御祝の品もの~リサイクル~

カント

本編

「勲章など飾りだ」


 気障ったらしく言い放つ彼は、凄腕の軍人だ。その凄まじい闘いぶりで、吸血鬼の異名を持つ。だが、軍からの勲章は、一切受け取ろうとしない。


「そう仰らず。説得役の私を助けると思って」


「僕とて、実利あるモノは喜んで受け取るさ。例えば」


 次の瞬間。彼は私の首筋に噛みついた。






「如何でしたか」


 車を発進させた秘書が尋ねてくる。私は吐き捨てた。


「あの野郎、また俺の血を全部吸いやがった!」


「勲章相当の戦果で人間一人。取引通りですよ?」


 しかし、と秘書は続けた。


「何故彼は気付かないのでしょう。御祝がいつも貴方で――同じ不死身の吸血鬼だってことに」


「ボケてんだよ」


 永生きも楽じゃねえよ、と私は独りごちた。

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御祝の品もの~リサイクル~ カント @drawingwriting

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