第52話「危機」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 暗い光の奔流が――影を帯びたこれまでにない黒い邪悪な雷が――リリアの展開していた高貴なるバリアへと突き刺さる。


 青白く輝く光の障壁は――、


「くぅうっ……!? あ、あ、あ、あぁあああああっ!?」


 リリアの悲痛な叫びとともに――破られた。


 魔法陣が光を失い、持っていた杖が弾き飛ばされる。

 リリア姫自身も思いっきり後方に吹き飛ばされて、展望台の床に強(したた)かに打ちつけられた。


 それと同時に城門と城壁の広範囲が破壊されて、その直上に立っていた園と兵士たちも爆風に巻きこまれ、次々と城内の地面に叩きつけられていった。


 形勢は、一気に逆転した。


 たったひとりの人蛇族(ひとへびぞく)の魔女により、戦況は覆されたのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る