第59話「覇王の一撃」

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 


 ルリアル城から沸き起こった大声援に、ドゥダーグの眉が露骨に顰(ひそ)められた。


 絶対的な独裁体制を敷き恐怖で民を支配しているドゥダーグは、このような民の声援を受けることは一度としてなかった。


 気が障った。

 だから、そんなものは破壊する。


 ドゥダーグという男は、己の心の欲するままに生きてきたのだ。


 だから、迷いなく大剣を振りかぶり――斬撃とともに魔力を放った。

 先ほどよりも強烈で無慈悲な一撃。


 これで、目の前の不気味な異世界人ごと目障りなルリアルの連中もこの世から消え失せる――。


「…………」


 ――はずだった。

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