閑話~とある侍女の独白~
「失礼します。お嬢様。夕食のご用意ができました」
私、山王美穂はある方の侍女としてお仕えしています。その方はある時を境に変わられてしまわれた。
その方はとある学園の生徒会長を務めています。かくいう私も副会長という立場なのですがそれは置いといて……
彼女は皆に憧れ、慕われており学園の中心と言える素晴らしいお方です。
しかし、今では多数の女生徒をとっかえひっかえお付き合いをしています。付き合ってもすぐ別れてしまいます。
次の日には別の娘と……なんてこともありましたね。
ナンパ師もびっくりの手の速さ。ついには私にも手を出してきましたよ。まあ予想はしていましたけどね。
彼女に一番似ているのは私でしょうから……。
「今日はまた随分とご機嫌な用で……何かいいことでもありましたか?」
「どうかしら?美穂には見当ついてるんじゃないの?」
「さあ?私には何のことかさっぱり……」
今日いた娘……に夢中になっているんでしょうね、今度は。
どうやら偶然私とキスしていたところを見ていたようですね。私は気付きませんでした。さすがの私もキスには少し動揺したようです。
今日も生徒会長の力を使って、手伝いに呼んだようですし……私が来た時には不自然なくらいに近づいていましたし……どうせキスでもしようとしたんでしょうね。
「いつまでそんなことを続けるつもりですか」
「仕方ないじゃない。かわいい娘がたくさんいるんだもの」
私が何を言ったところで貴女はやめないんでしょうね。相手の娘が傷つかないことを願うことばかりです。
さて……この後少し時間がありますね。今のうちに入浴と後生徒会の業務にでも取り掛かるとしましょうか。
そんなことを考えながら部屋を出ていこうとした私なのですが、突然お嬢様に腕をつかまれそのままベッドに押し倒されてしまいました。
「やっぱり可愛いわね。美穂は」
「言ったそばからこの人は……何してるんです?」
「別にいいじゃない。ちょっとくらい」
そういうとお嬢様は私に顔を近づけてきました。この人の完璧な容姿に皆騙されるんですかね。
このままだと私は確実にキスでもされてしまいますね。
それだけ済むといいんですが……っとそんなのんきなこと思ってる場合じゃない。
「いい加減私にあの人を重ねるのはやめたらどうですか」
「それは……」
そう言うとお嬢様は私から離れました。お嬢様の心の中にはいつもあの人がいる。
お嬢様は私を……もしかしたら七瀬さんも……でしょうか。
私たちを見るたびに思い出すんでしょうね……あの人の事を。
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