第42話「六感」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ガルグ軍は一日をかけて陣地構築をし、夜までには一応の完成を見た。
そして、夜襲を警戒して篝火を焚き、見回りの兵もかなりの数を出していた。
しかも、しっかりと交代の時間を決めているらしく、見回りの兵の集中力が落ちないように考えられている。
また、川の近くに本陣を敷いたことで、もし火矢を撃ちこまれるなどの火計を仕掛けられた場合でも消火がしやすい。
そのあたりまで考えていることから、ドゥダーグという男は粗暴な外見とは裏腹に細心の注意を払える将であることがわかった。
(…………)
闇に紛れて陣地を窺(うかが)っていた刀兵衛は、しばし思考する。
最大限の警戒の中、夜襲を敢行するか。
あるいは、引き上げて明日から始まるであろう攻城戦の機会を狙うか。
(……この気配、やはり待ち伏せされているでござるな……)
戦場を渡り歩いてきた刀兵衛は、第六感的な危機感知の能力も優れていた。
具体的にはわからぬが、嫌な予感がする。
兵の数を減らしておきたいところだったが、刀兵衛は静かに闇へ消えていった。
改めて、敵の総大将の器量がわかっただけでもよしとしたのだ。
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