!
☆
「.....ハァハァ.....クソッタレ.....」
どったんばったんでイかれ野郎の巣窟から抜け出した俺は部屋に戻って来る。
パンツだが、脱がされる前に逃げ切った。
冗談じゃ無い、本当に。
童貞を女に取られるとか有り得ない。
「.....しかし.....菜美の言葉が本当なら.....この部屋にも?」
ふと、菜美の言葉を思い出す。
そして.....俺の後ろに有る本棚を見る。
それから探してみると直ぐに俺は!?を浮かべた。
何が有ったかと言えば。
「.....録画.....カメラ.....?」
所謂、運動会とかで親が持っている様なカメラが有ったのだ。
ちょ、ちょ、ちょ!?
菜美の野郎、マジで何を考えている!?
って言うか何時からこれ付けていたんだ!?
思いながら.....俺は見開く。
「.....これは.....何時の時に付けられていたんだ?」
それから.....もう少し考えた。
一体、このカメラを買うお金はどっから出ているんだ?
と思いながら.....再度、カメラを見る。
すると俺の部屋の扉が開いた。
ギギギと音を立てて、だ。
俺は青ざめる。
そこには.....ハイライトを消した菜美が立っていた。
マジで化け物かコイツは。
「.....和彦.....秘密を知ったね.....?」
「.....ああ.....でもなお前。これはやりすぎ.....?」
菜美は笑顔を見せた。
死神の様な笑顔を、だ。
それから.....俺に対してこの様に言う。
手になんか.....持っているだが。
「関係無いよ?和彦の為だからね。全ては和彦の為に」
「.....」
俺はとりまと思いながら。
菜美の持っている.....折り畳みナイフを取り上げた。
そして.....カメラを見て菜美を見る。
菜美はニコニコしながら俺を見ている。
マジで頭おかしいんだけど。
「.....お前.....俺を監視して楽しいか?」
「.....全てが和彦の為だからね。楽しいよ」
「.....ハァ.....」
「.....カメラ返してね」
返す訳無いだろお前よ。
と思いながら俺は没収する。
そして.....菜美をもう一度見た。
それから.....顎に手を添える。
「.....お前さ、俺が好きなの?どっちなの?」
「.....好きじゃ無いけど」
「.....言葉が相反しているんだが.....」
「.....どっちでも良いよね?」
いやいや、全く良くねぇよ。
思いながら俺はハイライトが消えた菜美を見る。
怖いんですけど.....と思いながらも。
試したい事が有った。
それは、だ。
「.....ところでお前さ、エッチな絵は好きだよな?だったらエッチな事は好きなのか?」
「..........?!」
「いや、ヤンデレってさ、私の体も貴方の為に好きに使って良いよって感じが多いんだよね。だからお前もそうなのかなって。お前もパンツ見せるとか」
「は、ハァ!?何言ってんの.....この変態!」
真っ赤に赤面した菜美にバシンと叩かれ.....何で!?
え、え!?コイツ、ヤンデレじゃねーのか!?
思いながら.....変態変態!と言いまくる菜美を見る。
真っ赤に赤面して目を回しながら、ウー、と言っていた。
もう訳分からん。
「お前.....エッチな絵を描く癖に.....人のパンツ脱がす癖に.....人の童貞を奪おうとした癖に.....!」
「それとこれとは別だから!この馬鹿変態!アホ!死ね!クソ!」
「.....」
ナニコレ?理不尽すぎるんだけど。
思いながら俺は額に手を添えてそして盛大に溜息を吐いた。
そこで.....ハッとする。
確か俺はずっとモデルにされている。
という事は.....だが。
モデルにして無い時はどうやって絵を描いているのだ?
例えば、モデルにする人形とか?
いや、ちょっと待て、あの部屋に人形は無いよな?
仕舞っているにせよ.....俺をモデルにする必要、有るか?
「.....お前さ、俺をモデルにして無い時はどうやって絵を描いているんだ?」
「.....」
「.....いや、ふと思ったんだけど.....だってお前の部屋ってデッサン用の人形とか無さそうだ.....し?」
そこで菜美は赤面でキッと俺を涙目で睨んで。
とてつも無く大きな声で言った。
その言葉を、だ。
「私とかがエッチな絵のモデルだけど!?悪い!?」
「.....ファァ!?」
「そうだけど!私が.....お尻とか.....その!Tバッグでの女の子の真正面の筋とか.....」
「よーし!それ以上言うな!近所迷惑だ!」
思いっきり叫びながら言うな!この変態!アホ!
俺は赤面で変態を見る。
私は恥ずかしく無いから.....ね.....!
と言いながら.....ゆっくりとスカートに手を掛ける。
俺は顔を引き攣らせた。
「.....お前.....何をしようとしている.....?」
「.....良いわよ。分かった。アンタをスッポンポンにした.....罰として私も.....スカートを脱ぐ!」
「止めろこの変態!」
「アンタが言ったんでしょ!脱いでやる!」
ヤケクソになってんな!
つうか!言ってねぇよこのガキ!
その様な大騒ぎでその日は過ぎていき俺は報告書を纏めた。
つまり、俺の義妹は。
変態で、ヤンデレの癖に恥ずかしがり屋で。
オマケに.....馬鹿だという点を。
報告書に、だ。
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