第8話 ジェイニー・ホークヤード中佐の日記
2100年1月10日。
各隊の戦闘ログを読む。
員数外のロニー・バレット少尉が突出した戦果を上げている。わずか十日で三つの街を取り返した。
「明日0600時から1月24日0600時まで休暇。再開初戦はエースを集めておいて。それと1個小隊を新規編成。小隊長はロニー・バレット少尉の予定。装備管理、ロニー・バレット少尉が明日装備室に向かったらこっちへ来るようにと伝えて」
ポートを使って指示を出す。か弱そうな元テクノの少尉。おかしなスコアを叩き出しながら、消費するのはタンパク燃料と6x35mmの弾丸だけ。M134-UIについては持っていってもいないとか。
XM7イシカホノリとXVS10ヒゲキリ。
とにかく、明日、だ。
2100年1月11日。
とりあえずロニー少尉を止めて、なんとか戦線の維持の目星をつける。
当初は試作品でまあまあ働いて結果を出して終わり、のつもりでいたのだけど、ね。
イシカホノリとヒゲキリを回収させて調査へ回す。JAMSADにも連絡を取らせる。が、ミシックによる通信阻害、とか言うことで回答は来ないだろう。
たとえ、ちゃんと繋がったとしても、だ。
調査がうまくいけばいいのだが。
2100年1月12日。
JAMSADへ物理通達。手間のかかる物理通達の予算を取ったのはイシカホノリのブラックボックスプロテクトが凶悪だったからだ。
まさか解析担当のプロダクツが一人廃人になるとは。
イシカホノリの人工筋肉のDNAを採取したもののベースはヒトではないなにか、ということだけしかわかっていない。
手を出してはならない領域なのだろうか。
2100年1月13日。
イシカホノリ解析班がすべて後送された。
私にも辞令が届く。新任のリック・マクマスター少佐とともに。
動きが早すぎる。執務室の統合インターフェイスは基地内から切り離されていた。
アナログな日記という習慣を持っていたことを神に感謝する。
神という存在があれば、だが。
2100年1月14日。
査問委員会。相手のシナリオに乗るしかなかった。
養子のアイヴィーとアーヴィンが委員会の会議室のドアの前で立哨していた。
観念した。
2100年1月15日。
私の処分は1月19日に決まった。
これからの3日間は比較的自由が認められるという。
養子たちと過ごしたいと希望した。
この日記は今日で終わり。この日記はアイヴィーに託すことにする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます