告白
サラビアロを発つ準備が整った。
見送りにはベルズが来てくれた。
「ベルちゃん、破壊もほどほどにな。この街にもうギャングはいないんだ、あまり目立つような真似はするなよ」
「もう破壊はしませんわ。災厄のなり損ないらしく、大人しく余生を過ごしますわ」
「そうか」
「気が向いたら遊びに来てくださる? 一人は寂しいですもの」
「ああ、また会おう。達者でな」
俺はベルズの熱烈なハグに苦笑しつつ、ギルドが手配してくれたリムジンに乗り込んだ。
ようやくこの街から出られる。さすがに今回の依頼は疲れた。しばらく休暇を取らせてもらうとするか。
「そういえば、チェリーコード」
「何?」
「髪、切った?」
「う、うん。気付いたんだ」
「そりゃあ気付くって」
「ちょっと短くしてみたんだけど、似合ってるかしら?」
「ああ、似合ってる。可愛いよ」
照れたのか、チェリーコードは顔を背けた。
チェリーコードはストレートな言葉に弱い。すぐに照れるところもまた可愛い。
「なあ、チェリーコード」
「な、何?」
「俺、チェリーコードが好きだ」
今度は顔を背けないチェリーコード。顔は真っ赤だったが、目を逸らさないように頑張っているのが見て取れた。
「わ、私もバースが好き……」
小さな声だったが、はっきりと聞こえた。
よかった。同じ気持ちでいることを知れただけで嬉しい。
俺とチェリーコードは手を繋ぎ、指を絡み合わせた。俗に言う恋人繋ぎというやつだ。
俺が俺でいられるのはチェリーコードのおかげだ。チェリーコードのおかげで俺は強くなれた。好きな人がそばにいてくれる――ただそれだけで俺は幸せだ。
繋いだ手の熱さと鼓動の高鳴りを感じ合いながら、俺たちはティルナへの帰路についた。
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