第6話 リゼロはラム一択

 

 

 俺の名前はFK。アニメ好きのしがないサラリーマンだ。


 そんな俺だがアニメ以外にも打ち込んでいるものがある。回胴式遊技機つまりスロットだ。


 スロットについて語る時、同志以外の異端派からは常に迫害と誤解にまみれた批判を受ける。細部に目を向ければ、同志さえ理解者は少ない。ユダヤ教で言えばエッセネ派だろう。


 そんなエッセネ派の俺は鍛錬と修練に時間を費やし、異端派と対話を続けるのだ。簡略化すれば概ね以下のような感じである。


Q:スロットってギャンブルでしょ? 

俺:スロットには設定による機械割が存在する。またゲーム数および設定変更による状態モードが存在するので現状での期待値が計算できる。ギャンブルは運否天賦である。期待値が計算できる以上スロットは運否天賦ではない。ゆえにスロットはギャンブルではない。


Q:ギャンブルじゃないなら何?

俺:確率の神との対話である。レバーを叩き信仰を深める。信心を高めるためには祈り(投資)を重ねる必要がある。その境地に辿り着いたものだけが神(設定6)に拝謁できるのだ。


Q:勝てるの?

俺:聖地(マイホール)には邪神(設定4以下の台)がひしめいている。使徒(設定5)や神(設定6)に出会うことは稀である。


Q:いや、勝てるの?

俺:手段と目的を履き違えてはいけない。神(設定6)との対話は勝利が約束されたものではない。


Q:今日負けたの?

俺:トータルでは(精神的充足感を得たという意味において)勝っている。



 異端派はますます攻勢を強めている。勝利至上主義が世界の真理であるように吹聴しているが、それは大いなる過ちである。


 おびただしい数の死者(諭吉)たちが俺に真実の世界と新約された教義を与えてくれた。


 真実の世界≒短期出玉規制であり、新約された教義≒有利区間である。


 結論に移ろう。


 俺の今年の裏目標:六号機時代を生き抜く。


 俺の来年の裏目標:P機時代を生き抜く。


 リゼロ(神)がイスカリオテのユダ(ホール)の裏切りによって死んで久しい。

 だがユダは本当に裏切ったのか。為すべきことを為せ。人の子イエス・キリストはそう言ったのではないか。

 俺はマグダラのマリアのように復活を見届ける。神は新約の世界に再び降臨する。旧約の世界(絆を含む高純増機)は終わったのだ。


 鈴羽のおっぱいのように新世界はもう目の前に訪れている。


 つづく。

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きれぎれ、実話。 FK @FK1109

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