装備調達

 現場監督の男の元で働いて一週間。

 ひたすら山や廃屋を破壊し続け、しばらくは安定した生活を送れるほどの資金ができた。

 もはやティルナ周辺は破壊するものがなくなり、工事の仕事はほとんどなくなってしまった。ティルナとシェスティーナを繋ぐトンネルを開通した際には大きなニュースにもなった。

 ティルナの通りを歩いていると声をかけられることが多くなった。脳筋野郎に絡まれることも多くなった。もはやこの街で俺のことを知らない人間はいない。

 バーサーカーにとって目立つことはあまりいいことではない。特に俺のような体力が極端に少ない者は命の危険に繋がる。

 チェリーコードと話し合った結果、装備を整えてシェスティーナへと旅立つことになった。その前に、クラス鑑定の代金をサービスしてもらった恩もあるため、俺たちは鑑定屋に立ち寄ることにした。


「あら、坊や。また来てくれたのね。聞いたわよ、桁外れの力を持つバーサーカーがいるって。絶対坊やのことだと思ったわ」


「ははは……有名になりすぎるのも困りものですよ。実は俺たち、この街を出ることにしたんです」


「あら、そうなの。それは残念」


「だから、最後にロザリンドさんには俺におすすめの装備を鑑定してもらおうと思って。お願いできますか?」


「ええ、もちろんよ」


 ロザリンドと見つめ合う。やはり気恥ずかしい。が、今回はすぐに視線が外された。


「坊やほど体力と防御力が低かったら防具を装備する意味がないわね。むしろ、重荷になって動きづらいだけだから、防具は何も身に纏わないことをおすすめするわ」


「そ、そんなにひどいんですか……」


「ええ。ただ、坊やの目から魔眼の兆しが見えるわ」


「魔眼?」


「簡単に言うと、目から発現する特殊能力よ。私の鑑定眼も魔眼の一種」


「それで、俺の魔眼の種類はなんなんですか?」


「うーん、まだ兆しが見えるくらいだからなんとも言えないけど、千里眼っぽいかしら。となると、武器は遠距離系がおすすめね。銃とか弓とか。扱いが楽だから初めは銃をおすすめするわ」


「なるほど、わかりました」


「よかったら武器はこっちで手配させてもらうわよ。武器屋に行ってもいいけど、お姉さんも経営が厳しいからさ」


「是非お願いします」


「ありがとう。移動の負担になるでしょうから、ブツは旅先のギルドに速攻で送るわね」


 銃の一式を購入し、俺とチェリーコードのパーティーは再スタートを切った。

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