5

 「あっあなたがアーマーガールに!?」

 恐ろしいダゴンを見るような目でまいは震え始めた。

 それもそのはず、ほのかはまいが例えた檻に閉じ込められたウサギの鍵を手に入れた事になってしまった、さらに言えば彼女はペンダントの秘密を知っているかも知れないのだ。

 今はもう抹殺するしかない。

 だがほのかも黙っていられるはずは無かった。

 「まい先輩、トウヤ君、私はあなたが力でこの世界を変えようとするならば全力で止めるしかありません、そのペンダントも返してもらいます。大好きな先輩だけど暴走を止めるしかない!変身!!」

 一瞬裸にはならなかったのは残念だが、彼女の身体に真っ赤な機械の鎧が装着される。

 所々に煙を吐き出して身体中を炎が包み込んでいた。

 そして腰には大きな刀が一振りぶら下がっている。これもまるで機械で出来てあった。

 「まだカリンさんの事は信用してませんが、大好きなまいの暴走を止めるため一緒に戦ってくれませんか?」

 カリンは少し微笑んでレイピアをまいとトウヤに向けた。

 「じゃー俺は氷女をぶっつぶす。まいはルーキーの力、見せてもらえよ」

 「分かったわ」

 まいとトウヤがそれぞれの武器を構える。

 「ごめんね、弱い者いじめはしたくないけど」

 にこにこのまい。

 「私の願いを邪魔する奴がいてはならないのよ!」

 ほのかに電撃の槍を刺突してくる。

 これで倒せると思ったのか、あまり存分に力を放っていないまい。いや様子を見ているのか? 何せ初めて戦うアーマーガール、その刀の威力も未知数である。

 「伊達にたくさんスカートをめくってきた訳ではありません!」

 ほのかはスポーツ万能で女の子が大好きなため瞬発力は半端なかった。

 その槍を横っ飛びで交わしなんと機械の籠手で掴んだ。

 「燃えろぉ!!!!」

 その途端まいの電撃の槍がどんどん真っ赤になっていく。

 「あつ!」

 まいは思わず槍を取り落としてしまった、ほのかはそれを足で踏んづけて再び取れないようにする。

 「やめましょうよ。ペンダントの事も忘れて本当の敵を倒す事にしませんか?」

 うなだれて下を向いているまい。

 と思ったらふふふと不気味な笑い声をあげていた。

 「ひっかかったわね! その槍を私の鎧がない奴が触るとどうなるかな?」

 そう言うとまいは腕にあるスマートフォンのような画面をタップし始めた。

 槍から青白い光が発生し雷がほのかを包み込んでいく。

 雷の網によって身動きが取れないほのか。

 余裕の表情でほのかの近くの地面に落ちた己の槍を拾いあげる、まい。

 「さぁ、このペンダントの秘密、絶対的な力を呼び覚ます方法を教えるのよ、でないと物凄く痛い事になるわよ」

ツゥーとヒンヤリとなった槍の矛先をほのかの顎に近づけるまい。

 だがその槍は何者かによって弾き返された。

 トウヤと戦っていた、カリンであった。

 レイピアではたきおとしたそれは冷たい氷が所々にへばりついている。

 「てめぇの相手はおれだろうがぁ!!!」

 Sickle blade mode"

 機械の大鎌がそう発するとビームの刃が出現しカリンに襲いかかってくる。

 「今度こそ引導を渡してやる!!!滅殺!!!」

 瞬間、カリンは槍の方向を鎌の刃の方に方向転換してしのぎを削りあう。

 拘束を解かれたほのかは何も出来ずにそのまま膝を付いてキーボードを叩く様に細かく息をはいていた。やはり戦い慣れてはいない。

 「さぁこんな痛い思いしなくてもいい方法はこのペンダントの秘密を喋る事、簡単でしょ?」

 まいは無慈悲にもほのかに槍の反対側つまり石突きでアーマードールの真ん中に取り付けられている虹色に光る球体に攻撃を仕掛ける。

 ゴムで出来た人形のように後ろに弾き飛ばされたほのかはさっきの攻撃に加え大ダメージを受けてしまった。

 カリンはほのかの方を気にしながらトウヤと戦っている。

 「よそ見してんじゃねぇ!それともほのかという女に惚れたかぁ!? 滅殺!!!!」

 トウヤの大鎌が右へ左へ振り回され、カリンはいちいちそれを避けてゆく。

 「どうしたの? 抜きなさいよ、その刀、飾りなの?」

  ぜえぜえと苦しそうに息をはいているほのかはまいの方に顔をあげるとにっこりと力なく微笑む。

 「はい、これは飾りです。大好きまい先輩に刀なんて抜けません」



 

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