魔眼の発現
またしてもデジャブ。
目が覚めると、チェリーコードがこちらを見下ろしていた。
「はぁ、トラウマになりそうだ……これからは誰も背後に立たせないようにしよう……」
「そうね。本当、気をつけた方がいいわ。でも、よかったじゃない。教官がお詫びに依頼を紹介してくれたわ」
「依頼?」
「なんでも暗殺の依頼ですって。シェスティーナの裏社会で暗躍している男がターゲットだそうよ」
「いきなり難易度が高そうだな」
「その分、報酬も高いわ」
ソファーの縁を助けに起き上がる。身体が重いのは精神力を削ったせいだろう。
しかし、どうやら俺には魔眼が発現したようだ。この魔眼があれば最高のヒットマンになれる。
その時、俺の中に一筋の希望の光が差し込んできた。
生きる目的とは言えないが、どうせならトップランクを目指そう。この異世界で無双してみせる。この力があればできる。
目的なんて後から考えればいい。トップランクに君臨すれば、それはもう一つの大きな成功と言えるだろう。
「チェリーコード、トップランクを目指すぞ」
そう呟くと、チェリーコードは目を点にした。
「どうしたの? 頭でもぶつけた?」
「いや、肩ならぶつけられたけどさ……せっかくパーティーを組んだんだ、ひとまず俺たちの目的を決めておこうと思って」
「それはいいけど、いくらなんでも――」
「俺、自信があるんだ。死ななきゃトップに立てる。チェリーコードはギルドで暮らすのが夢なんだろ? その夢、俺が叶える。俺が君を幸せにしてみせる」
「う、うん……なんかプロポーズみたい」
「顔が赤いぞ」
「う、うるさいわね!」
「おっと」
間一髪のところでチェリーコードの手を受け止める。また肩をたたかれでもしたら死にかけてしまう。
しかし、チェリーコードの手は熱く、本気で恥じらっているのだと思うと可愛らしく思えた。
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