第9話 智子VS菜美

修羅場と言えるかも知れない。

何故かこの家に.....朝から幼馴染の智子が居た。

そしてジト目で俺を静かに睨んでいる。


目の前の.....智子と菜美の作った混在の朝食を見ながら.....俺は困惑していた。

なんか.....協力したとは言えないそうだ。

あはは、と裕子さんが苦笑する。

父さんは相変わらずの反応だが俺はその中で額に手を添えた。


智子の反対側では菜美が目から光を失い。

まるでその.....うん。

獣の様な目で俺を睨んでいた。

何ていうか.....頼む助けてくれ、祭。


と、つい祭の顔を思い浮かべる程に.....修羅場になっている。

俺は盛大に溜息を吐きながら.....目の前の朝食を見る。

時間が無いんだが、と思いながら。

すると智子が言った。


「で、何で義妹ちゃんが居たのを隠してたの?和彦」


「.....それはまぁ.....言う必要有るかなって思って」


「十分に有るんだけど。これかなり話が変わってくるよ?」


「.....ハァ.....」


取り敢えず朝食を、と思いながら手を付ける。

するとその手を思いっきり掴まれた。

そして爪が食い込み.....爪痕が、つーかイテテテテ!!!!!

何すんだコイツ!?


「お前!何だよ.....菜美!」


「和彦。それは智子さんが作った分なんだけど?.....何、智子さんの方が大切なの.....?」


「.....じゃあ一体.....どうしろと.....」


思いながら卵焼きの乗った皿を掴む。

すると.....反対側から腕を掴まれた。

今度は何だ!?と思いながら見ると、智子が笑っている。

しかし.....黒いオーラが見えるのだが.....。


「和彦。それは義妹ちゃんが作った分。それから食べるの?あはは」


「いや.....ってか、お前ら!時間がねぇっつの!」


あのな.....どうでも良いけど八時だぞお前!

どうする気だ!?

学校まで十五分掛かるってのによ!

思っていると.....菜美が俺の手を握り締めたまま切り出した。


「.....あ、じゃあジャンケンしましょう。智子さん」


「.....そうだね。義妹ちゃん。恨みっこ無しだねそれだったら」


「.....ハァ.....」


クソデカい溜息が溢れた。

俺は思いながら.....早く決めてくれと願い。

ジャンケンが終わるのを待った。

そして.....。



どっちみちにせよ完全に遅刻じゃねぇか!

思いながら俺は汗をかきつつ走る。

智子と別れて、菜美と一緒にだ。

菜美は仕方が無いよね、と言っているが!

仕方が無い訳あるか!


「お前な!さっさと決めてくれよマジで!遅刻じゃないか!」


「.....まぁ仕方が無いよね」


「なく無い!ふっざけんな!」


俺は走る。

すると.....角から誰か出て来た。

俺はその人物を見て驚く。

徒歩で登校している祭りだった。

俺達を見て驚愕している。


「.....どうしたんだお前?遅刻とか珍しいな」


「.....お前こそ何で遅刻してんだ?」


「.....俺は.....まぁ野暮用.....って感じだな」


野暮用とかそんなもん。

って言うか遅刻したらヤバイだろお前、と俺は急かす。

すると祭は.....まぁそうだな、走るか、と言い出した。

それから俺達は駆け出す。


「そういやさ、和彦」


「どうした?」


「.....いや、お前、何だか嬉しそうだなって思ってな」


「.....ああ。幼馴染に再会したんだ。それでだろ」


そうなのか、と笑みを浮かべる祭。

それから俺達は.....学校まで行ってから。

たっぷりと生徒指導室の教師に叱られたのは言うまでも無い。

俺は額に手を添えて盛大に溜息を吐いた。



その日の三時限目の話だ。

転校生が今時やって来ると噂になっていて、教室が落ち着いて無かった。

俺は転校生.....ねぇと思いながら横の祭を見る。

そういや.....俺達の出会いも祭が転校してきた事によってだったな。


「懐かしいな。お前、あの時、ボロボロだったしな」


「.....そうだな。で、お前が居て驚愕したんだったっけか。ハハハ」


高校一年生。

荒れた様な感じで転校して来た祭に声を掛けたんだ。

そして友人になったんだ。

懐かしい。


そんな感じで思いふける様に居るとチャイムが鳴った。

そして教師が入って来る。

担任の海老津隆二(エビツリュウジ)だ。

男の担任で、30歳だった気がする。


「ほれほれ。座れ。お前ら。.....さて、女子は残念だったな。女の子だ」


「「「「「マジっすか!」」」」」


男子共が喧しく反応する。

それから.....騒ぎ立てる、男子クラスメイト。

俺はその様子に下らない.....と思いながら.....窓から外を見る。

そして女子生徒が入って来た。

クリクリの頭をした.....え。


「初めまして。柚木智子です。宜しくお願いしま.....え!?」


「.....お前!?」


「.....あれ?.....このクラスだったの!?」


って言うか智子じゃねぇか!

思いながら俺は驚愕の眼差しを智子に向ける。

すると横に座って居た祭がヒソヒソ声で聞いてくる。


「お前の知り合いか?」


「あの子が.....俺の幼馴染だ.....」


「.....え、マジ!?」


祭は相当に驚愕しながら目の前の黒板の前に居る智子を見る。

海老津が目を丸くしながら俺を見ていた。

それから.....知り合いか?と俺と智子を交互に見る。

はい、と智子が返事をした。


「.....幼馴染です.....けど、ビックリです.....」


「.....確率的に信じられない」


何故、このクラスでしかもこの学校。

って言うか.....転校ってことはそれなりにこの近くに住むって事だよな?

だけどそれで通うのがこの学校なんて.....智子も教えてくれれば良かったのにな。

考えながら居ると海老津が出席簿を肩で叩きながら言った。


「じゃあ、南井、お前、この学校を案内してやれ。頼むわ」


って事で、柚木だ。

皆んな仲良くしてやれよと廊下を見てから出て行った。

それから振り返って、柚木の席は.....南井の隣な、と言う。

それが良いだろとも、だ。


「.....じゃ、じゃあ宜しく.....和彦.....」


「お、おう.....」


俺は少しだけ赤面しながら横の席に座る、智子を見た。

何故こんな事になるのやら。

そして.....この学校に智子が転学して来た事により更なる色々な事件が幕を開ける事になった。

因みに先に言っておくが.....菜美とかの関連だ。

まぁクソ溜息しか出なかった。

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