走馬灯

 殺した人間が足を引っ張る。

 そうか、これは夢か。いや、これが走馬灯というやつか。

 この異世界で色濃い記憶は殺しだった。自らの目的のため、依頼されたターゲットのことなど全く考えず殺し続けた。

 現実世界に戻れば犯した罪は消える――そんな風に思っていたのかもしれない。今いるここが俺にとっての現実だというのに。

 殺しの他にもう一つ蘇った記憶がある。

 ここに来て俺はずっとチェリーコードと行動を共にしている。チェリーコードと一緒にいるだけで、それ以外は何もいらないとさえ思っている。

 暗闇の中で手を伸ばすと、眩い光が目の前に差し込んできた。

 俺は光の中の手を掴んだ。

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