第47話「魔法戦開始」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「む……? 兵が引いていくのじゃ……」
ひとりで百人を超える敵兵を倒した園は、額の汗と返り血を拭いながら敵の軍勢の動きを注視する。
なお、守備兵にも怪我人が多数出ているが、園の活躍により、さいわい絶命した者はいない。
今は非戦闘員の支援係によって城内に運ばれて、城の一階で後方指揮をとっているリアリに回復してもらっていることだろう。
(……力攻めは無理と悟ったようじゃな……と、なると……)
やがて、敵軍の中から黒いローブを纏った魔法士が十人ほど現れた。
そして、城に向かって杖を一斉に向けてくる。
「っ!? リリア姫っ! 防御魔法じゃあっ!」
園は後方に振り返って、城の展望台に立っているリリアに大声で呼びかけた。
「はいっ!」
リリアが力強く返事をして、構えていた杖を勢いよく魔法陣の中央に突き立てる。
それとほぼ同時に、ガルグの魔法士たちの両手から雷に似た稲妻(いなづま)の奔流が城に襲いかかってくる。
それに対抗するように、リリアの展開した青白い光の障壁「バリア」が展開した。
――ズガァアアン! ズガガガガガッ! ドォオオオオオ!
リリアの「バリア」は相手の魔法攻撃を防いでいるが、すぐ目の前で魔法と魔法がぶつかり合う光景には、さすがの園も肝が冷えた。
あたかも雷が真っすぐに襲いかかってくるかのようなのだ。
「むうぅっ……!」
バチバチと雷(いかづち)の残滓(ざんし)が城門に飛び散り、軽く痺れを覚えるほどだった。
魔法戦となっては園としてもできることはない。どうにかリリアが持ちこたえてくれることを信じるしかなかった。
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