終わりの終わり

 俺は疲弊していた。

 そろそろ精神限界だ。気を抜くな。残るドアはあと一つ。

 ドアを開け放ち、アレシャンドラを形成する最後の記憶を取り込んだ。

 俺は朧げな意識を奮い立たせ、アレシャンドラの元へと戻った。


「終わったよ。これで侵蝕を止められる」


「まさかほんとにやっちゃうなんてね。こんなこと、ただの人間にできるわけない。あんた、何者?」


「さあね。さて、最後の仕上げだ」


「言っとくけど、侵蝕を消すってことは私も消えるってことだからね。侵蝕と私は一つ。私が消えない限り侵蝕も消えない」


「わかってる」


 アレシャンドラの手を掴むと、記憶の宮殿が揺れ始めた。

 じきにここは崩れ去る。そして、侵蝕が消える。そして――

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