第二章 玉木美鶴という少女

第4話 玉木美鶴

食事をして風呂に入って寝たりなどで翌日になった。

俺は学校に登校する為に靴をカツカツと鳴らして履いて家を出た。

因みに.....菜美は用事が有ると、少しだけ遅れて家を出るという。

俺はあの絵を入れ間違えるなよ、と苦笑しながら話して俺だけ歩いて家を出た。


そんな俺と菜美と祭が通っている学校の名前は山崎高校という。

県立の高校でこの町では唯一の県立の高校だ。

その為に滑り止めにならない様に必死に勉強した。

今でも思い出せば話せるぐらいに勉強したのだ。


公立よりかは勉強しなくても良いかも知れないと思いながらも。

死に物狂いで必死に勉強したのを.....今でも忘れないし、その一年後ぐらいに菜美が入学した日も忘れてない。

俺は思い出しながら懐かしく思い歩く。

すると横から声がした。


「よ」


「.....お?祭、珍しいな。この時間に来るなんて」


「俺だって時間を守る時は守るぜ?」


「.....まあお前、根っから真面目って訳じゃ無いけど心はマジに真面目だもんな」


いやいや、なんて事を言うんだお前。

と俺の首に腕を戯れて回してくる。

その姿を.....周りで同じ様に登校する軽蔑の眼差しで見てくる。

俺は.....それを見ながら.....少しだけ複雑な目をする。

するとそれを気にしたのか祭が言ってきた。


「アイツら気になるか」


「.....祭.....?」


「嫌だったら俺から離れて良いぜ。俺は.....クズだからな」


「.....勘違いすんな。お前から離れる目的がねぇよ」


全くなんて事を言うんだコイツは。

言葉に目を丸くする、祭。

それから、じゃあ何でそんな目をしているんだ?、と聞いてくる。

俺はその言葉に空を見て口角を上げて答えた。


「.....本当に哀れな奴らだなって思ったんだ。容姿で全てを判別する.....からだ」


「.....お前.....」


「お前は不良時代を辞めて、眉毛も生やそうとしているし、頭も金髪を止めようとしている。そんなお前をまだ見下すアイツらが哀れだなって思ってな。人間は外見じゃ無い。中身だってな」


「.....ったく.....お前.....だから好きだぜ」


そう言って、ハッハッハ、と俺を笑いながら見てくる祭に俺も笑みを浮かべる。

そうしていると.....門が、学校の校門だが、見えてきた。

そしてくぐろうと思った時。

祭がいきなり足を止めた。


「そういやさ、お前さ.....何で今もずっと俺みたいなのとずっとつるんでくれるんだ?俺は馬鹿だから分からねぇから簡潔に頼むぜ」


「.....簡単だ。ダチだからな」


「.....!」


「.....それにお前はまた孤独なったら.....あの闇の世界に戻るんだろ?だったら俺は.....お前を見捨てたりはしねぇ。そして.....これからもお前に付いて行く。お前が否定してもな。絶対にお前を見捨てない」


その言葉を聞いて.....祭は。

俺を見ながら.....少しだけグスッと鼻を鳴らしてそして.....俺をまたニカッとしながら見てきた。

それからそのまま言ってくる。


「お前と出会えて良かった。俺は幸せもんだ。今になってはな」


「小っ恥ずかしい台詞を吐きやがって。お前.....」


「ハッハッハ」


「.....ったく。行くぞ」


そんな俺の手の差し出しを握り。

おうよ、と大きな声で祭は返事をする。

それから.....登校をまた再開して昇降口から下駄箱に向かった。

そうして居ると、そういやさ、と祭が言う。

俺は首を傾げて祭りを見る。


「昨日さ、お前の義妹に頼られたって言ってたよな?.....結局、どんな内容なんだ?」


「.....え.....いや.....それは言い辛い」


「まあ言えないんだったら良いぜ。嫌な事を聞いてスマんな」


「.....有難うな」


俺が呟くと、良いって事よ、と鞄を後ろに回しながら笑みを浮かべる、祭。

俺はその姿を見ながら.....俺も笑みを浮かべて歩き出す。

その際に.....廊下で人に打つかった。

俺は蹌踉めく。

相手もよろめいた感じで床に座った。


「す、すまん」


「あ、いえ.....」


ダボダボの制服。

そして小学生の様な童顔に。

身長もあまり無い。

そして俺をクリクリの目で見てくる。

小学校低学年ぐらいの少女だ。


この身長じゃ確かに打つかるわなと思ってしまった。

しかし小学生がこの学校に居る訳無いが.....新入生か?

思いながら俺は取り敢えず子供に接する様にしながら謝る。


「大丈夫?」


「.....む。少年?失礼ながら私は.....年上だぞ」


「.....は?」


謝るとそう言われた。

ムッとした顔をするその少女。

そう言われ、俺はその少女の履いている靴を見る。


確かに.....赤い色をしている部分が有る。

高一は青、高二は緑。高三は赤の模様が入ってる靴をこの高校で義務で履くのだ。

つまりこの人は.....高三だ。


俺は青ざめて.....嘘だろと思った。

祭も、?!、を浮かべている様な驚き顔。

マジか.....人間って怖いな!?

思いながら居ると、少女が自らの膝を叩いた。


「少年。是非とも私みたいなのに気を付けたまえ」


「.....あ、はい.....」


そしてそのまま去って行く、先輩。

俺は.....顔で追いながら有り得ないな.....と思ってしまった。

祭も目を丸くしている。

それから祭が言葉を発した。


「.....不思議なもんだな.....この世って」


「.....ああ。マジで小学生かと思った.....ん?」


俺はそこまで言い掛けて地面に手を伸ばす。

足元に何か落ちていたからだ。

拾って見るとそれは.....小説だった。

だが小説とは言え.....ラノベっぽい小説。

発刊されている筈のラノベだが.....何かがおかしい。


「.....原本.....か?」


見たことは無いけど、ついそんな感じで言葉が出た。

だって、こんなタイトルのラノベは見た事が無い。

そしてこんな本は見た事が無い。

まるで原本の様な.....本だ。


今まで俺は、のべ1000冊ぐらい本を読んだが.....?

でも見た事無いな、やっぱり。

自己出版?いや.....伝統文庫と記載が有るしな.....うーん?

そんな感じで悩んでいると背後から声がした。


「どうした?和彦。さっさと行こうぜ」


「.....あ?ああ」


祭りに促されて俺はその本?を持って教室に行く。

そしてそのまま授業を受けてしまった。

でもこれは後で返さないと.....と思う。

それに後で気が付いたが、この本の持ち主。


つまり先ほどの小学生の様な先輩の.....名前を書いたプリントが挟まっていた。

名前を.....美鶴。

玉木美鶴という先輩らしかった。

俺は、そうなのか、と納得しながら.....窓から外を見る。


で、この小説について。

新たな事件の火種となっていたのを.....後で知る事になる。

簡単に言っちまうと.....それは結構ヤバかった。

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