第8話 最悪の出会い
柚木.....智子(ユズキトモコ)。
俺の幼馴染にして.....俺が最後に愛した女の子。
もう恋愛はしない。
俺はもう二度と.....失いたくないから。
愛した人を、愛している人を、だ。
だから最後なのだ。
俺が.....俺が愛すると.....必ず全てが崩れる。
まるで.....海岸に作った砂の城の様に.....崩れてしまう。
だから恐怖なのだ。
俺は.....母さんを亡くしてから.....逃げる様に智子の元を去った。
そして.....今の今まで至るが。
まさか智子から連絡が有るとは思ってなかった。
だってそうだろ?
幼い頃に文通もしていた訳じゃ無いのにまた再会するなんて。
この世界が狭い気がした。
そんな智子はこんな俺に会いたいと言ってくれた。
俺は.....涙が出そうになったが。
不安で仕方が無い。
それは.....また壊すんじゃ無いかって。
更に言えば今の義妹に脅されているので。
今もそうだ、誰か助けてくれ。
「私以外の女の子に会う必要有るかな?」
「有るだろそりゃ。お前だって仕事上、男に会うだろ!」
「それはそうだけどね。お兄ちゃんは若い子ばかりじゃ無い」
「.....あのな.....」
目の前で椅子に腰掛けている義妹。
ここは菜美の部屋だが.....その。
まるでゼーレの尋問の様だ。
冬月になった気分です。
正座させられて思いながら俺は弁解する。
「あのな!お前ずっと俺に関わって無かったよな!?何でいきなりこうなる!」
「好きだから」
ボソッと一瞬、何か聞こえたが。
小さ過ぎて聞こえなかった。
思いながら菜美に後頭部を掻きながら聞き返す。
「.....聞こえないんだが.....」
「なんでも無い!.....ふーんだ!か、和彦なんて女ったらしになれば良いんだ!」
「.....は?それ悪口?」
そうだけど!何か!?
と言う、菜美。
何だその悪口は.....聞いた事ねぇよ。
思いながら言い返す。
ピーンときたので、だ。
「お前さ.....俺の事が好きなの?」
「は、ハァ!?ねぇし!」
「.....いや、お前さ、俺が女性に関わる度に怒っているよね?それって.....」
「ちげぇし!」
何だよ一体。
俺は思いながら.....盛大に溜息を吐いた。
それから立ち上がる。
夜中だし、眠いんだが。
「.....まぁどっちでも良いけど.....。とにかくもう寝るぞ俺は。じゃあな」
「ハァ!?まだ話は終わってないし!」
「喧しいわ。明日も学校だっつの。寝るぞ俺は」
そして俺は猫が騒いでいる様な菜美を置いて後にした。
取り敢えず、今週の土曜日に会う約束だが。
さてさて.....どうなるもんかな。
思いながら俺は明日の小テストに対して備える為に勉強しに自室に戻った。
☆
「.....ん.....」
朝の様だが。
何だ?俺。
勉強しながらそのまま寝ちまってたか。
思いながら起き上がる。
そして横を見る。
「.....!?.....!!!!?」
「スースー.....」
何やってんだこの馬鹿野郎!?
ずっと居たのか!?
菜美が部屋に居て、ベッドで寝ている。
そして.....太ももがはだけている。
胸元も、だ、胸でけぇなコイツ。
俺は赤面しながら.....んん!と喉を鳴らした。
すると菜美が目を開けて起き上がる。
「うーん.....」
「.....おはよう。菜美。.....追求して良いか。何をやってんだお前!」
「.....勉強を見に来て眠くなったんだから。別に良いでしょ!」
「良くは無いとは言えないが!なんか最近お前、俺にベタベタだな!」
は、は、ハァ!?ちげぇし!
と真っ赤に赤面しながら言い訳する、菜美。
やっぱり美少女だなコイツ。
赤くなった顔も可愛いし.....ってそういう問題か!
ここはあくまで俺の部屋だ!
好きにしてもらって良い訳無いんだぞ!
思いながら俺は立ち上がろうとした。
すると足が痺れていたのか、よろめいてしまい。
「え、きゃあ!?」
「うぉ!?」
そのまま菜美を押し倒した。
俺はベッドに手を突きながら.....菜美を見下ろす体勢になる。
菜美は真っ赤に赤面した。
俺も.....心臓がバクバクいってしまう。
仮にも俺は男だ、煩悩が.....。
ガチャッ
「.....和彦.....朝.....え」
「「.....!!!!?」」
そこに居たのは。
癖っ毛の有る茶髪にそして柔和な瞳に、口元。
更に顔立ちが整っており俺を見ている。
身長もそこそこで、セーラー服を着ている女の子。
当時のクルクル頭から変わってない。
ま、まさか.....!?
「智子!!!!?」
「え.....えっと.....え?」
「.....お前何を考えている?誤解だからな?お前?」
「.....間違えちゃったかな?部屋」
赤面しながらギィとドアが閉まる。
誤解だっつってんだろ!!!!!智子ぉ!!!!!
思いながら手を伸ばした。
これに対して.....目の前の菜美が俺の胸ぐらを掴んだ。
「.....んー?和彦?何でその智子さんとやらがこの家に居るの?ねぇ?」
胸ぐらを締め上げる菜美。
目のハイライトが全て消えてそして徐々にヤンデレ化していく。
俺は苦笑しながら.....目の前の悪魔を見た。
いや、マジで誰か助けてくれ。
この修羅場.....何でこんな修羅場に.....?
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