第65話「愛すべきサムライ」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


「刀兵衛! 頑張るのじゃーーーー! わらわのためにも、絶対に勝つのじゃーーーー!」


 園は声を振り絞って、声援を送り続けた。

 もはや異次元の戦いに突入している刀兵衛には、応援をすることしかできない。

 だから、ひたすら最愛の武芸者に向けて、祈るように声を送り続けた


「刀兵衛さまー! 頑張ってくださいー! 刀兵衛様は最強なんですから、絶対に勝てますってー!」


 リアリもさらに声援を送る。領民たちも、それに続いていった。

 そして、遠巻きに戦いを見守っていた抜刀隊士や騎馬隊士も声を上げ始めた。


「と、刀兵衛様! 我ら、信じておりますぞ!」

「刀兵衛殿、必ず勝ってくだされっ!」

「刀兵衛様、勝って我らにまた稽古につけてください! また一緒に鍋を食べとうございます!」


 対するガルグ軍の将兵はバケモノとなったドゥダーグに声援を送ることもできず、ただ恐怖に震えているのみであった。


 そのような中で、最後にリリアが声援を送る。


「刀兵衛さま! 刀兵衛さまには、みんながついています! こんなに多くの人に愛されている刀兵衛様が負けるはずがありません! わたくしは、わたくしたちは――刀兵衛様のことが大好きです!」


 もうあとは、みんなが刀兵衛の名前を叫ぶだけであった。


 ルリアルのみんなの思いが、想いが、声が――ひとつになっていく。

 それが、無明の闇の中で戦うひとりの武芸者の光明となっていく――。

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