日本神話研究開発機構?

第27話 暗躍

 狙い通りだった。

 性格の異なるイシカホノリのRC候補版EMA欧州軍事同盟ACUアメリカ・カナダ連合に送りつけた結果、それぞれ異なるスーツを組み上げてきた。

 実地で使われたスーツからのフィードバックが、更にイシカホノリを押し上げるはずだ。

 彼らは私をJAMSADの高木だと思っているだろう。ソーシャル面からの攻撃に人は本質的に弱い。

 あとは、待つだけだ。


 ACUからのフィードバックが興味深い。ACUに提供したイシカホノリは瞬間の出力を抑えたかわりに回復の能力を上げたのだが、これが継戦能力として高く評価されている。

 AMPsでプロペラントタンクを要求しているのだがそれとの相性もよいようだ。実に興味深い。

 さらに多腕タイプのXM8アスラも計画に上がったという。PDWではなくM60E8-UIをベースにしたもの内蔵する計画だという。火力の上昇は望ましいことだ。

 ただ多腕への発展においてJAMSADに問い合わせが行きそうになったのは焦った。

 とりあえず直前でこちらが割り込めた。うちのマロリーは優秀だ。

 ほぼこちらの想定の上のラインに沿っているとはいえ、まだまだACUには頑張ってもらわねば。


 EMAのタナカに再度接触。プロセッサを2つ作ったことを暗示し、こちらに譲歩するよう仕向ける。

 その上でACUにもイシカホノリを与えたこと、実験小隊が成功を収めたためXが外れる可能性を示唆する。

 進捗があまり思わしくないようならば、エリザ監理官との面接をこちらから提案しようかということを仄めかす。

 しかし……EMAに与えたイシカホノリのほうが戦闘を行う上では凶悪なのだが、じゃじゃ馬すぎるのだろうか。上手く扱えていないようだ。

 これ以上我々が干渉するのはあまり望ましくはないのだが……。

 EMAはこちらの想定の下のラインをギリギリ超えるかどうかのあたりをウロウロしている。想定の範囲内とはいえ、ACUと乖離するのは望ましい状況ではない。

 しばらく考えてから統合インターフェイスにつながっているキーボードを叩く。

 これでタナカが動けば状況が変わるだろう。

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